宮崎県でインフルエンザ流行が急拡大――新変異株「サブクレードK」の脅威と“隠れインフル”への注意

はじめに

2025年11月下旬、宮崎県内におけるインフルエンザの感染者数が急増し、流行注意報レベル基準値を大幅に超える事態となっています。昨季よりも4週早い注意報発令となり、学校や家庭、地域社会で大きな不安が広がっています。
特に今年は、新しい変異ウイルス「サブクレードK」の出現が、感染拡大と流行の早期化の一因とされており、これまでにない警戒が必要です。さらに、症状が軽く気付かれにくい「隠れインフル」も感染拡大につながるリスクとなっています。

インフルエンザ流行状況と県内の影響

  • 感染者の急増 :2025年11月10日~16日の1週間で、定点医療機関から報告された患者数は342人となり、前週比およそ2.3倍。
    定点あたり報告数は12.21人で、流行注意報レベル(定点あたり10人)を初めて超えました。
  • 昨季より4週早い注意報 :例年より流行が著しく早く、昨シーズンに比べ4週間も早く注意報レベルへ到達しました。
  • 児童・生徒への影響 :患者の約8割が14歳以下の子どもであり、県内では小中学校や高校で学級閉鎖も相次いでいます。宮崎市内だけでなく、県南部の高校などを含めて、合わせて9校が学級閉鎖に踏み切っています。
  • 広域的な流行 :厚生労働省の発表では全国で14万6千人余りの患者数報告があり、宮崎県だけでなく複数県でも注意報・警報レベルを超えるなど流行が拡大しています。

インフルエンザは子どもや高齢者、基礎疾患のある方では重症化しやすいため、早期の対策と予防が重要です。

新変異ウイルス「サブクレードK」と“隠れインフル”の脅威

  • サブクレードKの出現 :今年度の流行の早期化と拡大には、新たなインフルエンザウイルス「サブクレードK」の流行が背景にあるとされています。従来よりも感染力が強い可能性が指摘されており、ワクチンによる予防効果や、抗体獲得者の増加にも関わらず、早いペースで地域や学校内で感染が広がっている一因と考えられます。
  • “隠れインフル”の問題 :今季は症状が軽いため、本人も気付かず通常の生活を送る「隠れインフルエンザ」や「不顕性感染者」が多く発生していると、自治体や医師から注意が呼びかけられています。
    熱が大きく上がらない、体のだるさや喉の違和感程度しかない、といった状態でも感染が拡大しやすく、集団生活の場(学校・職場・福祉施設など)で知らぬ間に感染拡大を引き起こす危険性が高いです。

このため、インフルエンザの典型的な症状がなくとも注意が必要です。家族内で体調が優れない方がいる場合は、早めの受診・隔離を心がけましょう。

現状のデータまとめ

  • 定点あたり患者報告数(宮崎県)

    報告数 定点あたり
    第42週 68 2.43
    第43週 44 1.57
    第44週 61 2.18
    第45週 151 5.39
    第46週 342 12.21
  • 学級閉鎖状況(宮崎県)

    宮崎市、小林市、県南部の高校などで、延べ9校の学級・学年が多数閉鎖されています。閉鎖の理由として、同時期に複数人がインフルエンザで欠席する状況が急増しているためです。

日常生活での予防と対策

  • 手洗い・咳エチケットの徹底 :感染予防の基本は正しい手洗いと、咳やくしゃみの際に口元を覆う「咳エチケット」で、他者への感染拡大を防ぎます。
  • 体調不良時の早めの受診 :インフルエンザの流行期は症状が軽くても早めの医療機関受診を心がけ、確定診断を受けて必要に応じて自宅療養・隔離を行うことが大切です。
  • 予防接種の重要性 :予防接種を受けている場合でも、今年のように新しい変異株が広がる可能性があるため、流行状況を注視し、ワクチン接種に加えて感染対策を続けましょう。
  • 集団生活での配慮 :学校や職場など、多くの人が集まる場所では換気や清掃の徹底、人の密集を避ける工夫が求められます。高齢者施設や福祉施設では、利用者の健康管理をこれまで以上に細かく行う必要があります。

また、家庭内での感染予防にも注意が必要です。発熱や咳などの症状を持つ家族がいる場合は、可能な範囲で部屋を分け、タオルや食器の共用を避けるなどの対応を心がけてください。

医療機関や自治体からの呼びかけ

  • 宮崎県および厚生労働省、地元医療機関からは、インフルエンザの感染拡大に強い注意が必要との呼びかけがなされています。
  • 予防策の徹底や早期受診、個々の健康管理について周知が進められています。
  • 学校では、出席停止基準を遵守し、非感染者も含め体調管理を重視する指導が行われています。

まとめと今後の見通し

2025年秋における宮崎県のインフルエンザ流行は、過去に例のない早いペースで拡大しています。特に今年は新変異株「サブクレードK」の影響や、症状が表れにくい“隠れインフル”の増加による予想を超えた感染拡大が大きな課題です。
地域社会、学校、家庭での日常生活を守るため、基本的な感染予防策の徹底と、流行期の早めの受診・適切な対応を心がけましょう。
今後も、自治体や医療機関からの最新情報を注視しつつ、誰もが安心して暮らせるよう連携した対策を行うことが求められます。

参考元