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英国産業用不動産市場で注目――ICGによるリバプール大規模オープンストレージパーク買収とESRヨーロッパの1百万平方フィート資産売却
はじめに：近年の産業用不動産市場動向
英国の北西部に位置するリバプールの産業用不動産市場が、2025年に入り大きな注目を集めています。その中心となっているのが、世界的な資産運用会社ICGによるリバプールのオープンストレージパークの買収（取得額：6300万ポンド）と、アジア系不動産投資大手ESRヨーロッパによる1百万平方フィート（約9.3万㎡）という大規模産業用資産の売却です。これらの取引は、地域経済や投資環境にも大きな影響を与えており、多方面で話題を呼んでいます。
ICGによるオープンストレージパーク取得の背景と意義
- 北西イングランド市場の堅調な投資需要：2024年、北西部の産業用不動産取引額は合計10億3000万ポンドに達し、直近5年平均とほぼ同水準を維持しています。リバプールを含むこの地域は、依然として英国でも有数の魅力的な産業用不動産市場として認識されています。
- オープンストレージ市場の台頭：従来型の倉庫や工場と異なり、開放型保管施設の利便性や需要が高まっています。物流の多様化やeコマース拡大を背景に、土地をそのまま活用する形式のストレージパークが成長分野となっています。
- ESGへの注目・国際資本の流入：持続可能性や環境基準（ESG）を重視した投資が拡大しており、海外投資家の参入が著しくなっています。今回のICG、ESRグループなどはグローバル機関投資家として積極的に投資機会を模索しています。
ESRヨーロッパによる大規模資産売却――市場に及ぼすインパクト
ESRヨーロッパは、グローバルで展開する不動産投資マネジャーであり、今回の1百万平方フィート規模のオープンストレージパークの売却は、2025年イギリス国内で最大級の産業用不動産取引となりました。この売却により、同パークは新オーナーであるICGの下、さらなる資産価値の向上や運用手法の多角化が期待されています。
なぜ「オープンストレージパーク」が注目されるのか？
- 物流の多様化：Eコマース拡大に伴う柔軟な物流拠点の確保、災害対策備蓄、建設資材ストックヤードなど、多岐にわたる用途に対応できる汎用性の高さが評価されています。
- 開発コストや迅速な運用開始：既存の建屋を必要としないため、取得から稼働までのタイムラグが短く、コスト効率にも優れています。
- 需給ギャップの現実的解消手段：新築・大規模倉庫の供給不足や、賃料高騰が続くなか、オープンストレージは相対的に手軽な選択肢として評価されています。
北西部の産業用不動産市場全体の動き
2024年の北西部における産業用不動産市場は、「ビッグボックスタイプ」（大型物流施設）が前年を18%上回る322万平方フィートの成約となり、さらに全体の72%（232万平方フィート）が新築またはグレードAの高品質物件という結果になりました。海外投資家主導の市場活性化、インフレ・金利動向への配慮、ESG投資基準の重視などがトレンドとなっております。
不動産投資家・事業者に与える影響
- 投資家動向：海外投資家の積極的な取得は、地域経済の活性化をもたらす一方で、資産価格を上昇させる要因ともなっています。
- 運用方針とESG戦略：グローバル投資家によるESG重視の物件選定が加速しています。これにより、環境性能、労働環境、地域連携など非財務的価値の評価も進んでいます。
- 開発業者の姿勢変化：従来の倉庫型だけでなく、より多用途かつ柔軟性の高い用地活用に力が入れられています。
今後の見通し
今後は、リバプールを中心とした北西部全体で、国際資本のさらなる流入・M＆A活発化が続くと予想されます。オープンストレージパーク型の土地活用が一段と進展し、投資家・事業者の新たなビジネスモデルの構築や、地域雇用・経済効果の波及も期待されます。加えて、グリーンエネルギーやサーキュラーエコノミー分野と連動した新プロジェクトが増える可能性も考えられます。
日本の投資家・事業者への示唆
- 海外市場への関心：英国・欧州産業用不動産市場は安定した利回りや流動性、ESG指標など成長の余地を示しています。現地パートナーや投資プラットフォームとの連携が重要です。
- 多用途型不動産の最新トレンド：物流・保管・開発など幅広い用途に対応できるオープンストレージやフレキシブルスペース型不動産への興味が高まっています。
- ESG重視の物件選定：世界的トレンドとして、環境・社会・ガバナンス面で評価の高い不動産が中長期的に高い値を保ちやすくなっています。
まとめ
今回のICGによるリバプールのオープンストレージパークの買収、並びにESRヨーロッパによる1百万平方フィート資産の売却は、英国北西部の産業用不動産および物流市場の新たな転換点と言えるでしょう。SCQ（供給量）の増大や多国籍投資家の参入、柔軟な不動産活用の広がりが今後も注目を集めそうです。
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