2025年のインフルエンザワクチンは「mRNA」になるのか?現状と最新事情をやさしく解説

話題の背景-「mRNAワクチン」への注目度が高まる理由

新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、「mRNAワクチン」という専門用語が私たちの生活にすっかり定着しました。この画期的なワクチンは、従来型よりも短期間で開発できることや、パンデミック下ですばやく社会実装された実績から、次なるワクチン技術の主役とも言われています。

こうした中で「2025年からインフルエンザワクチンもmRNAワクチンに変わるのでは?」という見方が生まれ、SNSなどでも話題に上っています。しかし、果たして今シーズン本当にインフルエンザワクチンはmRNA型に切り替わるのでしょうか?

【ファクト1】2025年秋、「mRNAインフルエンザワクチン」はまだ日本で承認されていません

現時点(2025年10月初旬)において、日本国内で承認されているインフルエンザワクチンは、従来型(不活化ワクチン・組換えタンパクワクチン)が中心です。「今年からmRNAワクチンに全面切り替え」という情報は事実ではありません

様々な医療機関、公的機関、そして厚生労働省においても、「2025年秋のインフルエンザワクチンとしてmRNAワクチンは現時点で承認・接種可能ではない」と明言しています。今シーズン、一般の方が受けられるインフルエンザワクチンは、これまでと大きな違いはありません

【ファクト2】世界ではmRNA型インフルエンザワクチンの開発が進行中

日本で一般接種が始まっていないとはいえ、海外ではmRNAインフルエンザワクチンの開発・臨床試験が急速に進行しています。たとえば、アメリカのモデルナ社は、インフルエンザのみならず新型コロナとの混合mRNAワクチンの相次ぐ臨床試験結果を発表し、予防効果が従来型を上回るとされています。

  • モデルナ社(米国):単独型・混合型ともに最終段階の臨床試験を実施。既存ワクチンより発症予防効果が約27%高いとの結果。
  • ファイザー社(米国):インフルエンザと新型コロナ混合型を開発中。ただしB型インフルエンザに対する効果に課題があり、現在改良中。
  • 第一三共(日本):国産混合mRNAワクチンを開発中。大規模臨床試験を国内で計画。

ただし、いずれも「日本国内での承認・普及は、あと1~2年かかる見通し」との見解が示されています。

【ファクト3】インフルエンザワクチンの基本情報&最新事情(2025年版)

  • 2025/26年シーズンのインフルエンザワクチンはWHO(世界保健機関)の推奨に基づき、3価ワクチンが主役となります(従来は4価)。これはパンデミック期の衛生対策により、山形系統B型ウイルスが大変少なくなったことに起因しています。ワクチンとしての有効性は十分保たれています。
  • 日本で実際に接種されるワクチンは、不活化ワクチン組換えタンパクワクチンが中心です。2025年には高齢者向けの新たな高用量ワクチン(エフルエルダ®)も承認され、選択肢が広がっています。
  • 厚生労働省の公式発表によれば、来季に向けて「mRNA、組換えタンパク、レプリコン型mRNA」などさまざまなワクチン技術の研究・申請・供給が検討されているものの、今シーズン(2025/26)に一般接種できるラインナップにはまだ入っていません。

【ファクト4】安全性と副作用への懸念-臨床試験の経過

mRNA型のインフルエンザワクチンは、「より強力な免疫応答」を期待されている一方で、「副作用が既存ワクチンよりやや強めに出る傾向」が教訓として報告されています。ただし、「重篤な有害事象の発生率は既存ワクチンと差がない」というデータもあり、承認にあたってはきわめて慎重な審査が進められています。

【ファクト5】2025年に受けられるインフルエンザワクチンの種類

今シーズンに接種できる主なワクチンは下記のとおりです:

  • 組換えタンパクワクチン:ウイルス遺伝子を使い人工的に作製。卵アレルギーの方にも対応。
  • 不活化ワクチン:従来から使用される一般的なタイプ。
  • 高用量ワクチン(エフルエルダ®):2025年承認、高齢者向けに推奨。

なお、mRNAインフルエンザワクチンは一般市民が接種できる段階には至っていません

【ファクト6】今後の承認見通しと私たちができる備え

mRNAワクチンは将来的に「インフルエンザや新興感染症への即応性」という大きな期待がかかる一方、安全性や有効性、供給体制の厳格な検証と審査が必要です。日本国内での市販・接種が可能になるには、今のペースだと来年以降が現実的とされています。

現時点で私たちができる感染症対策は、「従来型ワクチンの適切な接種」「手洗い・うがい・マスク着用」といった基本的な予防行動です。健康管理をしっかり行い、正確な情報をもとに行動しましょう。

【よくある質問と今後の動向まとめ】

  • Q:今年(2025年)のインフルエンザワクチンは全てmRNA型ですか?
    A:いいえ。日本で接種できるワクチンは従来型・組換えタンパク型が中心です。
  • Q:mRNAインフルエンザワクチンは安全ですか?
    A:海外では臨床試験で重篤な副作用リスクは既存型と大きな差がないとされていますが、引き続き精密な評価中です。
  • Q:接種予定者は何を注意すべきですか?
    A:これまで同様、体調が良いときに接種し、医師・看護師の指導に従いましょう。
  • Q:来年以降は?
    A:2026年以降、実用化・承認される可能性があるので、最新情報に注目を。

【まとめ】デマや噂に振り回されず、正しい情報で賢く選択を

インフルエンザワクチンが「いきなり全部mRNA型に切り替わる」という噂は事実ではありません。2025年現在、日本で接種できるmRNAインフルエンザワクチンは承認されていません。今後も臨床試験の状況や厚生労働省発表など、信頼できる情報に注目しましょう。

毎日の健康を守るためにも、ご自身や家族、大切な方のために確かな知識を持って備えましょう。

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