東筑軒「かしわめし」の事業譲渡 折尾駅名物の伝統は守られるのか

福岡県北九州市に本社を置く株式会社東筑軒は、2025年9月30日22時20分に発表された通り、その主力商品である「かしわめし」をはじめとする事業の事業譲渡を決定しました。これは地元折尾駅の名物として100年以上にわたり親しまれてきた駅弁「かしわめし」が、引き続き同じ味を保ちつつ、新たな体制で提供されることを意味します。事業内容も従来通り継続される見通しで、既存のご利用者や関係者に安心を与えています。

東筑軒のあゆみと地域への貢献

東筑軒の歴史は1921年(大正10年)、折尾駅と直方駅で立ち売りによる弁当販売から始まりました。以来、鹿児島本線や筑豊本線の計9カ所にて駅弁や立ち食いの駅うどん店を展開し、折尾駅を中心に「かしわめし弁当」をはじめとした様々な駅弁を販売しています。特に「かしわめし」は前身の筑紫軒時代から変わらぬ味付けで提供され続けており、地元の人々や旅人に長年愛されてきました。

  • 折尾駅と直方駅で1921年より弁当立ち売り開始
  • 1942年、地域内業者の統合により東筑鉄道構内営業有限会社設立、後に現社名へ
  • 駅弁・仕出し料理・祝い事や法事用の料理も手掛けるなど、多角的な事業展開
  • 2025年には米の価格高騰に対応した麦入りご飯へのリニューアルも実施

かしわめし 変わらぬ味の秘密と商品展開

「かしわめし」は、秘伝のスープで炊き込んだご飯の上に、味付け鶏肉と錦糸卵を盛った駅弁です。弁当ご飯の味は代々受け継がれ、素材の持ち味を活かす調理法は高い評価を得ています。2025年3月1日からは原材料価格高騰への対応として、ご飯に大麦を混ぜた新しいレシピへリニューアルされましたが、伝統の味わいを保ったまま現在も販売が続けられています。

  • 代表商品:かしわめし(鶏肉・卵・炊き込みご飯)
  • 副菜のあり/なしで2種類展開
  • パーティーや行楽用の大盛サイズも提供
  • 冷凍弁当や自販機による販売など提供方法も拡充
  • 大丸福岡天神店や小倉井筒屋など駅以外の売店でも扱いあり

事業譲渡を受けての今後の展望

今回の事業譲渡は、「味は変わらず」「事業内容も従来通り」継続される見通しとされています。地元折尾駅を始め各駅・売店でのかしわめし販売や立ち食いうどん店の営業など、利用者に馴染みのあるサービスは維持されます。また、100年以上続いてきた伝統的な立ち売りの駅弁販売も、今後も地域の食文化として継承されていくことが期待されています。

  • 譲渡後も「かしわめし」の味・品質は維持される見込み
  • 従来の販売スタイルや事業内容も変更なし
  • 折尾駅名物として地域経済や観光にも引き続き貢献
  • 伝統的な立ち売りスタイルも継続

折尾駅弁立ち売りの象徴・小南英之さんのエピソード

約100年続いてきた折尾駅の駅弁立ち売り。その象徴ともいえる存在が、「小南英之さん」です。小南さんは、最後の車両が駅から離れるまで駅ホームで手を振り続ける姿が印象的で、多くの利用者に笑顔と温もりを届けてきました。駅弁販売という仕事には単なる商品提供以上の、地域の人の心に残る「風景」としての役割もあります。駅弁売りは粋な働き者であると同時に、時代や人々の暮らしとともに歩んできた歴史の証人でもあります。

  • 駅弁立ち売りを100年以上守り続ける伝統
  • 小南英之さんの「最後の1両が離れるまで手を振る」姿は利用客の心に残る
  • 地域の名物人として認知され、折尾駅の風物詩となっている
  • 譲渡後もこうした伝統・文化が継承されることが望まれている

地域の食文化と今後

折尾駅の「かしわめし」は、単なる駅弁の枠を超え、福岡県内外に誇る食文化の一つです。事業譲渡という大きな転機を迎えた今、この伝統を守る責任とともに、時代に合わせた新しいサービスや商品展開も今後考えられるでしょう。地元の方々はもちろん、観光やビジネスで北九州・折尾駅を訪れる人々にも、変わらないおいしさと温かさを感じてもらえるよう、東筑軒とその後継事業者の歩みに注目が集まっています。

  • 駅弁文化の継承と新たな発展への期待
  • 地域の食文化としての折尾駅「かしわめし」の地位
  • 今後も多様な商品展開や配達サービの拡充の可能性
  • 伝統と革新の両立を目指す姿勢が利用者の安心感につながる

まとめ:東筑軒「かしわめし」の伝統と未来

今回の東筑軒事業譲渡は、折尾駅を中心に守られてきた「かしわめし」の伝統を揺るがすものではなく、今後も地域に根ざした駅弁文化が継続されることが明らかになりました。味やサービスは変わらず、古き良き伝統を継承しつつ、時代に合わせた新しい可能性も広がっています。これからも北九州・折尾駅、そして多くの人々の思いとともに「東筑軒かしわめし」は歩み続けます。

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