キオクシア、供給網3,000社のサイバー対策を徹底点検 脆弱な企業は取引見直しへ

半導体メモリ大手のキオクシアは、2025年8月5日、同社の広範なサプライチェーンに属する約3,000社の取引先企業のサイバーセキュリティ対策について詳細な点検を実施したことを発表しました。脆弱性が指摘された企業とは取引条件の見直しを進め、生産活動のリスクを最小限に抑える方針を示しました。

巨大供給網を守るための徹底検査

キオクシアが行ったサイバー対策点検は、供給網全体の安全性を確保する狙いがあります。具体的には、サーバーの設定状況やソフトウェアの脆弱性など、約200項目にわたる評価指標を用いて、各取引先のセキュリティ体制を厳しくチェックしました。この検査によって、わずか一社のセキュリティリスクが全体の生産停止という重大な結果をもたらす事態を未然に防ぐことを目指しています。

今回の取り組みの背景には、昨今増加傾向にあるサイバー攻撃の激化があり、大手企業が取引先のセキュリティ対策に懸念を抱くケースが多数報告されています。実際、アシュアードの調査によれば大手企業の情報システム部門の73%が、取引先のセキュリティに不安を感じていることが明らかとなっています。このような市場全体の安全意識の高まりが、キオクシアの先進的な取り組みを後押ししています。

リスク評価と取引先見直しの重要性

評価の過程で、サイバー対策に弱点が見つかった取引先については、今後の取引継続の可否を厳格に検討するとしています。脆弱性によるリスクを軽減するため、改善指導を行い、必要に応じて取引の一時停止も辞さない姿勢を示しました。

このような動きは、供給網全体の信頼性向上に寄与するだけでなく、製品やサービスの品質維持にも直結します。サプライチェーンの安全性が高まることは、キオクシア自身やその顧客に対しての価値提供を強化し、長期的な成長基盤になると期待されています。

Visionalグループによる“取引先リスクの見える化”の挑戦

一方、ビジネスサービスを提供するVisionalグループも、企業間の取引リスクを丸ごと可視化する新しいサービス開発に取り組んでいます。これは取引先企業のセキュリティリスクだけでなく財務状況など多面的なリスクをデジタルで総合評価し、企業が安全な取引を行えるよう支援する仕組みです。

こうした技術的なサポートにより、キオクシアのような大手企業もサプライヤーの信頼性を効率的に把握し、迅速な対応をとれることが可能となります。Visionalの取り組みは、企業の“第2の柱”となる事業領域として注目されています。

大手企業情シス部門の3分の2以上が取引先のセキュリティに不安

また、サイバーセキュリティの専門機関アシュアードが実施した調査では、日本の大手企業の情報システム部門担当者の73%が、取引先企業のセキュリティ体制に不安を感じていることが分かりました。この数字は、多くの企業がサプライチェーン攻撃への警戒を強めている実態を浮き彫りにしています。

これまでの対策に加え、キオクシアのような企業がサプライヤー全体への徹底的な点検を進めることで、多層的にリスクの低減を図ろうとする動きが今後一層拡大していくとみられます。

まとめ

半導体分野を代表するキオクシアが3000社に及ぶ取引先のサイバー対策点検を実施し、脆弱と判断された企業とは取引見直しを行う方針を示したことは、現代の高度なサプライチェーン管理における一大トピックです。Visionalグループによるリスクの見える化技術やアシュアード社の調査結果も踏まえ、企業間の信頼と安全を守る取り組みは今後さらに重要度を増すでしょう。

キオクシアの今回の措置は、取引先企業だけでなく日本の製造業界全体におけるサイバーセキュリティ意識の向上を促す契機となることが期待されます。

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