順天堂大学が明らかにした高齢心不全患者の「呼吸サルコペニア」リスク 退院後の死亡率に大きな影響

皆さん、こんにちは。高齢者の心不全は、多くの方が心配する身近な病気です。そんな中、順天堂大学の研究チームが、心不全で入院した高齢者の退院後の命に関わる重要な発見を発表しました。それは「呼吸サルコペニア」という状態です。この状態があると、退院後の死亡リスクがぐんと高くなるそうです。今日は、このニュースを優しくわかりやすくお伝えします。順天堂大学の最新研究を中心に、詳しく見ていきましょう。

呼吸サルコペニアって何? 呼吸筋の弱さが命取りに

まず、「呼吸サルコペニア」とはどんなものか、簡単に説明しますね。サルコペニアは、筋肉の量や力が年齢とともに減ってしまう状態を指しますが、呼吸サルコペニアは特に呼吸に関わる筋肉、つまりお腹の奥にある横隔膜の筋肉が弱くなることです。この研究では、横隔膜の厚さが薄くなっている(安静時横隔膜厚が0.15cm未満)と、肺の働きを示す%予測努力性肺活量(%FVC)が80%未満の両方を満たす場合を呼吸サルコペニアと定義しました。

横隔膜の厚さはエコー(超音波)で測り、%FVCはスパイロメトリーという肺機能検査で調べます。これらを同時に見て、呼吸筋の量と機能の両方が低下しているかをチェックするんです。呼吸が浅くなったり苦しくなったりすると、体全体の健康にも悪影響が出やすいんですね。

順天堂大学の研究でわかったこと 患者の10人に1人が該当

この研究は、順天堂大学大学院医学研究科の循環器内科学教室、中出泰輔非常勤助教、前田大智非常勤助教、鍵山暢之特任准教授、末永祐哉准教授、南野徹教授らのチームが進めました。多施設前向きコホート研究「SONIC-HF」を使っています。これは、2018年から2019年に国内4施設で集めたデータです。

対象は、急性心不全で入院し、65歳以上で独歩退院できた患者さん692人から、データ不足の257人を除いた435人。平均年齢は81歳で、女性が41.8%でした。その結果、呼吸サルコペニアは47人(10.8%)に認められました。つまり、10人に1人くらいがこの状態だったんです。

  • 呼吸サルコペニアあり:退院後2年間の全死亡率が有意に高い
  • 特に、退院後の死亡リスクが増加することが判明

この発見は、European Journal of Preventive Cardiology誌の2026年1月6日オンライン版に掲載されました。心不全の患者さんは、心臓だけでなく呼吸の筋肉も弱くなりやすいんですね。

もう一つの注目研究 退院時の身体機能が1年後の命を予測

順天堂大学では、呼吸サルコペニア以外にも、心不全の高齢者の予後を予測する研究が進んでいます。2026年2月12日に話題になった「高齢心不全患者の退院時の身体機能が1年後の生命を左右する」という研究です。

これは、日本循環器理学療法学会主導の「J-Proof HF Registry」という大規模研究で、国内96施設の9,700人の高齢心不全患者データを解析しました。退院時の身体機能、例えば握力や歩行速度、Short Physical Performance Battery(SPPB)という簡単なテストで測った結果が、心臓の機能(左室駆出率)などの従来の指標と同じくらい、1年後の死亡を予測できることがわかりました。

さらに、AIモデルを使って予測精度を高め、AUC(予測精度の指標)0.76という高い値を達成。既存のスコアより優れていました。このモデルはWebアプリとしても開発中で、現場で使いやすそうです。心不全患者さんはサルコペニアや他の健康問題を抱えやすく、入退院を繰り返すので、こうした身体機能チェックが大事なんですね。

なぜ今、この研究が注目されるの? 高齢化社会の課題に直結

日本は世界一の高齢化が進んでいます。心不全は高齢者に多く、退院後も再入院や死亡のリスクが高い病気です。従来は心臓中心の検査が主流でしたが、順天堂大学の研究は呼吸や身体機能に注目。退院時のチェックでリスクを予測できれば、個別ケアが可能になります。

例えば、呼吸サルコペニアがある人は、リハビリを強化したり、呼吸筋トレーニングを入れたりする工夫が考えられます。研究チームは、「安静時横隔膜厚と%FVCを組み合わせることで、予後のリスク層別化の精度が高まる」と指摘しています。これで医療資源を効率的に使え、患者さんの生活を支えられるんです。

研究の詳細をもう少し深掘り どうやって調べたの?

SONIC-HF研究の解析では、横隔膜エコーで呼吸筋量を、肺機能検査で呼吸機能を評価。カットオフ値は横隔膜厚<0.15cm、%FVC<80%です。この両方を満たすと呼吸サルコペニアと診断。結果、該当者は退院後2年間で死亡リスクが有意に上昇しました。

一方、身体機能研究では、握力、膝伸展筋力、歩行速度、SPPBなどを測定。AIがこれらを組み合わせ、心機能データと並ぶ予測因子に。9,700人という大規模さから信頼性が高いです。

順天堂大学は、こうした多施設研究を積極的に行い、成果を国際誌に発表。2026年2月13日現在、大学サイトでも最新トピックとして紹介されています。

私たちにできること 日常の予防と早期発見

このニュースから、皆さんが心がけられることを考えてみましょう。高齢者の心不全予防には、適度な運動が大事。呼吸筋を鍛える深呼吸や、歩く習慣が役立ちます。心不全の症状(息切れ、むくみ)が出たら、早めに病院へ。

医療従事者の方には、退院時に横隔膜エコーや肺機能検査、身体機能テストをルーチン化することをおすすめします。順天堂大学のツールが実用化されれば、もっと簡単になるはずです。

順天堂大学の強み 薬学部就職ランキングでも1位の慶應に負けない研究力

ところで、順天堂大学は医学・医療分野で知られる大学です。2025年の調査では、薬学部の就職に強い私立大ランキングで慶應義塾大学が1位ですが、順天堂も心臓・呼吸の研究で世界をリード。スポーツ健康科学部なども活発で、多角的な健康研究を進めています。

この研究は、高齢心不全のケアを変える一歩。順天堂大学の皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの健康管理に役立ててくださいね。(文字数:約4520文字)

参考元