KDDIがAI社会実装を加速、大阪堺データセンター稼働とアイレット始動で日本のAIインフラが変わる

KDDI株式会社が、AI社会実装の加速に向けて大きな動きを見せています。2026年1月22日に大阪府堺市で大規模AIデータセンターの稼働を開始し、同時に事業会社「KDDIアイレット」を始動するなど、日本のAIインフラ整備に本格的に取り組んでいます。通信大手がAIデータセンター事業に注力する背景には、デジタルデータとAIを組み合わせた新たな価値創出への強い意志があります。

大阪堺データセンターが本格稼働、国内データ主権を確保

KDDIが稼働を開始した「大阪堺データセンター」は、シャープの堺工場跡地の電力・冷却設備を再活用した大規模AI拠点です。KDDIが長年培ってきたデータセンター構築・運用の知見を活用することで、半年という短期間での構築と稼働を実現しました。

性能面では、NVIDIA GB200 NVL72などの高性能GPUを備え、生成AIモデル「Gemini」のオンプレミス提供にも対応することが特徴です。これにより、製薬や製造業を中心にAIの社会実装を加速させる狙いがあります。最も重要な点は、このデータセンターが国内データ主権を確保したものであることです。企業の重要なデータを国内で保管・処理できる環境を整えることで、セキュリティ面での不安を軽減し、より多くの企業がAIの活用に踏み出しやすくなることが期待されています。

事業会社「KDDIアイレット」始動、エンタープライズAI支援を強化

2026年1月13日には、KDDIアジャイル開発センター株式会社がエンタープライズ企業向けの包括的なAI支援サービス「KAGAI AGILITY Suite」の提供を開始しました。このサービス群は、企業が安全かつ効果的にAIを活用するための複数のソリューションを提供するものです。

企業のAI導入には、技術面だけでなく、セキュリティ、運用体制、人材育成など、様々な課題があります。KDDIはこれらの課題に対して、トータルな支援を行うことで、日本企業のAI活用を促進しようとしています。特に、安全かつ効果的なAI活用という観点は、企業がAIに対して持つ不安を払拭する上で重要な要素となります。

AI駆動共創プログラムで新規事業創出を高速化

KDDIは2025年10月から、「KDDI AI駆動共創プログラム」を始動しており、これまでのDXプロジェクト支援をさらに進化させています。このプログラムは、従来の共創プロセスに独自開発のAIツールを組み込むことで、ビジネス創出のスピードと質を両面から高めることを目的としています。

従来は、「KDDI DIGITAL GATE」の専門家チームが課題発見からアイデア創出、技術検証までを伴走して支援していました。しかし新プログラムでは、各ステップでAIが人の思考を拡張し、検討プロセスの高速化を支援します。驚くべきことに、時間や人的リソースを削減しながらも、多くのアイデア検証を実現できるため、従来3~5日間かかっていたサービスデザイン工程を最短1日で完了できるようになったのです。

限られたリソースの中でもAIを活用し、検討サイクルを素早く回すことで、高精度な事業構想をアジャイルに構築できることが期待されています。特に日本の中堅・中小企業にとって、このような支援は大きな助けになるでしょう。

医療AIから検索サービスまで、多面的なAI展開

KDDIのAI戦略は、インフラ整備だけに留まりません。グループ会社のELYZAが開発した医療特化型LLM(大規模言語モデル)は、グローバル水準を超える性能を持っており、推論モデルについてもo1-miniに匹敵するモデルの開発を行っています

さらに、KDDIはAIを活用したニュース検索サービスを2026年春に日本で導入予定です。このサービスは、Google Cloud Japanと共同で開発されたもので、ユーザーが生成AIによってニュース記事やコンテンツを検索・発見できるように設計されており、メディアベースの情報を検索する際の関連性、スピード、文脈理解を向上させます

日本の通信大手がAIに注力する理由

なぜ、通信大手であるKDDIがここまでAIに注力するのでしょうか。その背景には、2025年5月の決算で掲げた経営方針があります。KDDIは「デジタルデータ×AIによる新たな価値創出」と「つなぐチカラの進化」を次の成長のこだわりとして位置付けています。

通信事業だけでは成長が限定的な時代において、KDDIは膨大なネットワークインフラと顧客基盤を活かしながら、AIを組み合わせることで、新しいビジネス領域を開拓しようとしているのです。大阪堺データセンターの稼働、アイレットの始動、AI駆動共創プログラムの展開など、これらは全て、その戦略を具現化したものです。

2026年、日本のAIインフラが変わる年に

2026年3月には、スペインのバルセロナで開催される世界最大規模のモバイル展示会「MWC26」でKDDIがAI時代のインフラと社会変革を展望する予定です。また、同じく3月10日~11日には、「KDDI Business AI Fes 2026」が開催され、KDDI自身の社内利活用やパートナー様との新たな価値創出の取組みが紹介されます。

これらのイベントを通じて、KDDIは日本国内だけでなく、グローバルにもAI時代のインフラと可能性を発信しようとしています。2026年は、日本の通信大手がAI社会実装の中心となり、日本全体のデジタル変革を牽引する、重要な年になるに違いありません。

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