ロッテリア54年の歴史に幕、全店舗を新ブランド「ゼッテリア」に転換
1972年の創業から半世紀以上にわたって日本の外食業界を支えてきたハンバーガーチェーン「ロッテリア」が、その歴史に終止符を打つこととなりました。運営するゼンショーホールディングスが2026年3月までに国内全店舗を閉店し、新業態「ゼッテリア」へ順次切り替える方針を発表したのです。54年間親しまれたロッテリアというブランドは、日本の街から完全に消滅することになります。
急速に進む店舗数の減少
ロッテリアの店舗数減少は、ここ数年で急速に進んでいます。2023年1月時点では358店舗あった国内店舗は、わずか2年半後の2025年6月時点で222店舗まで減少し、約4割弱の店舗が姿を消してしまいました。さらに2025年12月末時点では106店舗にまで落ち込んでおり、ゼッテリアへの転換ペースが加速していることが分かります。
このような急速な縮小が始まったのは、2023年4月のゼンショーホールディングスによる買収がきっかけです。「すき家」などを傘下に持つ外食大手のゼンショーグループがロッテホールディングスからロッテリアの全株式を取得し、同年からグループ傘下での営業に移行したのです。その後、段階的な事業再編が進められ、今回の全店舗ブランド統一という最終段階を迎えたわけです。
ブランド統一による経営効率化が狙い
ゼンショーホールディングスがロッテリアをゼッテリアへ転換する背景には、明確な経営戦略があります。ブランドを統合することで、原材料の共同仕入れや物流、店舗運営のノウハウを統一し、グループ全体のシナジー効果を最大化する狙いがあるのです。
実は、ロッテリアの経営が厳しくなったのは最近のことではありません。1990年代以降、マクドナルドなど競合との競争激化や経営方針の迷走により業績が低迷していました。ピークだった2009年2月時点では524店舗を展開していたものの、その後減少傾向をたどり、ゼンショーHDによる買収直前の2023年1月には358店舗にまで落ち込んでいたのです。つまり、ゼンショーによる買収後の事業再編は、苦しくなっていたロッテリアの経営立て直しを目的とした戦略だったのです。
買収発表時、ゼンショーHDは自社グループの食材調達、物流、店舗運営機能とのシナジー効果がロッテリアの事業拡大に寄与すると説明していました。今回のブランド統一は、そうしたシナジーを最大化するための経営判断なのです。
ロッテリア消滅でハンバーガー業界の競争構造も変化
ロッテリアの全店閉店により、日本のハンバーガー業界の構図も大きく変わります。2025年末時点で、国内ハンバーガーチェーンの店舗数はマクドナルド(約3,000店)、モスバーガー(約1,300店)、バーガーキング(337店)に次ぐ4位の座をロッテリア・ゼッテリア合計278店で占めていました。ブランド統一後、ゼッテリアは約280店舗体制となる予定です。
業界関係者の間では、ゼンショーHDが最終的に約280店舗体制となるゼッテリアで、上位チェーンをどう追撃するのかに注目が集まっています。ロッテリアというブランドの歴史的重みと消費者からの親近感を失う一方で、グループの経営効率化によって生まれる競争力がどの程度のものかが、今後の業界動向を左右する可能性があります。
ファンから惜別の声が相次ぐ
ロッテリアの全店閉店の報道を受け、SNS上では「#ありがとうロッテリア」というハッシュタグとともに、ブランドを惜しむ声が多数投稿されました。「学生時代の思い出の場所だった」「初めて食べたハンバーガーがロッテリアだった」といった投稿が並んでおり、ロッテリアが多くの消費者の個人的な記憶と強く結びついていたことが浮かび上がります。
特にファンの関心が高いのは、「エビバーガー」や「リブサンドポーク」、「ふるポテ」といったロッテリア独自の人気メニューの行方です。これらのメニューは、世代を超えて多くの消費者に愛されてきた定番メニューでした。ゼンショーHDは公式に個別のメニューの存続について明言していないものの、一部メニューはゼッテリアでも提供されているようです。ただし、ブランド統一後の最終的なメニュー構成は現時点では不確定であり、今後の公式発表が待たれている状況です。
日本のハンバーガーチェーン戦争の歴史
ロッテリアの消滅を契機に、日本のハンバーガーチェーン業界の歴史を振り返る価値があります。日本初のハンバーガーチェーン、そして競合他社との関係性の変遷など、業界全体の動きが今一度注目を集めています。
かつては「強さの競争」として、複数のチェーン企業が互いに店舗数を競い合っていた業界も、今は「役割の競争」へと移行しつつあります。マクドナルドなどの大手チェーンが一強体制を築く中で、ロッテリアのような地域に密着した中堅チェーンの立場は、ますます厳しくなっていたのです。
ゼッテリアが見せる新しい可能性
ゼッテリアは、ロッテリアの跡地を「居抜き」で転換していく業態です。この新ブランドには、カフェ機能を融合させた新しいコンセプトが盛り込まれており、単なるブランド名の変更ではなく、経営方針の大きな転換を象徴しています。
2026年春にはロッテリアの店舗数を超える勢いで増殖中のゼッテリアは、今後ハンバーガー業界にどのような影響を与えるのでしょうか。まだ見たことがない消費者も多いでしょうが、これからよく見かけるようになることは間違いありません。
終わりに
54年間の長きにわたって日本の食卓に君臨してきたロッテリアが消滅することは、単なる一企業の経営判断ではなく、日本の外食業界全体の構造転換を象徴する出来事といえるでしょう。懐かしい味わいと思い出を求める消費者の心情と、経営効率化を重視する企業戦略の衝突が、このたびのブランド統一という決定につながったのです。
ロッテリアとしての営業は2026年3月までに完全に終了しますが、その遺産がゼッテリアという新しいブランドの中にどのような形で受け継がれていくのか、今後の展開に注目が集まっています。




