リチウムイオン電池火災が全国各地で多発 ― Marion消防が警鐘、大規模リサイクルイベントも開催

近年急増する「リチウムイオン電池火災」とは?

リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコン、電動自転車、ワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなど、私たちの日常生活に欠かせない多くの電子機器に搭載されています。その一方で、近年「火災事故」が全国各地で急増していることをご存知でしょうか。
特に、自治体のごみ処理施設や公共交通機関、マンションなどでの火災事例が後を絶たず、専門家・行政・消防が注意を呼びかけています。

火災発生の原因と発生メカニズム

  • 電池の物理的な衝撃や過熱、変形― ゴミ処理施設の破砕工程や無理な力が加わることで、内部短絡(ショート)が発生し、急激な発熱・発火につながります。
  • 熱暴走― 電池内部で化学反応が制御不能になると、数秒で200~600℃まで急上昇するとの実験結果も。酸素が放出され可燃物と反応し大規模な火災へ発展します。
  • 不適切な廃棄方法― 可燃ゴミや普通ゴミとして電池を廃棄することで、リサイクル施設や焼却場の火災リスクが著しく高まります。

2024~2025年に発生した主な火災・事故例

  • 2025年9月 東京― マンション内でモバイルバッテリーが発火し区画が焼損。
  • 2025年7月 山手線車内― モバイルバッテリーから煙が出て、乗客5名が軽傷。
  • 2025年6月・8月 愛知県岡崎市2025年1月 埼玉県川口市2025年1月 鹿児島県霧島市― いずれもごみ処理施設で廃棄されたリチウムイオン電池が原因とみられる火災が発生。大型施設の操業停止や復旧に1年以上要するケースもあり、地域のごみ処理やリサイクルに深刻な影響を与えています。
  • 2024年12月 茨城県守谷市・千葉県印西市・東京都江東区― 年末年始の粗大ごみ処理時に、リチウムイオン電池の混入が原因とされる火災が複数発生。

消防や自治体からの具体的な警鐘と対応

米国オレゴン州マリオン消防(Marion Fire)も、リチウムイオン電池火災の危険性について住民に積極的な注意喚起を行っています。
日本国内でもごみ収集・処理事業者、地方自治体が「リチウムイオン電池は絶対に普通ごみ・可燃ごみとして出さないように」と分別徹底を呼びかけています。川口市や霧島市では、火災発生を受けて資源ごみや粗大ごみの受け入れ停止、収集ルールの厳格化など、一時的な対応を余儀なくされています。

  • 施設の稼働停止・復旧長期化によって、ごみの滞留や地域の環境悪化も深刻な社会問題となっています。
  • 焼却施設やリサイクルセンターの損傷は、都市部だけでなく地方都市にも波及しています。

なぜ火災が多いのか?増加の背景

  • 需要急増― 個人所有のスマホ・モバイルバッテリー・ワイヤレスガジェットの普及で、不要となったバッテリーの排出量が急増。
  • 分別ルールの周知不足― 使用済み電池を「燃えないゴミ」「小型家電ごみ」として正しく出すべきという知識が浸透していません。
  • 充電式バッテリーの内蔵化― 最近の家電製品はバッテリーを内蔵しているため、廃棄時にうっかり混入しやすいという事情も。

誤った廃棄の結果、どうなるの?

施設でバッテリーに衝撃や圧力が加わると、内部ショートや熱暴走によって一気に大規模な火災が発生します。発生時には

  • 200℃から600℃もの高温ガスと赤熱した粒子が噴き出し、周囲のごみや可燃物に火が燃え移ります。
  • 施設のPR品やごみクレーンが焼損し、大量の修繕・復旧費用、処理業務の長期停止を招きます。

「死人が出ていないのが奇跡」とも指摘されるほど、現場は危険性に満ちています。

火災防止のためにできること

  • 使用済みリチウムイオン電池は、必ず市区町村指定の「回収ボックス」や「家電リサイクル回収拠点」に持ち込む。大半の自治体でスーパー・家電量販店・イベント会場等に専用回収箱が設けられています。
  • バッテリー内蔵機器は、小型家電リサイクル回収・指定集積所に出す。分別表や市報を必ず確認しましょう。
  • 普段から「普通ごみには絶対に入れない」と周囲の人に伝える。お子さんやお年寄りにもやさしく教えてください。
  • バッテリーを放置せず、早めに正規ルートで処分する。過放電や劣化も発火リスクを高めます。

Appletonでのリサイクルイベント開催 ― どんな意義がある?

米アップルトン市など各地では、使い終わった電子機器やバッテリーの回収を積極的に行うリサイクルイベントが多数開催されています。こうした機会を活用することで、家庭に眠る使用済みバッテリーを安全に処分でき、未然に火災を防ぐ社会づくりに繋がります。

「バッテリー安全週間」 各地で啓発運動の広がり

10月初頭には「消防予防週間」「バッテリー安全週間」など、火災防止をテーマにした啓発活動や地域イベントが行われています。地元消防や自治体の職員が安全な処分方法や正しい分別手順、非常時の対応などをやさしく案内しています。
これを機に、「バッテリーの正しい捨て方」「リサイクルの大切さ」を今一度身近なこととして家族や友人と話し合ってみてはいかがでしょうか。

まとめ ― 安心・安全な暮らしのために

  • リチウムイオン電池火災は、ルールを守れば防ぐことができます
  • 毎年数百件規模で火災が報告されている現状、「自分だけは大丈夫」と思わず、正しい分別・リサイクルを習慣にしましょう。
  • 火災や事故が発生した場合は、すぐに119番などに通報し、自分の安全を最優先に避難してください。

リチウムイオン電池は便利な一方で、誤った扱いが多くの人や地域社会に迷惑や被害を与えてしまう可能性があります。「使い終わったら正しく分ける・きちんと出す」を合言葉に、ごみ出しのルールを今一度確認し、安心で安全な社会づくりをみんなで進めていきましょう。

参考元