オーストラリアドルの最新動向:2025年11月、為替・経済指標・テクニカル分析
はじめに
最近、オーストラリアドル(豪ドル)の対円相場が大きな注目を集めています。2025年11月17日の外為市場では、豪ドル円は100円68銭前後で推移し、円高・豪ドル安の流れとなっています。同時に、オーストラリア国内の失業率が低下し雇用者数が大幅増加、利下げ観測が後退したことから豪ドル高材料も報じられています。この記事では、その背景やテクニカル面、今後の展望をわかりやすく解説します。
オーストラリアドル/円の為替市場動向(2025年11月)
2025年11月の豪ドル円の為替レートは100円台後半を中心に、変動幅は1円ほどと比較的狭いレンジで推移しています。11月14日の終値は100.870円、13日は101.620円、12日は101.130円と推移しており、週末を挟んでやや円高傾向が加速しました。
また、1年間の平均値はおよそ95.6円とされているため、足元では依然として高値圏に位置していると言えます。
- 11月14日 終値:100.870円
- 11月13日 終値:101.620円
- 11月12日 終値:101.130円
背景には、「米ドル円が円安気味に動く一方で豪ドル/米ドルが下落」し、複雑な通貨間の力関係も影響しています。また日本の四半期GDPが市場予想より強い結果となったことも、市場のセンチメントに一定の影響を与えました。
テクニカル分析による豪ドル円の現状
直近のテクニカル指標によるとRSI(相対力指数)は59%台と、やや買われ過ぎに近い中立ゾーンに位置しています。レンジ相場の中、需給バランスが取れている状況です。
- 100円台前半では買い注文が厚くサポートが意識されている
- 101円台後半には売り注文が集結し、レジスタンスラインとなる傾向
- 99円台前半から102円台半ばまで広範な売買注文が存在
事実、チャートでも上下どちらにも厚い注文が並び、現時点で強い方向性が生まれにくい「レンジ相場」の特徴が表れています。
オーストラリア経済指標:雇用市場と金利観測
今回のニュースで注目されたのは、オーストラリアの10月失業率が低下し雇用者数が大きく増加したことです。これは通常、景気の回復基調を示すプラス材料となります。加えて、インフレや労働需給の改善を受けてオーストラリア準備銀行(RBA)の追加利下げ観測が後退しました。
こうしたデータを受け、海外投資家は豪ドルに対し買いの姿勢を強めましたが、世界的な金利高止まりや地政学リスクも絡み、急激な豪ドル高にはなりにくい相場環境も続いています。
- 2025年10月、豪失業率は低下
- 雇用増→景気回復期待→利下げ観測後退→豪ドル高要因
一方で円高の動きも同時に進行し、2025年11月中旬は「豪ドル安・円高」という珍しい組み合わせになりました。
過去一年間の推移とグローバル要因
2025年は年間を通じて豪ドル円がプラス圏で推移してきました。年初来で約3.6%の上昇を記録しており、これはオーストラリアの経済成長や資源価格の堅調も背景にあります。
ただし、最高値は101.17円(2025年11月12日)、最安値は86.962円(2025年4月8日)でした。変動幅が大きい一年となりましたが、現状は「高値圏だけれども円高も意識される」複雑な相場です。
- 最高値:101.17円(11月12日)
- 最安値:86.96円(4月8日)
- 年間平均:約95.6円
この背景には、資源価格(石炭・鉄鉱石・LNGなど)の高騰や、米国・中国市場の動向、さらには中央銀行による金融政策の変化がありました。
オーダーブックと投資家動向
オーダーブック(市場の注文状況)を見ると、100円台前半の買い注文が厚く、下値では一定の押し目買い需要があります。逆に、101円台後半から102円台半ばにかけては売り注文が多く、ここが相場の上値を重くする「壁」となっています。
- 下値:100円付近をサポートライン
- 上値:101.5~102円付近がレジスタンス
このような需給バランスは、相場が明確な上昇・下落トレンドを作りにくいことを示唆しています。
市場参加者・個人投資家へのアドバイス
現在の豪ドル円相場は、短期的な値動きに振れやすい環境です。経済指標や各国中央銀行の発表、需給の変化には常に注意が必要です。また、豪ドル円は資源国通貨の特徴を持つため、「商品価格」や「中国経済」にも影響を受けやすい点を忘れないでください。
- 経済指標発表時は急激な変動が起きやすい
- レンジ相場では逆張り戦略が有効となる場面も
- オーダーブックを活用して、売買の厚みを意識
- 資源価格、中国関連ニュースもチェック推奨
特に初心者の方は、資金管理を徹底し無理な取引を避けることが大切です。レンジ相場と言えども、突発的な材料で大きく動く場合があります。
今後の注目ポイント
今後も豪ドル円は「オーストラリアの経済指標」「中央銀行の政策」「世界の市場動向」によって大きく影響を受け続けます。今週は豪州準備銀行(RBA)の金融政策会合議事要旨や米国経済指標など、重要イベントが控えています。これらの結果によっては、一時的に為替相場が大きく動くことも想定されます。
加えて、地政学リスクや他国の利上げ・利下げ動向にも注目が集まっています。投資家としては、短期的な材料に踊らされすぎず、中長期的な視点も持つことが重要です。
まとめ
2025年11月中旬のオーストラリアドル円は、100円台後半でレンジ相場を維持しつつも、「雇用指標の改善」「利下げ観測後退」といった好材料と、「世界的な金利高」「急激な円高圧力」といった逆風が入り混じる複雑な状況となっています。
市場参加者にとっては、経済や金融の動き、投資家の心理、テクニカルの分析など、複眼的な視点が求められます。今後も相場の動向と最新ニュースに注目していきましょう。



