インドネシア株が急落、MSCI が投資可能性に懸念を表明

インドネシアの株式市場が大きな転機を迎えました。2026年1月28日、指数算出会社の MSCI がインドネシア市場の投資適格性に関する深刻な懸念を表明したことで、ジャカルタ総合指数は取引時間中に一時8.8%の急落を記録し、取引が30分間停止される事態となりました。最終的には7.4%安で引けており、9カ月超ぶりの大幅な下落となっています。

MSCI が指数変更の凍結を発表

MSCI は規制当局がインドネシア市場の構造的な問題に対処するまで、同市場に関する特定の指数変更を即座に停止することを決定しました。具体的には、指数への新規採用を直ちに停止し、海外投資家が購入可能と見なされる株式数の増加も凍結するという措置です。

この決定の背景には、インドネシア市場における複数の重大な問題があります。MSCI は声明の中で、「投資可能性に関する根本的な問題」を指摘し、特に以下の点を懸念事項として挙げています:

  • 所有構造の不透明性:上場企業の株式保有が一部に集中しており、一般投資家が利用可能な株式が限定的であること
  • 不適切な取引慣行:株価を歪める協調的な取り組みが存在する可能性があること
  • データの透明性不足:浮動株比率に関する情報が十分に公開されていないこと

市場への大きな影響と懸念される下振れリスク

今回の MSCI の措置は、インドネシア株式市場にとって極めて深刻な影響をもたらす可能性があります。特に懸念される点は、インドネシアがフロンティア市場(辺境市場)に格下げされるリスクです。現在、新興国市場指数を追跡するファンドが数多く存在しますが、もしインドネシアが新興市場から除外されれば、これらのファンドからの資金流出が引き起こされる可能性が高いとされています。

また、来月の見直しでインドネシアの複数の銘柄(ブミ・リソーシズやペトロシーなど)が MSCI 指数に組み入れられると広く予想されていましたが、今回の凍結措置によってこうした期待も一旦棚上げされることになりました。市場では、これらの銘柄が15%の下落制限値まで下落する場面も見られています。

5月までの改善が重要なターニングポイント

MSCI は、インドネシア市場に対して改善の猶予期間を設けています。2026年5月までに市場の透明性向上に向けて十分な進展がなければ、MSCI はインドネシア市場がグローバル投資家にとってどの程度アクセスしやすいかを再評価すると明記しました。

この再評価の結果如何によっては、以下のような悪影響が想定されます:

  • MSCI 新興市場指数におけるインドネシア企業のウエートが大幅に引き下げられる可能性
  • 新興市場からフロンティア市場への格下げによる外国人投資家の撤退加速
  • インドネシア市場全体の国際的な信頼性低下

インドネシア当局の対応と市場の今後

インドネシア証券取引所(IDX)は、金融規制当局の OJK(金融サービス庁)および KSEI(証券保管振替機関)とともに、データの透明性に関する問題に対処するため MSCI と協議を続けていると発表しています。既に、証取のウェブサイトで浮動株比率データを公表するなど、透明性向上に向けた一定の措置は講じられているとのことです。

しかし、市場の不安は単に MSCI の懸念にとどまりません。インドネシアの経済運営を巡っても不安が高まっています。プラボウォ大統領が成長目標に沿って財政・金融政策を推進しようとしていることを受け、投資家心理はすでに不安定になっていた状況です。さらに、昨年9月には国際的な金融界で長年信頼を集めていたムルヤニ財務相が更迭され、プラボウォ大統領の中央銀行に対する影響力拡大が市場の動揺を招いていました。

投資家にとっての重要な局面

インドネシア市場は、ASEAN 地域で最大規模の株式市場として、多くのグローバル投資家にとって重要なポジションを占めてきました。しかし、今回の MSCI の措置は、投資の透明性と市場の完全性に対する国際的な基準が、いかに厳格であるかを示す事例となっています。

インドネシア当局が 5月までの短期間で、どれだけ実質的な改善を実現できるかが、今後の市場動向を大きく左右することになりますし、それが現在の市場混乱を収束させるための重要なカギとなるでしょう。

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