ハウス食品グループがエシカル・スピリッツと共同開発、山椒を使用したクラフトジンを発売
ハウス食品グループ本社は、クラフトジン製造販売のエシカル・スピリッツと共同開発した『Spirits of Terroir -高千穂郷・奥阿蘇 山椒-』を2025年12月10日(水)より数量・期間限定で発売することを発表しました。このクラフトジンは、ハウス食品グループが実施する「産地形成プロジェクト」で宮崎県高千穂郷および熊本県奥阿蘇地域において新たに栽培・収穫された山椒を主要な素材として使用しています。
新しい産地形成プロジェクトから生まれた高品質な山椒
本製品に使用されている山椒は、ハウス食品グループが株式会社杉本商店(しいたけ専門問屋)、南九州大学、および地元生産者と共同で実施する「産地形成プロジェクト」を通じて、宮崎県と熊本県に新しい山椒の産地を形成する過程で収穫されたものです。このプロジェクトは、単なる農産物の生産にとどまらず、地域経済の活性化と人々のつながりを創造することを目指しています。
使用されている山椒は「実山椒」と呼ばれる、乾燥する前の生の状態のもので、生の柑橘のようなフルーティな風味が強いことが特徴です。一般的に山椒は調味料としてのイメージが強いため、この新しい活用方法は、山椒の持つポテンシャルを大きく引き出す試みとなっています。
高千穂郷・奥阿蘇の地域素材を集約したクラフトジン
『Spirits of Terroir -高千穂郷・奥阿蘇 山椒-』は、山椒だけではなく、地域とのつながりを表現するため、高千穂郷・奥阿蘇に関連する複数の素材を使用しています。使用されているボタニカル(薬用植物)には、ジュニパーベリー、山椒、アンジェリカルート、コリアンダーシード、レモングラス、スペアミント、そして地域特産の釜炒り茶、へべす、とうきび茶、そして杉本商店の椎茸の軸が含まれています。
ベーススピリッツには、茨城県製造の原料用アルコールと千葉県製造の酒粕焼酎が使用されており、アルコール度数は45%、内容量は375mlとなっています。このボタニカルの組み合わせにより、地域の風土と人々のつながりが一杯に凝縮された唯一無二のクラフトジンが実現しました。
蒸留家による丁寧な製造プロセス
エシカル・スピリッツの東京リバーサイド蒸溜所の工場長である蒸留家・新納啓氏は、製造にあたって「山椒の要素を十分に感じつつ、強すぎないバランスを意識して造り上げました」とコメントしています。その結果、スッキリした切れの良い飲み口で、山椒の心地よい刺激と軽快な柑橘の風味がありながら、軽すぎないしっかりとした厚みのある酒質が特徴のクラフトジンが完成したのです。
テイスティングノートとしては、最初に華やかに山椒が香り、清涼感と瑞々しい印象が感じられるトップノート、そして中間で山椒の刺激に加えて柑橘の甘みがしっかりと感じられるミドルノートへと移行していきます。辛味を抑えつつも、山椒本来の清涼感と奥行きを感じられ、和食にも洋食にも合う味わいに仕上げられています。
発売チャネルと入手方法
『Spirits of Terroir -高千穂郷・奥阿蘇 山椒-』は、2025年12月10日(水)より、エシカル・スピリッツの公式オンラインストアと、東京・蔵前にある東京リバーサイド蒸溜所併設のオフィシャルストアで、数量・期間限定で発売されます。限定販売という形式のため、購入を検討している方は、早めの確認をお勧めします。
ハウス食品グループとエシカル・スピリッツの戦略的協業
本製品の開発は、2025年9月に発表されたハウス食品グループとエシカル・スピリッツによる共創プロジェクトの第2弾として位置付けられています。第1弾では、エシカル・スピリッツのシグニチャージン「LAST」ブランドの2種に、ハウス食品グループの製造過程で生じる未活用スパイスが本格的に使用されました。
この協業の背景には、ハウス食品グループの豊富なスパイス知識とエシカル・スピリッツの高度な蒸留技術を組み合わせることで、新しい価値を創造するという戦略があります。山椒の初収穫から約5ヶ月という短期間で製品化に至ったことからも、両社の強力なタッグと実行力が伺えます。
今後の展望と山椒の活用戦略
ハウス食品グループは、まずは2027年の「高千穂郷・奥阿蘇山椒」の本格販売に向けて、段階的に事業を展開していく方針です。同社の山椒製品への活用およびプレミアム山椒としてのブランド化に加えて、お酒やスイーツへの活用といった様々な可能性も視野に入れて検討を進めています。
このプロジェクトは、単に新商品を開発するだけではなく、日本の地方創生、生産者の支援、食文化の創新という複数の目的を同時に達成する試みとなっています。地域の風土と人々とのつながりを商品に込めるという「Terroir(テロワール)」の概念は、国際的なスピリッツ業界でも注目される要素であり、日本の農産物と組み合わせることで、新しい付加価値の創造につながるものと期待されます。
ハウス食品グループの最近の動向
なお、ハウス食品グループは、『Spirits of Terroir -高千穂郷・奥阿蘇 山椒-』の発売に先立つ2025年11月3日に、新味インスタント麺「うまかっちゃん 濃厚新味 <あごだしとんこつ>」を発売しており、継続的に新商品開発を進めています。あごだし(飛び魚出汁)を使用した濃厚なとんこつ味のこの新商品も、地域の食文化を反映した開発となっており、ハウス食品グループの多様な食品領域への展開が活発化していることを示しています。
ハウス食品グループは、スパイスから調味料、インスタント食品、そしてこのようなクラフトスピリッツまで、幅広い食品・飲料領域で新しい価値の創造に取り組んでいます。山椒というありふれた食材を、クラフトジンという新しい文脈で表現することで、消費者の食経験を豊かにするとともに、地域経済の活性化に貢献する仕組みが構築されているのです。




