2025年、インフルエンザA型流行警報発令 ~東京都中心に全国で急拡大~

インフルエンザA型が例年より早く猛威―警報発令の背景

2025年秋、日本全国でインフルエンザA型(主にH3N2型)の流行が例年よりも早く、かつ急速に拡大しています。東京都においては、11月上旬に過去数年で最も早い段階でインフルエンザ流行警報が発令されました。このような早期警報は珍しく、医療機関や行政機関は例年以上に警戒を強めています。

都内の感染状況と警報発令の目安

2025年11月9日までに、東京都内では集団感染事例が1,616件報告されており、保育所や学校など子どもが集まる施設を中心に感染が拡大しています。警報レベルは「定点医療機関」の週当たり患者数が30人/週を超える場合、さらに東京都の人口全体の30%が警報レベルの保健所管内に含まれる場合に発令されます。

  • 2025年11月3日~9日の週で定点医療機関報告数が29.03人/週に達し、警報基準を大きく超過。
  • 31保健所中12保健所が警報レベルに入り、その人口割合が東京都全体の46.18%となっています。

このため、11月上旬には都全体で警報が発令され、「大きな流行が発生または継続しつつある」と報道を通じて都民に注意喚起が実施されています。

子どもたちの間で急拡大―施設ごとの発生状況

  • 2025年9月1日〜11月9日までの間に、小学校で718件、中学校で293件など、教育現場での感染が非常に多く見られます。
  • 流行の中心は15歳未満の子どもたち。横浜市ではこの年代が全体の75.6%を占めていると報告されています。

もともとインフルエンザは子ども達の間で広がりやすく、集団生活を行う学校や保育施設では大規模な休校・閉鎖措置が取られることも多くなっています。

日本各地での流行警報・注意報相次ぐ

東京のみならず、愛知県、広島県、三重県、横浜市など各地でも相次いで流行注意報や警報が発令されています。

  • 愛知県では10月中旬に流行入りし、11月6日には注意報を発令。
  • 広島県では11月13日に県全域に流行注意報が発令、過去10年で2番目に早いタイミングでの警報となりました。
  • 三重県(11月3日~9日)は定点あたり患者数が18人に急増。
  • 横浜市も11月12日付で流行警報を発令。

流行の早期化・拡大は、全国的な傾向です。2025年シーズンは従来よりも数週間早い流行となり、医療機関や自治体は対応を強化しています。

2025-2026年シーズンの特徴と流行の型

今シーズンの日本国内インフルエンザは「立ち上がりが早い」ことが最大の特徴とされ、10月末から患者数が急増、その流れのまま11月上旬には一気に流行期へ突入しました。

  • 主に流行しているのはインフルエンザA型(H3N2型=「A香港型」)であり、一部では2009年に大流行したH1N1pdm09なども見られます。
  • 2025-26年シーズン報告例ではH3N2型が85.9%と多数を占めています。

A型は症状が重くなりやすい傾向にあり、特に高齢者や基礎疾患を持つ方、小児は重症化リスクが高いとされています。

感染のピークと今後の見通し

例年、インフルエンザのピークは1月から2月に多くみられますが、2025-2026年シーズンは11月時点で早くもピークに近い流行状況となっています。

  • 地域によって違いはあるものの、警報レベルの自治体が増加しており、今後もしばらく高い流行状態が続くと予想されます。
  • 注意報や警報は、患者報告数が下がるまで数週間継続する場合があります。

こうした「警戒が長引きそうな今年」のインフルエンザ、日常生活での感染対策の徹底が今まで以上に重要です。

インフルエンザA型の症状と特徴

  • 熱の高さ(しばしば38度以上)、悪寒、関節痛、筋肉痛、頭痛、倦怠感、のどの痛み、せき、鼻水など
  • 発熱と同時に全身症状が急速に現れるのが特徴です。
  • 小児や高齢者、基礎疾患のある方は重症化しやすい傾向にあります。

B型に比べ、A型は感染力が強く大流行を引き起こしやすいため、流行期にはより一層の注意が必要です。

求められる基本的な感染対策

  • 手洗い・うがい:外出後や食事前、帰宅後は丁寧な手洗いが有効です。
  • マスク着用:混雑した場所や公共交通機関を利用する際はマスクをしましょう。
  • 咳エチケット:咳・くしゃみをする際はティッシュや袖で口を覆い、他者への飛沫感染を防ぎます。
  • 体調管理:十分な睡眠とバランスの良い食事、適度な換気を心がけましょう。
  • 人混みや密閉空間をできるだけ避け、リスクを低減します。
  • 発熱や体調不良時は無理をせず、医療機関を受診し外出を控えましょう。

予防接種の重要性

インフルエンザワクチンは重症化や合併症を防ぐうえで非常に有効です。ワクチンは流行前の接種が特に効果的とされています。子ども、高齢者、持病のある方は早めの接種が推奨されています。

学校や職場への対応、社会全体への呼びかけ

  • 感染拡大を防ぐため、学校や保育施設では登校・登園停止、集団閉鎖、一時的な休校措置が取られることがあります。
  • 職場でも体調不良者の早期対応、テレワーク推奨など柔軟な対応が求められます。
  • 「少しでも体調が悪い時は無理をしない」ことが流行期の大切なマナーです。

まとめ:2025年流行の特徴と今後への備え

2025年のインフルエンザA型流行は「例年より大幅に早い段階」「患者数の急増」「子ども中心の大流行」という三つの大きな特徴を持っています。今後もしばらくは流行警報が継続される見込みで、感染予防のための基本的な対策が一層求められています。

一人ひとりが日常生活でできる対策を改めて徹底し、社会全体でこの流行の波を乗り越えていきましょう。

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