メタプラネットに注目集まる:重要指標「mNAV」回復と大型ビットコイン追加購入の最新動向

メタプラネットは、暗号資産トレジャリー(DAT)企業として、ビットコイン(BTC)を大量保有する日本初の上場企業として近年注目されています。2025年11月21日、同社の企業価値指標であるmNAV(マーケット純資産価値)が一時「1倍」に回復したことが報道され、投資家や暗号資産業界から大きな関心が集まっています。さらに、約150億円を新たなビットコイン追加購入に充てる資本施策やB種永久優先株式発行の決定、そして第23・24回新株予約権の発行が相次いで明らかになりました。

mNAVとは?暗号資産企業の健全性を示す重要指標

まず、mNAVとは「マーケット純資産価値」の略称で、株式時価総額+総負債保有するビットコインの市場価値で割った値です。この数値が1.00の場合、株式市場による評価額と保有資産(主にビットコイン)の価値がちょうど同じことを意味します。1を上回っている時は、株価が保有ビットコインの価値に対してプレミアム(割高)評価されている状態、逆に下回る時はディスカウント(割安)評価の状態です

  • mNAV = (株式時価総額 + 総負債) ÷ ビットコイン保有評価額
  • 1.00が基準値、企業価値とビットコイン資産価値がイコール
  • 1.00以上:株価が資産を上回るプレミアム評価
  • 1.00未満:株価が資産を下回るディスカウント評価

2025年10月末には、メタプラネット自身が「株価が過小評価されている」と公式表明していました。その後、mNAVは一時0.84まで低下し、投資家の間では割安感が広がっていました

mNAV一時1倍回復、その背景と意味

2025年11月21日、mNAVが一時1倍に回復したことで、「過小評価」状態が一時的とはいえ解消されたとみられています。この回復には主に2つの要因が指摘されています

  • 理由1:一時的なビットコイン価格の下落

    mNAVの計算式では、分母となるビットコイン価格が下落すると、分子(株価)が変化しなくてもmNAVの数値は上昇します。実際、今回もビットコインの市場価格が下落したことで、mNAVが1.00に回復した直接的な要因となりました

  • 理由2:資本政策の強化による株価下支え

    11月20日に発表された資本政策、特に追加のビットコイン購入計画や株式発行方針が、市場に「企業の成長意欲」「資産増強」「投資家還元」への姿勢を積極的に示す効果を発揮し、株価の安定につながりました

このmNAV回復は、単なるビットコイン価格の変動だけでなく、メタプラネット自身の経営施策・市場へのコミットメントが評価されていることを示唆しています。

約150億円のビットコイン追加購入へ――資本政策の内容と狙い

メタプラネットは2025年11月、新たに約150億円を使いビットコインの追加購入を行う方針を明らかにしました。これは「B種永久優先株式」という新たな株式の発行によって資金を調達し、企業の財務基盤を強化しながら資産の安定的な拡大を目指す施策です。

  • B種永久優先株式の発行:投資家に対し安定した配当を約束しつつ、原則として償還義務がない株式形態。企業側の長期的財務戦略の観点から活用される。
  • 新株予約権(第23、24回)発行:将来的な資本調達や経営基盤の強化、既存の株主や新規投資家への還元施策。

こうした施策は、資本市場での信頼回復・資産保有量増加・安定経営施策の三つを同時に実現する狙いがうかがえます。特にビットコイン価格の変動リスクを分散しつつ、DAT企業としての競争力を高めるという現代型財務戦略の一環です。

財務の健全性と、事業の最新業績状況

メタプラネットの2025年12月期上期業績は、売上高21億円(前年同期比+1,159.5%)、営業利益14億円(前年同期の営業損失1.15億円)と大幅な増収・増益を記録しています。また、通期業績予想も営業利益25億円から47億円へと88.0%上方修正されるなど、事業の安定感と成長力が裏付けられています

  • 営業利益:14億円(前年損失からのV字回復)
  • 通期業績予想:47億円に上方修正
  • B種永久優先株式発行による資金調達
  • ビットコイン追加購入で資産規模拡大

こうした好調な業績は、暗号資産市場の成熟や、企業のリスク管理能力、資本政策の巧みさによるものです。特にビットコインを軸とした「トレジャリー戦略」は、他のDAT企業との競争においても独自性・安定感を発揮しつつあります。

投資家・市場へのインパクト

今回の一連の動向は、投資家心理の好転や市場全体の「過小評価」解消、企業価値の見直しにつながっています。mNAV1倍回復は、投資家が「メタプラネットの保有資産価値」を正当に認識し始めた証左です。また、大規模なビットコイン追加購入の意思表明は、暗号資産市場全体のダイナミズムを牽引していく可能性を示しています。

  • 企業の経営透明性向上
  • ビットコイン長期保有に対する積極姿勢
  • 株主・投資家への還元強化
  • 暗号資産市場全体へのポジティブな影響

今後もメタプラネットの動向は、暗号資産市場や資本政策分野に大きな波及効果を持つとみられます。企業にとっては新たな成長機会、投資家にとっては安心感と期待値が高まる局面と言えるでしょう。

まとめ:メタプラネットの今後に注目

メタプラネットの最新動向は、DAT企業の財務指標のあり方、資本市場の評価、暗号資産分野で求められる経営戦略の模範といえるものです。今後も企業として、持続的な成長と健全な財務体質の維持、そして投資家還元への取り組みをどう進化させていくか、注目していきましょう。

参考元