メタプラネット株が大幅安で388円まで下落、その後反発─ビットコイン価格の低迷が影響
2025年11月17日、暗号資産関連企業のメタプラネット(3350)の株価が大きく変動した一日となりました。ビットコイン価格の下落を背景に、朝方は大幅に売られ最安値圏での取引を余儀なくされましたが、その後の値動きには注目すべき動きが見られています。
ビットコイン下落に連動した株価の急落
メタプラネット株は、ビットコインが一時9万1000ドル台まで下落したことを受けて、暗号資産価格の低迷を嫌気した売りが殺到しました。同日の株価は前日比で大きく下げ、388円付近まで下落するなど厳しい相場環境となったのです。
メタプラネットはビットコインを大量に保有する上場企業として知られており、暗号資産価格の変動は企業の評価額に直結する構造になっています。そのため、ビットコイン相場の下落は投資家の売却意欲を刺激し、株価の下押し圧力となったと言えます。
最安値圏から急速に反発、売り圧の減少が確認される
しかし注目すべきは、その後の値動きです。同日の株価は388円付近という直近の最安値ラインで反発し、その後急騰する動きを見せました。チャート分析によると、この反発は単なる戻り売りではなく、下落トレンドが否定された可能性を示唆しています。
技術的な観点から見ると、日足レベルでの売り圧が減少し続けている傾向が確認されています。特に1時間足短期の移動平均線(HMA)に支えられながら値を戻し、最終的には400円付近での取引終了となったことで、買い圧が徐々に高まっている状況が伺えます。
チャート分析によれば、日足短期HMAを上抜けし1時間足レベルで上昇トレンドが成立すれば、短期から中期にかけて460円から480円付近までの上昇が期待できるとの見方も出ています。これは投資家の間で上値への期待が高まっていることを意味しており、単なる下落局面ではなく転機が訪れている可能性も考えられます。
一株当たりの価値希薄化という構造的課題
一方で、メタプラネット株の下落要因はビットコイン価格だけではないという指摘もあります。投資家の間では、一株当たりの株式価値が薄まっている点が問題視されており、この構造的な課題が株価の重しになっているとの見方も存在します。
メタプラネットが10月1日に約30823ビットコインの追加購入を発表した後、その後の購入発表がなされていない点も、投資家心理に影響を与えているようです。現在、同社のビットコイン保有に対する評価額は、購入時の約33億ドルから29億ドルへと低下しており、この評価損も株価の下落圧力となっています。
業績改善とTOPIX採用期待が新たな材料に
こうした厳しい相場環境の中でも、メタプラネットには複数のポジティブ材料があります。過去12四半期の業績動向を見ると、純利益率とEPS(一株当たり利益)が前年同期比で持ち直し、売上高も拡大が継続しているとのこと。加えて自己資本比率の上昇により企業の安定性も高まっているという状況です。
さらに、TOPIX(東証株価指数)への採用期待も高まっており、これが実現されれば企業の知名度向上や投資対象としての魅力度アップにつながる可能性があります。同時にmNAV(Net Asset Value per share)の回復についても関心が集まっており、こうした複合要因が今後の株価を支える要素として期待されています。
今後の値動きのカギとなるポイント
技術的には、日足短期HMAの上抜けと1時間足レベルでの上昇トレンド形成が、ロング戦略が有効性を持つための重要な条件となります。現状でも1時間足長期の移動平均線や日足短期HMAが上部に控えており、下落リスクは残っているとの分析もありますが、388円での反発が下落を否定した可能性は高いと見られています。
メタプラネット株は、ビットコイン相場の変動に大きく影響を受ける特性を持つ投資対象です。今後のビットコイン価格の動向、同社の追加購入発表の有無、業績動向の推移、そしてTOPIX採用実現の可能性など、複数の要因が絡み合いながら株価が形成されていくと考えられます。
11月17日の反発は市場参加者に対して、単なる下落ではなく新たな展開の可能性を示唆する動きとなりました。今後数日間から数週間の値動きが、メタプラネット株がこうした好材料を生かすことができるかどうかを判断する重要な指標となるでしょう。
