かんぽ生命、通期業績予想を大幅上方修正
かんぽ生命保険株式会社(証券コード:7181)は2025年11月14日、2026年3月期の通期連結業績予想を上方修正したと発表しました。今期上期(2025年4月~9月)の連結経常利益は前年同期比10.2%増の1,838億円、最終利益は49.3%増の938億円となりました。特に注目されるのは、通期の経常利益予想を従来の2,400億円から2,600億円へ8.3%引き上げ、増益率見通しを40.9%増から52.7%増へと大幅に上方修正した点です。これは、かんぽ生命の収益力と経営基盤の強化が鮮明になった証しといえます。
連続高騰する株価と業績推移
かんぽ生命の株価は、この好調な業績発表を材料に直近で6日続伸。市場関係者の間では、今後の成長性への高い期待が表れています。2025年7~9月期の連結経常利益実績は前年同期比17.9%増の1,164億円と、直近の四半期でも力強さを見せました。下期(10月~翌3月)の利益見通しも前年同期比22倍となる急拡大が見込まれています。
2026年3月期第2四半期決算の詳細
2026年3月期第2四半期の決算概要によると、連結経常収益は前年同期比2.2%減の2兆8,798億円となったものの、これは主に保険料収入の減少によるものです。一方、資産運用収益は引き続き安定しており、運用環境の改善が功を奏しました。最終利益は93,862百万円(前年同期比49.3%増)と高い伸びを記録しています。
- 保険料等収入:1兆1,989億円(前年同期比36.5%減)
- 資産運用収益:6,197億円(同3.4%減)
- その他経常収益:1兆611億円(同156.2%増)
- 経常収益:2兆8,797億円(同2.2%減)
- 経常利益:1,838億円(同10.2%増)
- 四半期純利益:938億円(同49.3%増)
経常利益・純利益ともに過去最高水準で推移しており、経営の安定・成長を強く印象付ける内容となりました。
最終利益の上方修正と見通し
かんぽ生命は、好調な上期実績と資産運用の収益改善を背景に、2026年3月期通期の最終利益見通しを前回予想の1,230億円から1,590億円に大幅上方修正しました。これにより、前期比28.8%増という力強い増益が見込まれています。この上方修正は、外部環境の好転と社内改革の成果が組み合わさったことを反映したものです。
- 2026年3月期通期予想(2025年11月14日発表)
- 売上高:5兆7,400億円(前期比6.9%減)
- 経常利益:2,600億円(同52.7%増)
- 最終利益:1,590億円(同28.8%増)
- 1株当たり当期純利益:428.1円(同32.7%増)
- 1株当たり配当予想:124円(同19.2%増)
特に株主還元姿勢が評価されており、配当予想も引き上げられています。
業績拡大の背景 ― 巨大資産と新たな経営戦略
かんぽ生命の強みは、総資産および保有契約件数国内トップクラス(2025年3月末時点で1,881万件)という巨大な営業基盤にあります。また、経営戦略として「お客さま本位の保険サービス」「アセットマネジメントの高度化」「地域と社会への貢献」を掲げ、中長期的な成長と持続的な価値創造を目指しています。
- コアビジネスである個人保険新契約件数は一時払終身保険の需要減少などで前年同期比60.6%減となりましたが、これは昨今の金融・環境変化や顧客ニーズの多様化に伴うものです。
- 一方で、資産運用は順ざや(収入利回りと支払利回りの差)が大幅に拡大し、株式やオルタナティブ資産による配当増が収益を大きく押し上げました。
- 今後も「資産運用収益の最大化」「非伝統的資産への投資拡大」などに取り組む方針が示されています。
加えて、2025年11月14日の取締役会で自己株式の取得を決議するなど資本政策も積極的です。今後の成長戦略では、付加価値型保険商品の拡充やヘルスケア、デジタル領域への本格参入も強化されていく見通しです。
今後の注目ポイントと市場評価
市場では、かんぽ生命が今後も引き続き高収益を維持できるかどうか、新しい商品分野や資産運用の巧拙、ガバナンス体制の強化など、総合的な企業価値向上に注目が集まっています。実際に、現在の高水準な配当・自己株取得策に加え、株価の堅調推移は株主・投資家からの強い評価の表れともいえるでしょう。
また、生命保険業界では少子高齢化など逆風もある中、かんぽ生命は巨大な資産基盤と多様な経営戦略を武器に、「安心・安全・成長」を実現するリーディングカンパニーとして位置付けられつつあります。
読者へのメッセージ
今回の上方修正や高配当予想は、かんぽ生命の着実な業績回復と新たなチャレンジの成果が反映されたものです。今後も生活者目線の商品開発や地域社会への貢献、さらには資産運用の高度化とガバナンス強化に力を入れ、「日本を代表する生命保険会社」としてさらなるステージアップが期待されます。
かんぽ生命はこれからも、お客様・株主・社会全体に対して価値を提供し続ける存在を目指し、着実な一歩を進めていくことでしょう。



