京浜急行電鉄、2026年3月期の業績予想と市場評価 ~増収も減益、アナリスト評価は中立・目標株価引上げ~
はじめに
京浜急行電鉄(京急)は、神奈川・東京を結ぶ交通インフラとして多くの利用者に親しまれてきました。2025年には大幅な増益を記録したものの、2026年3月期は業績に変化が見られています。今回は、最新の決算情報やアナリスト予想、市場評価をもとに、京急の現状とこれからをやさしく解説します。
最新決算のポイント
- 2025年3月期:連結経常利益は349億円(前年同期比23.1%増)と、大幅に伸びました。しかし、2026年3月期は245億円(前期比29.9%減)の見通しとなり、減益基調です。
- 2026年3月期第1四半期:連結売上高は731億1,800万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は85億3,200万円(2.0%減)、経常利益は78億8,200万円(7.5%減)、四半期純利益は54億2,500万円(21.3%減)となっています。
減益の背景
2025年は移動需要の拡大やホテル事業・羽田空港関連好調が増収増益に貢献しました。しかし、2026年3月期は不動産事業の減速や一部コストの増加、前年比での特殊要因の剥落などが利益を押し下げる要因となりました。
配当方針について
京急は配当を強化しています。2025年3月期の年間配当は「18円→26円」に増額し、今期も前期比8円増の34円と増配を予定しています。業績は減益予想ですが、株主還元への姿勢は明確になっています。
アナリストの評価と株価目標
- アナリストのコンセンサスでは「中立」の評価が続いています。2025年9月4日時点でも、評価は大きく変わっていません。
- アナリストの平均目標株価は1,540円(一部証券では1,600円、1,550円に引き上げ)とされていますが、現状の株価はそれにほぼ近い水準で推移しています。
証券会社は「レーティング据え置き(中立)」を継続しつつ、目標株価を引き上げる傾向が見られ、現時点での株価は割高感・割安感のいずれも薄い「適正水準」と評価されています。
四半期ごとの進捗状況
- 第1四半期(2026年3月期)の経常利益は目標(会社計画)の進捗率32.2%でした。前年同期と比べても、ややスローペースでの推移となっています。
- 四半期ごとでは増減がはっきりしており、今後の回復が注目されます。
業績詳細と要因分析
部門別の動き
- 交通事業:移動需要が拡大、特に羽田空港アクセスが好調を維持しました。
- ホテル・レジャー:ホテル部門は客室単価の上昇、新型コロナ後の需要増加によって売上を増やしました。
- 不動産:前年同期の特殊要因(主に大型物件売却等)が減少し、反動減で利益が縮小しています。
財務面の評価
- 自己資本比率は改善傾向にあり、財務の安定性も高めています。
- 配当性向の引き上げにより、株主への利益還元も強化しています。
市場の受け止めと今後の見通し
証券アナリストによる株価評価は中立的で、今後の業績回復や新たな事業展開への期待は控えめです。ただし、交通需要が平常化している点や財務基盤が進化している点は安心材料といえます。また、配当利回りの向上で長期保有を重視する投資家層にも一定の魅力を持つ状況です。
注目点とリスク要因
- 外部環境の変化:景気動向や訪日観光需要の変化が再び大きく影響する可能性があります。
- コスト上昇リスク:人件費や原材料費、エネルギーコスト上昇が収益圧迫要因となることが考えられます。
- 大規模投資のタイミング:社会インフラ更新や新規路線投資など、将来的な大型投資がキャッシュフローに与えるインパクトも重要です。
まとめ・今後への期待
京浜急行電鉄は、業績見通しこそ減益ながらも、安定した経営基盤と株主還元姿勢で市場から一定の評価を受けています。今後は、コロナ禍を経て変化した移動需要の安定化、新しいサービスや都市開発事業の拡充が成長のカギとなるでしょう。また、配当増額を継続することで、着実に株主への信頼も高めています。
今後も京急発の快適な移動と生活サービスの進化に期待が集まっています。