開業から数カ月――「ジャングリア沖縄」は今どうなっている? 現地の声と運営の本音を追う
沖縄北部に昨年オープンし、大きな話題を集めた大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」。開業から数カ月が経った今、SNS上では「ガラガラ」「アトラクションが少ない」といった気になる声も聞こえてきます。一方で、現地を訪れた人からは「満足した」という感想も多く、評価は割れているのが実情です。ここでは、最新の報道や運営会社への取材内容をもとに、現在のジャングリア沖縄の姿を、できるだけわかりやすくお伝えします。
ジャングリア沖縄とはどんな施設? 開業の経緯と特徴
ジャングリア沖縄は、沖縄県北部・名護市と今帰仁村にまたがる約60ヘクタール(東京ドーム13個分)の広大な敷地に誕生した、本格的なテーマパークです。 沖縄県としては初の大規模テーマパークとされ、世界自然遺産にも登録された「やんばる」の豊かな自然に囲まれたロケーションが特徴です。
全体の企画統括を務めたのは、USJのV字回復に関わったことで知られるマーケター森岡毅氏。約総事業費700億円規模のプロジェクトで、東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンと比べると投資額は「半額以下」とされています。 国のファンドであるクールジャパン機構から80億円の出資を受け、開業発表時の会見には当時の石破茂首相も出席するなど、国の観光政策の一環としても位置づけられているのが大きなポイントです。
コンセプトは、自然に囲まれた「興奮と贅沢の南国リゾート」。「絶景に浸かる」「スパでくつろぐ」といった要素も盛り込み、アトラクションだけでなく、滞在型のラグジュアリー体験を提供することをうたっています。
SNSで広がる「ガラガラ」「アトラクションが少ない」という声
開業直後は、人気アトラクションに長い行列ができる様子がニュースでも取り上げられ、スタートダッシュは上々のように見えました。 しかし、開業から数カ月が経った現在、SNS上では別の光景が注目を集めています。
- 人影の少ないエリアの動画や写真とともに「ガラガラ」とコメントされた投稿
- 「アトラクションが少ない」「公園レベル」といった厳しい声
こうした断片的な映像や感想が拡散されたことで、「本当に大丈夫なのか」「空気感が心配」といった不安が広がりがちですが、実際にはポジティブな評価も少なくありません。 例えば、旅行サイトのクチコミでは、年始に訪れた利用者が「プレミアムパス4枚と整理券2枚の計6つのアトラクションを楽しめた」といった具体的な体験談を投稿しているケースも見られます。
つまり、「ガラガラ」という印象は、あくまで一部の時間帯やエリアを切り取ったものである可能性もあり、全体像を慎重に見る必要があります。
運営に直撃――「一日数千人が来場」「待ち時間は大幅短縮」
SNS上の「空いている」印象や、「アトラクションが少ない」といった声を受けて、運営会社であるジャパンエンターテイメント(JE)はメディアの取材に応じ、現在の状況を説明しています。
運営側が明かした主なポイントは、次のとおりです。
- 現在も一日あたり数千人の来場者がある
- 開業以来、アトラクション運営を中心に「日々地道な改善」を継続
- その結果、「人気アトラクションの待ち時間は大幅に短縮」している
- 沖縄の11〜2月は例年オフシーズンで、来場者が減る傾向がある
もともと、沖縄の観光は夏場にピークを迎え、冬場は客足が落ち着くのが通例です。 そのため、現在SNSに上がっている「空いている」映像は、ちょうどオフシーズンの姿を映したものと考えられます。運営側も、来場者数の具体的な数字は公表していないものの、「想定の範囲内」といったスタンスで、落ち着いて状況を見ているようです。
また、テーマパークの混雑状況を記録している情報サイトでは、2025年夏から2026年1月までの待ち時間の推移が確認でき、日によって混雑に差があることもわかります。 オフシーズンの平日は比較的空いており、「人気アトラクションを効率よく楽しめる穴場の時期」と捉えることもできそうです。
アクセスと宿泊施設の課題――「遠いパーク」は改善しつつある?
ジャングリア沖縄の課題として、開業前から指摘されていたのがアクセスと宿泊の問題です。
- 那覇空港から車で2〜2時間半と、県内の他施設と比べてもかなりの距離
- これまで、県北部は「那覇に宿泊し、日帰りで美ら海水族館に行く」観光スタイルが主流
- そのため、北部地域への宿泊・消費が広がりにくいとされてきた
こうした懸念を踏まえ、運営側や地元では対策が進められています。
- JEは那覇市・本部町・名護市などとパークを結ぶバスを、1日あたり50便以上運行し、交通アクセスの不便さを軽減しようとしている。
- 開業した2025年の夏以降、今帰仁村や名護市で新たなホテルが相次いで開業。特に「リットホテル今帰仁」など、パーク周辺の宿泊施設が増えつつある。
これにより、当初は懸念が大きかった「泊まる場所がない」「行きづらい」といった問題は、徐々にですが解消されつつあると見られています。 宿泊前提でゆっくり楽しむ「滞在型テーマパーク」としてのスタイルが定着すれば、利用者の満足度にもプラスに働く可能性があります。
不動産市場へのインパクト――地価は高騰、業者の約半数が「影響あり」
ジャングリア沖縄の開業は、観光だけでなく不動産市場にも影響を及ぼしています。県内280の不動産業者を対象とした調査では、約45%が「ジャングリア開業の影響を実感している」と回答したと報じられています。
具体的には、パーク近隣エリアを中心に土地価格の高騰が起きている一方で、「期待されたほどの取引増加には結びついていない」といった声もあるようです。観光施設の大型投資に伴って地価が上がるのは全国各地で見られる傾向ですが、その効果が地元住民の生活や事業の発展にどこまで還元されるのかは、これからが本当の正念場ともいえます。
ただ、ホテルの新規開業やインフラ整備など、ジャングリアをきっかけに北部エリアへの投資が活発になっているのは確かで、宿泊・飲食・交通など関連産業への波及効果も少しずつ広がりつつあります。 まだ開業から半年程度であり、「長期的にどうなるか」を見極めるには時期尚早という見方が多いのも事実です。
「アトラクションが少ない」は本当? 利用者の体験談から見えるもの
批判の中でも目立つのが「アトラクションが少ない」という指摘ですが、これはパークの設計思想とも関係しています。
ジャングリア沖縄は、いわゆる絶叫マシンや大量のショーを詰め込むスタイルではなく、「自然の中での体験」「上質なリゾート感」を重視しているため、他の大型テーマパークと単純に「数」で比較すると、物足りなさを感じる人がいても不思議ではありません。 一方で、実際に訪れた人の中には、次のような声もあがっています。
- プレミアムパスを活用して一日で複数の人気アトラクションを効率よく楽しめた
- 混雑が少なく、長時間並ぶストレスが少なかった
- 冬の沖縄の気候が過ごしやすく、屋外のアクティビティを快適に楽しめた
つまり、「アトラクションが少ない」と感じるか、「混雑が少なくて快適」と受け取るかは、期待している体験のタイプによって大きく変わってきます。絶叫系や大型パレードを数多く楽しみたい人にとっては物足りない一方、自然と一体になった空間でゆっくり過ごしたい人には、むしろ「ちょうどよい」バランスだと感じられる場面もありそうです。
今後の拡張計画と投資――「スパ ジャングリア」など新施設も
運営元のJEは、現在の状況に対応するため、追加投資や新施設の導入も進めています。
- 2026年のゴールデンウィーク前後をめどに、新アトラクションを導入予定と報じられている。
- 公式サイトでは、「SPA JUNGLIA(スパ ジャングリア)」など、リゾート性を強める施設の展開も打ち出している。
- レストランや物販、宿泊提携など、パーク周辺を含めた滞在体験の充実に向けた投資を続ける方針を示している。
運営側は、「開業から数カ月で評価を固めてしまうのは早計」であり、今後数年をかけてアトラクションやサービスを拡充しながら、国内外からの集客を高めていきたい考えです。
訪問を検討している人へのヒント――「今」のジャングリアをどう楽しむか
最後に、これからジャングリア沖縄を訪れようか迷っている人に向けて、現状から見えるポイントを整理してみます。
- オフシーズン(冬〜早春)は比較的空いている傾向があり、待ち時間が短く快適に回りやすい。
- 「アトラクション数より、自然と非日常の雰囲気を重視したい」タイプの人に特に向いている。
- 那覇から距離があるため、北部エリアでの宿泊とセットで計画すると、移動の負担が軽くなりやすい。
- 開業から間もないこともあり、今後さらに施設が増える可能性を踏まえると、「育っていく途中のテーマパークを体験する」楽しみ方もできる。
一方で、「アトラクションをとにかく数多く乗りたい」「有名テーマパーク並みの規模感を期待している」という人は、事前にパークの公式情報や最新のクチコミを確認して、自分の期待と合っているかを確かめておくと安心です。
ジャングリア沖縄は、まだ誕生して間もないテーマパークです。土地価格の高騰や不動産業界への影響など、周辺地域にもすでに変化をもたらしていますが、その真価が問われるのはこれから数年の歩みの中でしょう。沖縄の自然と観光産業の新たな可能性を映し出す存在として、今後もその動向に注目が集まりそうです。


