エムスリー、2025年4~6月期決算で営業利益17%増加―株価に買い注文が集中

2025年8月6日に発表されたエムスリー(証券コード:2413)の2026年3月期第1四半期決算は、売上収益862億円(前年同期比34.2%増)、営業利益が197億7,700万円(同17.0%増)と堅調な増収増益を達成しました。この好決算を受け、2025年8月7日朝の取引では大口買い注文が殺到し、株価は急反発してカイ気配で始まりました。

製薬企業向けマーケティング支援が業績を牽引

エムスリーは医薬関連の情報サービスや医療従事者向けの会員制サイトを運営し、主に製薬企業向けのマーケティング支援業務が主力事業です。今回の第1四半期決算では、製薬企業向けのサービスが好調であったことが営業利益増加の大きな要因となっています。新設されたペイシェントソリューションセグメントも成長に寄与し、業績全体にプラスの効果をもたらしました。

株価の動きと市場の反応

  • 株価動向:8月6日の終値は1,811円で、翌7日の寄り付きからは大口の買い注文により値がつかずカイ気配(買い気配のまま売り注文が追いつかない状態)で始まりました。その後、1900円台前半まで上昇し、75日移動平均線との下方乖離を急速に埋める展開となっています。
  • 投資家の受け止め:営業利益が前年同期比で2ケタ成長となったこと、さらにトランプ関税の影響が現時点で見られないことから買い安心感が広がりました。これを背景に見直し買いが誘発され、株価の反発へとつながっています。

通期業績見通しは据え置き

エムスリーは2025年4~9月期(半期)の連結業績予想を今回の決算発表後も据え置いています。売上収益は通期で前年比約26.4%増の3,600億円を見込み、引き続き成長戦略に自信を示しました。市場では、この堅調な業績基盤を踏まえ株価の上値余地を評価する声も多く聞かれます。

専門家の評価・理論株価との比較

  • 株価診断においては、エムスリーの2025年8月5日時点の株価は約1,869円で、理論株価(PBR・PER基準)と比較すると妥当水準からやや割安との見方があります。
  • アナリストのレーティングは「やや強気」の平均3.7とされており、目標株価は平均2,103円と現在の株価に対し12.5%前後の上昇余地が示唆されています。

まとめ

エムスリーの2025年4~6月期業績は営業利益17%増、純利益も5%増加と順調でした。特に製薬企業向けのマーケティング支援サービスの好調が業績を支えています。これを受けて大口買い注文が相次ぎ、株価は底打ち感を強めて急反発しています。市場からは通期業績予想は据え置かれているものの、成長余地を期待する声が根強く、今後の株価動向に注目が集まっています。

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