LIXIL、2026年3月期上期決算で黒字転換――法人税費用減少などが業績を後押し
【はじめに】
LIXIL(リクシル)は、住まいと暮らしの領域で国内外に多角的な事業を展開する大手企業です。この度、2026年3月期第2四半期(2025年4月~9月)の決算を発表し、前年同期の赤字から33.5億円の黒字へと大きく転じました。さらに、直近7-9月期では最終利益が前年同期比2.2倍となり、注目を集めています。この記事では決算内容の詳細と背景、今後の見通しについて、やさしく解説します。
【決算主要ポイント】
- 2026年3月期上期(4~9月)の最終損益は33.5億円の黒字(前年同期は39.3億円の赤字)。
- 上期の営業利益は114億円、前年同期比15.5%増。
- 7-9月期の四半期利益は42.6億円で、前年同期の2.2倍に増益。
- 通期(2026年3月期)の連結業績予想は据え置き。
- 法人税費用が120億円減少、これは一時的な税務要因によるもの。
【上期決算の詳細分析】
LIXILは、2025年4~9月期の連結決算において、わずかに売上高が前年から減少したものの、営業利益・最終利益ともに大きく改善しました。特にウォーターテクノロジー事業(衛生設備、水栓金具、バスルームなど)の収益性改善が寄与し、全体として減収増益となっています。
- 売上高:7,359億円(前年同期比-0.5%)
- 営業利益:114億円(前年同期比+15.5%)
- 最終利益:33.5億円(黒字転換、前年同期は-39.3億円)
- 7-9月期 四半期最終利益:42.6億円(前年同期比2.2倍)
営業利益の増加要因には、原材料価格の安定などコスト構造の改善や、事業ポートフォリオの見直しが効いています。また、一時的な要因として法人税費用が120億円減少したことも、最終利益を押し上げました。
【セグメント別の動向】
- ウォーターテクノロジー事業:利益が大幅に改善し、106億円に。
- ハウジングテクノロジー事業:主にサッシやドア、シャッターなどを扱い、堅調に推移。
- リビング事業:システムキッチンや洗面化粧台、内装建材の需要も底堅い。
【財務・キャッシュフロー状況】
資産は 1兆8,319億円(前期末比+0.1%)、現金及び現金同等物は若干減少したものの、営業キャッシュフローは195億円の収入で堅調です。投資活動・財務活動のキャッシュフローには支出が見られるものの、全体としては十分な資産規模を維持しています。
【法人税費用減少の背景】
今回特徴的なのは、法人税費用が120億円減少した点です。これはLIXILの海外連結子会社での税費用再評価などが影響しており、今期は一時的・会計上の要因として計上されています。将来的な税負担減と解釈はできませんが、一時的な最終利益向上に大きく寄与しています。
【通期業績見通しと今後の課題】
- 通期(2026年3月期)の業績予想は据え置き。売上収益は1兆5,400億円、営業利益は300億円を見込んでいます。
- 下期(10-3月期)の最終利益は前年同期比約22%減の見込み。今期の黒字化は税務要因によるところが大きく、営業利益率や本業の収益力改善が今後のカギとなります。
- 売上営業利益率は前年同期の2.8%から1.2%に低下しており、利益率改善と収益構造の強化が引き続き課題です。
- 業績予想の精査や開示に柔軟な姿勢を維持。法人税費用減少の影響も含め、業績予想は慎重に見極め中であると会社側は説明しています。
【市場・投資家の受け止め】
LIXILの今回の黒字転換や大幅な増益は、税務要因による一時的な利益増とはいえ、経営効率化や事業ポートフォリオ見直しが着実に進んでいるサインといえます。ただし、売上の伸び悩みや営業利益率の低下には注意が必要で、今後はコスト削減やグローバル市場での競争力強化などが求められます。
また、同社は通期業績予想を据え置き、現時点で急な修正は明言していませんが、「業績予想は精査中」と表明しました。一時的な法人税減少など外部要因を除いた、持続的な経営改善が今後の株価や企業価値の安定に直結するでしょう。
【おわりに――生活とLIXILの未来】
LIXILの製品やサービスは日々の暮らしになくてはならないものばかりです。今回の決算で見られたように経営の足もとは安定しつつあり、次なる成長ステージに向けて、さらなる商品開発・サービス向上が期待されます。財務・収益構造の強化が着実に続けば、私たちの住まいと暮らしもより豊かなものになることでしょう。

 
            

 
             
            