京セラ「TORQUE G07」が示すスマートフォン市場の新しい方向性──泥水対応と衛星通信で実現する別格の耐久性
スマートフォン市場が成熟し、どの機種を選んでも一定の性能が得られるようになった今、京セラとKDDIが展開する高耐久スマートフォン「TORQUE(トルク)」シリーズが新たな進化を遂げた。2026年2月25日に発表された最新モデル「TORQUE G07」は、シリーズ史上最強のタフネス性能を実現し、スペック競争とは一線を画した独自の立ち位置を確立している。
37項目の耐久試験をクリア──シリーズ最強のタフネスへの道のり
TORQUE G07は、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した21項目に加え、京セラ独自の16項目を含む、シリーズ最多となる37項目の耐久試験をクリアしている。これは従来モデルであるTORQUE G06の29項目から大きく拡大したものだ。
TORQUEシリーズの進化は段階的だった。2014年発売の初代「TORQUE G01」は約11項目の耐久試験に対応し、落下約1.2メートル、水深約1.5メートルの防水性能を備えていた。その後も海水対応や独自試験の追加など改良が重ねられ、2023年発売のTORQUE G06では対応試験が29項目へ拡大し、落下性能も約2メートルまで強化された。
しかし精密機器であるスマートフォンで耐久性能を引き上げることは容易ではなく、ここ数世代はスペック向上の幅も比較的小さくなっていたという。そこでKDDIが仕掛けたのが「TORQUE 2.0」というコンセプトだ。京セラとの議論を重ねた結果、新たに8項目の試験が追加され、最終的に37項目の耐久試験に対応することになった。
泥水対応で実現する、より過酷な環境への対応
TORQUE G07の特徴として最も注目すべきは、泥水試験への新たな対応である。これまでのTORQUEシリーズは防水性能に力を入れてきたが、実際の現場では泥水に浸かるような状況も発生する。G07はこのようなリアルな使用環境を想定し、泥水対応を新たに追加した。
同時に、海水対応の水深も従来の約2メートルから約5メートルへと引き上げられた。これにより、TORQUE G07は従来モデルと比較して、より過酷な環境下での使用が可能になっている。海での作業や災害現場での使用を想定したこの改善は、法人顧客をはじめとする実際のユーザーニーズに基づいたものだ。
衛星通信対応──TORQUEシリーズ初の大規模な機能拡張
TORQUE G07は耐久性の向上だけにとどまらない。TORQUEシリーズとして初めて、KDDIが展開する衛星通信サービス「au Starlink Direct」のデータ通信に対応した。衛星とスマートフォンが直接通信できるこの機能は、通常の携帯電話網が繋がらない地域でも通信が可能になることを意味する。
このサービスは、登山や海での活動、災害時の連絡など、様々な場面で革新的な価値を提供する。耐久性に優れたスマートフォンに衛星通信機能が加わることで、TORQUEシリーズの活躍舞台はさらに広がることになる。また、高速・大容量な5G通信(Sub6)を認識できる「5G+」アンテナピクトにも対応している。
着脱可能な電池パック──法人現場ニーズから生まれた仕様
現代のスマートフォンでは主流ではなくなった「着脱可能な電池パック」。TORQUE G07がこの仕様を守り続けているのは、法人の現場ニーズに応えるためだ。
バッテリー容量は4585mAhに増やされながら、前モデルであるTORQUE G06の電池パックや専用充電器との互換性も維持されている。初代TORQUE G01は内蔵バッテリーだったが、稼働時間を重視する法人顧客の要望を背景に、G02以降は交換式構造を採用した。この選択は、フィールドワークに携わるユーザーが複数の電池パックを持ち運び、長時間の活動を続けるという実際の使い方を想定したものだ。
カメラ性能の大幅な進化
ユーザーからのリクエストに応えるかたちで、G07ではカメラ性能も大きく進化している。メインカメラは1/1.55インチに大型化した約5000万画素で、新設計のナイトモードを搭載。夜景や暗所でもノイズを抑えて撮影できる。
さらに、写真の影を自動で消す「影消し」機能や、被写体が画角に入ると自動で録画を開始する「フレームイン録画」など、4つのAIカメラ機能が新たに搭載された。加えて、4センチまで被写体に寄れる約500万画素のマクロカメラも搭載しており、多様な撮影シーンに対応できる。
仕事での利用を想定した「低画素モード」も搭載されており、CALS規格に準拠した画質やサイズで撮影できるなど、実務的なニーズにも対応している。
カスタマイズ性と放熱性能の向上
TORQUE G07は、ユーザーが自分で着せ替えできるデザインへシフトしている。本体カラーはレッド・ブラック・オリーブの3色展開だが、別売のイエロー、ブルーの正面カバー・背面カバーを組み合わせることで、全5色の着せ替えが可能だ。さらに、USBカバーや正面スクリーンなど、消耗しやすいパーツはユーザー自身で交換できる。
パフォーマンス面では、高負荷がかかってもパフォーマンスを維持できるよう、アルミ板金のフレームに加えて、前モデルよりも熱伝導率の高いグラファイトシートで上下から挟み込むことにより、熱拡散効率が向上している。
スペック競争とは違う戦略
スマートフォン市場はプロセッサの性能やRAM容量などの数値スペックの競争になりがちだ。しかし、TORQUEシリーズはその対極にある。法人向けをはじめ、実際のニーズに基づいた耐久性、実用性、拡張性に力を入れることで、独自のニッチな立ち位置を確保している。
泥水対応による現場適応性の向上、衛星通信による通信範囲の拡大、着脱可能なバッテリーによる運用の柔軟性、そして進化したカメラ機能──TORQUE G07の各要素は、すべてユーザーの実際の使用環境と要望に基づいている。
発売予定と予約開始
TORQUE G07の発売予定日は2026年3月18日で、au限定販売。価格はオープン価格となっている。発売に先立ち、2026年2月25日午前10時から予約受付が開始されている。
成熟したスマートフォン市場において、別の軸で進化を続けるTORQUEシリーズ。TORQUE G07は、スペック競争ではなく、実用性と耐久性を追求するユーザーにとって、まさに別格の選択肢となるだろう。



