レクサスIS/RC/UX300e生産終了へ――トヨタの高級ブランドが迎える大変革の現場

はじめに

レクサスは、トヨタ自動車が展開する世界的な高級車ブランドです。これまで多様なラインナップと高い品質、そして先進的な技術でユーザーの支持を集めてきました。しかし2025年、レクサスの中心的な中型セダン「IS」、2ドアクーペ「RC」、そして電気自動車「UX300e」など複数モデルが生産終了となることが発表され、大きな注目を集めています。自動車業界の変化とともに、ブランド戦略の新たな一歩を印象付ける動きといえるでしょう。

レクサス「IS」生産終了の全容

  • 「IS500」および「IS300」が2025年11月で生産終了となることが公式サイトで発表されました。これらはガソリンエンジン搭載モデルで、それぞれV型8気筒5.0L(IS500)、直列4気筒2.0Lターボ(IS300)というエンジンラインナップでした。
  • 合わせて、直列4気筒2.5Lエンジンとハイブリッドシステムを組み合わせた「IS300h(ハイブリッド)」も2025年11月生産終了が決まっています。
  • 生産終了に先立ち、「IS500」に関しては500台限定の「Climax Edition」も発売されており、V8エンジンを搭載するラストモデルとして話題になっています。

「IS」シリーズが果たした役割と歴史

「IS」は、1999年にフロントエンジン・リアドライブ(FR)のコンパクトスポーツセダンとして誕生し、2005年から日本国内展開が始まりました。現行モデルは2013年に登場した2代目ですが、その精悍なスタイリングと欧州の競合車にスポーティさで挑むキャラクターで人気を博しました。世界40カ国以上で130万台以上トータルで販売され、「アルテッツァ」(トヨタ時代)の流れを汲むモデルとして日本のセダンファンにも愛されてきました。

「RC」クーペ、「RC F」限定車も同時に終了

  • 2025年11月、「IS」と同時に2ドアクーペ「RC」も生産終了に。迫力の走行性能を誇ったRC Fの200台限定「Final Edition」も既に販売が終了しています。
  • いずれの車種も、生産枠が埋まり次第販売終了となるため、希望者は早めの購入が呼びかけられています。

電気自動車・ハイブリッドの進化とともに

今回、生産終了が決まったモデルに共通するのは、従来型エンジンの最終盤に位置することです。特にV8エンジンは、ブランドの「走り」を象徴する心臓部でした。しかし世界的なカーボンニュートラル化の潮流と規制強化の中で、EV(電気自動車)やハイブリッドへのシフトは避けられない方向となっています。レクサスは今後、「LF-Z」などEV専用プラットフォームの開発や新世代PHEV戦略を重視しつつ、高効率なパワートレーンに注力していく構えです。

車種整理とトヨタブランドとの戦略差

  • トヨタがラインナップの多様性を保ちながらも主力に集約しているのに対し、レクサスは「選択と集中」を鮮明にしています。象徴的なのが今回の中型セダン「IS」終了です。今後はSUVやハイブリッド、EVへの投資強化が進みます。
  • 一方、ブランド価値を損なわないよう、限定車や特別仕様車を投入する動きも見られ、ブランドイメージ向上を図る姿勢がうかがえます。

IS/RC/UX300e生産終了の理由・背景

なぜ、歴史ある人気モデルが次々と姿を消すのでしょうか。主な理由は以下の3つです。

  • グローバルな電動化の加速:国際的な環境規制強化や主要マーケットでのゼロエミッション政策導入が相次ぎ、各自動車メーカーは電動車の開発を急ピッチで進めています。レクサスも、その潮流の転換点に対応せざるを得ません。
  • 市場構造の変化:近年、世界的にセダンの需要が減少傾向にあり、SUVやクロスオーバー型がより人気となっています。消費者ニーズに沿った商品展開が求められます。
  • ブランドアイデンティティの刷新:既存のイメージから脱却し、先進性やサステナビリティを重視する新世代ブランドへの転換を進めています。

ISファン・オーナーの声と反響

「IS」ユーザーからは「運転しやすく小回りがきく」、あるいは「V8のフィーリングをもう一度楽しみたい」など惜しむ声が広がっています。特に最後の特別仕様車や限定販売に対しては、コレクターズアイテムとしての魅力も高まっています。また、一部ファンからは「現行型のビッグマイナーチェンジも期待されている」と今後の新展開への前向きな声もありました。

現行ラインナップと今後の展開

  • 2025年11月以降は、既存の「IS」シリーズは全モデルが終了する見通しです。今後、SUV「NX」「RX」、新世代EVやハイブリッド専用車両などへのリソースシフトが加速します。
  • プレミアムブランドとして、所有感や質感にこだわりつつ、環境対応と先進技術の両立を目指す開発姿勢は今後も続くでしょう。

まとめ――大きな歴史の転換点に立つレクサス

2025年はレクサスの大きな転機です。20年以上にわたりブランドを象徴してきた「IS」「RC」、ならびにEV「UX300e」など複数車種が区切りを迎えるなか、次代に向けて新たな一歩を踏み出そうとしています。モデル消滅を惜しむ声も少なくありませんが、時代の要請とエコ社会実現への責任を果たすという使命感が、ブランドの進化を後押ししています。

今後、レクサスがどのような新しい価値やドライブ体験、サステナブルな社会づくりを示してくれるのか、引き続き注目が集まります。

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