長期金利が18年ぶりに1.9%台に上昇、利上げ観測が強まる

日本の長期金利が大きな注目を集めています。2025年12月1日、新発10年債の利回りが一時1.840%に上昇し、2008年6月以来、約17年半ぶりの高さを記録しました。その後も上昇を続けており、1.9%台まで上昇するなど、市場の動きが活発になっています。

なぜ長期金利が上昇しているのか

長期金利の上昇は、いくつかの要因が重なった結果です。まず、日本銀行の金融政策の方向転換が大きな背景にあります。日銀は2025年12月18日から19日にかけて金融政策決定会合を開催する予定ですが、市場では利上げが行われるのではないかとの観測が強まっています。

実際のところ、長期金利は2025年11月に入ってからも上昇を続けており、11月初めの1.684%から11月28日には1.812%まで上昇しました。この傾向は、日銀が金融政策を引き締め方向へシフトさせるという市場の予想が反映されています。

また、アメリカの金融政策も影響しています。米連邦公開市場委員会は10月29日に政策金利を0.25%引き下げることを決定しており、12月9日~10日にはさらに利下げが行われるとの見解もあります。こうした海外の金融環境の変化も、日本の金利に波及してきています。

フラット35など住宅ローンへの影響

長期金利の上昇は、私たちの生活にも直結しています。固定金利の代表的な商品であるフラット35の金利も上昇しており、2025年12月の最も多い金利は1.970%となりました。これは2025年11月の1.9%から0.07%上昇したもので、主な金融機関がほとんど金利を引き上げています。

住宅ローンを検討している人にとって、金利の上昇は月々の返済額に大きな影響を与えるため、今後の動向を注視する必要があります。

今後の金利見通し

市場関係者の予想では、日銀は2025年12月に短期金利を0.75%に引き上げると見込まれています。その後も緩やかなペースで利上げが続く見通しで、半年に一度程度のペースで0.25%ポイントの追加利上げが行われると想定されています。予測期間の終盤、2027年1月から3月期には短期金利は1.25%に達する見込みです。

長期金利についても、上昇を続けると予想されており、予測期間の終盤には2%を上回ると見込まれています。これは、日銀が緩やかながらも短期金利を引き上げていくことが長期金利を押し上げる要因として働くためです。

市場の議論と懸念事項

ただし、市場ではいくつかの議論もあります。長期金利が高水準で推移していることから、日銀は今度こそ利上げを行うのではないかとの意見がある一方で、現在の政権の影響によって利上げに至らない可能性も指摘されています。政治と日銀の関係性が金融市場に与える影響も、注視すべき点となっています。

また、インフレーションの状況も重要です。日本銀行の掲げた2%のインフレ目標と整合的なターミナルレート(最終的な政策金利の水準)は1.75%と見込まれており、今後の物価動向によって金利政策が調整される可能性もあります。

歴史的背景

長期金利が1.9%台に上昇することは、市場にとって大きな転機を示しています。長期金利は、2024年5月末時点で1.08%と11年ぶりに1%台に達しました。その後は1%台を推移していたものの、2024年8月に入ってから1%をわずかに下回る状態が続きました。2024年11月には上昇の気配が見られ、その後も上昇と下落を繰り返していましたが、2025年8月からは上昇傾向が顕著になっています。

まとめ

日本の長期金利が18年ぶりに1.9%台に上昇したことは、日銀の金融政策転換の意図を示す重要なシグナルです。住宅ローンから資産運用まで、私たちの生活に広く影響を与える金利の動向は、今後も市場参加者から高い関心を集め続けるでしょう。12月の日銀の金融政策決定会合の結果が、次の大きなターニングポイントになることが予想されています。

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