「エンジン爆発」を想定した過去最大規模の訓練 福岡空港で実施 最新鋭消防車も初参加

福岡空港で、航空機事故を想定した過去最大規模の対応訓練が行われました。訓練では「航空機のエンジンが爆発し、緊急着陸した機体から出火した」という想定のもと、空港関係者や消防、自衛隊、医療機関などが連携し、消火と救助の一連の流れを確認しました。

想定は「エンジン爆発で緊急着陸」 炎上機体からの救出を訓練

訓練の舞台となったのは、滑走路脇に設けられた訓練エリアです。リポーターが「煙が上がっています。あの位置で機体が炎上している想定で訓練が始まります」と伝える中、エンジンが爆発して緊急着陸した旅客機から火が出ている、という緊迫した状況が再現されました。

参加したのは、福岡空港会社や航空会社、福岡市消防局、自衛隊など、合わせて約350人。福岡空港で行われる航空機事故対応訓練としては過去最多の人数で、関係機関が一体となって動く態勢づくりが大きなテーマとなりました。

訓練では、

  • 機体周辺の安全確保
  • 火災への初期対応
  • 乗客・乗員の救出とトリアージ(重症度の選別)
  • 医療機関への搬送

といった流れが、実際の事故さながらの緊張感の中で次々と確認されました。

最新鋭の化学消防車・HRETが登場 16メートルの高さから放水も

今回の訓練で注目を集めたのが、福岡空港に12月に導入された最新鋭の化学消防車です。

この消防車は、RKB毎日放送の報道などで「HRET(ハイ・リーチ・エクステンダブル・タレット)」と紹介されており、高所まで自在に伸ばせるアームの先端に放水ノズルを備えています。

主な特徴として、

  • 最大約16メートルの高さから放水が可能
  • ノズルを機体の外板に貫通させて内部へ直接放水できる構造
  • 操縦席から遠隔で安全に操作でき、隊員の被ばくリスクを抑えられる

といった点が挙げられ、客室内部が炎に包まれたケースなどでも、より短時間での消火が期待されています。

訓練では、このHRETが実際にアームを伸ばし、炎上を想定した機体に向けて放水する様子が披露されました。高い位置からの放水により、胴体の上部やエンジン付近にも効率よく水や消火薬剤を当てられることが確認されました。

DMATやドクターヘリも参加 医療連携を強化

今回の訓練の大きなポイントの一つが、医療機関との連携強化です。現場では、迅速な人命救助を目指し、救助から搬送、治療開始までの流れが細かく検証されました。

訓練には、

  • 久留米大学病院
  • 佐賀県のドクターヘリ
  • 災害派遣医療チーム「DMAT」

も加わり、消防や空港職員とともに、重症者の選別やヘリコプターによる広域搬送などを想定した連携手順を確認しました。

負傷者役の参加者が次々と救出される中、医師や看護師らが現場で応急処置を行い、搬送の優先順位を決めていく様子は、実際の大規模事故を意識したリアルな内容となりました。

「各機関がワンチームで」 福岡国際空港社長の思い

福岡国際空港の田川真司社長は、取材に対し、航空機事故対応における連携の重要性を強調しました。

「各機関がワンチームになって連携しないと、実際には様々な救出活動ができない。お客さまの命を守ることもできないと思っていますし、周辺のエリアの方々の財産を守ることもできないと思っている」と述べ、今回の訓練を通じて、関係機関同士の顔の見える関係づくりや、手順の確認が進んだことに手応えを示しました。

また、空港側は「引き続き安全な空港運営のため、訓練を重ねていきたい」としており、日々多くの旅客が利用する福岡空港で、万一に備えた取り組みを継続していく考えです。

九州各地で広がる航空機事故への備え 多良間空港でも訓練

航空機事故を想定した取り組みは、福岡空港だけでなく、九州・沖縄の他の空港でも進められています。

沖縄県の多良間空港でも、航空機からの出火を想定した訓練が行われ、消防や警察、空港関係者など8つの機関が連携して対応手順を確認しました。現場での初期消火や負傷者の搬送ルートの確認など、地域事情に合わせた訓練が実施されています。

地方空港では、

  • 限られた人員・設備でどう対応するか
  • 近隣の医療機関や消防との連携をどう強化するか

といった課題もあり、こうした訓練は、実際の災害時に備えるうえで大切な機会となっています。

「安全な空の旅」を支える地道な訓練

福岡空港は九州の空の玄関口として、国内外から多くの旅客が利用する大規模空港です。日常的には安全で快適な空の旅が当たり前のように提供されていますが、その裏側では、今回のような大規模な訓練が定期的に行われています。

エンジン爆発や機体火災といった緊急事態は、起きてほしくない事態ではありますが、だからこそ、万一の際に備えた準備が欠かせません。最新の消防車HRETの導入や、DMAT・ドクターヘリを含む医療連携の強化など、福岡空港では「技術」と「連携」の両面から安全性向上に取り組んでいます。

今回の訓練は、「もしものとき」に乗客や周辺住民の命と財産を守るために、どこまで現場が動けるかを確認する大切な機会となりました。今後も、こうした取り組みが積み重ねられていくことで、空の旅の安全性はさらに高まっていきそうです。

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