カゴメ、業績下方修正と大幅減益で株価に波紋 〜2025年最新決算と今後の課題〜
カゴメ株式会社の最新決算発表と株価の動向
2025年10月29日、トマト加工食品大手のカゴメ株式会社(証券コード:2811)が、2025年12月期通期業績の最終利益予想を7%下方修正したことを発表し、市場に大きな波紋を広げました。これにより、カゴメの株価や今後の事業展望に関心が集まっています。
第3四半期までの業績と下方修正の詳細
カゴメは2025年12月期第3四半期累計(1月〜9月)の連結最終利益が前年比52.6%減の106億円と、大幅な減益となったことを決算短信にて公表しました。粗利を支えてきたトマト関連商品の国内外販売が減少し、コスト面での圧迫や為替変動の影響も重なり、会社側の従来予想を下回る推移となっています。
- 従来の通期最終利益予想:140億円
- 下方修正後の通期最終利益予想:130億円(前期実績250億円)
- 前年同期比減益率:44.0%減 → 48.0%減に拡大
当社が試算した2025年7月〜12月の下半期連結最終利益も、78.1億円から68.1億円へ約12.8%減額されました。直近3ヶ月(第3四半期、7月~9月)の最終利益は前年同期比16.6%減の45億円。売上営業利益率も前年同期10.2%から9.1%に低下しています。
減益要因:トマト関連消費の減退、原材料コスト増加
今回の大幅減益・下方修正の主因は主力商品であるトマトペーストや加工食品の販売減少です。新型コロナウイルス感染拡大と景気変動を経て、家庭内需要の一巡や、消費者の節約志向の高まりによる販売鈍化傾向が顕著でした。
また、原材料であるトマトの国際相場や物流コスト高騰、円安進行による輸入コスト上昇も収益圧迫要因となりました。市場全体での競争激化も影響し、利益水準が著しく低下した格好です。
市場の反応と株価の推移
決算発表直後、カゴメ株は大きく値を崩しました。終値ベースで2025年10月28日には2,785.5円(-39円、-1.38%)、さらに下方修正や減益幅の拡大を嫌気した売りが広がり、10月29日の終値は2,692.5円まで下落し、日中でも一時3%を超える下落率となっています。
- 2025年10月27日終値:2,824.5円
- 2025年10月28日終値:2,785.5円(前日比-39円)
- 2025年10月29日終値:2,692.5円(前日比-93円、-3.34%)
- 年初来高値:3,076円(2025年3月11日)
- 年初来安値:2,668.5円(2025年4月7日)
アナリストによる株価目標は平均2,900円程度とされ、現状は目標株価をやや下回るか、理論株価とほぼ同水準になっています。株価水準は割安〜妥当との評価ですが、短期的には利ざやを狙った売買が先行する展開が続いています。
投資家や専門家の評価と今後の見通し
証券アナリストや投資家からの評価は二分されています。「コロナ禍で巣ごもり需要が高まった2021〜2022年の反動がいまだ継続している」「原材料インフレや消費低迷から短期的な業績回復は難しい」という慎重な見方が優勢です。レーティングも『中立』が中心となっています。
ただし、グローバル展開や健康志向の市場ニーズ、独自原料調達網など、中長期的な成長余力を評価し、投資スタンスを維持する声も少なくありません。「今は一時的な調整。販売戦略や製品ラインナップの転換による再成長の可能性を見守るべき」との意見も散見されます。
消費者・生活者への影響
カゴメの減益・株価下落は一見すると直接的な消費者影響が少なく思えるかもしれません。しかし、国内外で流通するトマト加工品やソース、野菜飲料など
日常的に利用されている多彩な商品に関わる供給不安や、コスト増が価格転嫁につながるリスクがあります。価格改定や商品ラインナップの見直し動向にも生活者として目配りが必要でしょう。
企業としての今後の取り組み課題
- コスト構造の見直しと国際競争力強化による収益性回復
- サステナブル原料調達や環境負荷低減によるESG経営の深化
- 市場ニーズに応じた商品の刷新と国内外ブランド力の拡大
- 新たな健康価値・栄養訴求型製品の開発・投入強化
競合他社とのシェア争いや、食生活・健康志向の多様化に応える柔軟な経営戦略の構築が、今後の成長を大きく左右すると考えられます。
まとめ
2025年10月末のカゴメ株式会社決算速報を受け、株価は大きな波乱を迎えました。主力事業における利益圧迫は一時的なものか、構造的問題か、今後の問われるポイントとなりそうです。食生活を支える企業としての信頼回復と、株主・消費者双方の期待に応える経営再建に注目が集まります。




