今話題の年金給付金と、申請しないともらえない「年金以外の給付金」――知られていない現状とその課題

高齢者を支えるお金は年金だけじゃない!その現状と課題

皆さんは年金以外でも受け取れる「給付金」があることをご存じですか?最新の調査によると、年金受給者のうち「給付金の存在を知っている」人はわずか19.8%、実際に給付を受けている人は1割強しかいないという結果が出ています。つまり、多くの高齢者が本来受け取ることができる支援や給付を「知らない」まま過ごしてしまっているのが実態なのです。

敬老の日の調査から見えた「情報格差」

敬老の日(2025年9月15日)に合わせて実施された調査では、高齢者の生活を支える公的制度が多数存在する一方で、情報が十分に届いていない現状が明らかになりました。具体的な制度の認知度を尋ねると、「公共交通機関の補助(シルバーパスなど)」は45.4%、「年金生活者支援給付金」は40.8%と比較的高いものの、「補足給付(介護施設の食費・居住費補助)」や「高年齢雇用継続給付金」などは認知度が低いことも分かりました。

申請しないともらえないお金とは?シニア世代必見の給付金5選

  • 年金生活者支援給付金

    年金額が一定以下の方に対し、生活を支援する目的で給付される国の制度です。65歳以上で一定の所得条件などを満たすことで申請できます。
  • 再就職手当

    60歳以上の方が再就職した場合、失業給付の所定給付日数が残っていれば「再就職手当」が支給されます。
  • 高年齢雇用継続給付金

    60歳以降も働くことで以前の賃金から一定割合下がった場合に、国から給付金が支給されます。ただし、2025年4月以降60歳に到達した方は支給率が引き下げられている点に注意が必要です。
  • 公共交通機関の補助(シルバーパスなど)

    各自治体が高齢者向けにバスなどの交通運賃を一部負担する制度。申請が必要で、利用者のみ恩恵を受けています。
  • 介護施設入所時の補足給付

    一定所得以下の場合、介護施設の食費や居住費について市町村から補助が受けられます。

これら制度は多くが「申請主義」であり、自分で申請しないと給付が受けられません。そのため、本来受給可能な人でも、情報が届かず受け取りを逃してしまうケースが多いのです。

高齢者世帯のリアル――年金だけでは厳しい現実

厚生労働省の調べによれば、公的年金だけで暮らす高齢者世帯は約42%にものぼります。その一方で、平均所得は若い世帯に比べて2/3ほどしかなく、年金だけでは「毎月ギリギリ」「余裕がない」という声も珍しくありません。そこで給付金や支援制度は生活を支える重要な手段となりますが、前述の通り申請しないともらえない&情報が行き渡らない現状が続いています。

給付金の認知度と利用実態:調査結果のポイント

  • 給付金の認知度はわずか2割。半数以上が「知らない」
  • 認知度が高いのは「交通機関の補助」と「年金生活者支援給付金」
  • 実際に給付を受けているのは1割強
  • 申請しない理由No.1は「自分が対象者かどうか分からない」
  • 情報提供は「自治体からの郵送案内」を望む人が8割以上

多くの高齢者が申請可能な制度の存在を認識していないこと、「自分が受け取れるのかわからない」という不安が「申請」の最大のハードルになっていることが分かります。

2025年の最新動向:国民向け給付金政策の迷走も

2025年夏には政府が全国民に2万円給付する案を打ち出したものの、その後「バラマキ」との批判を受けて所得制限あり案に修正する議論が進んでいます。一律給付から、非課税世帯など低所得者のみを対象とする案への移行が有力視されており、先行きはまだ不透明な状況です。

項目 当初案(所得制限なし) 修正案(所得制限あり)
対象者 全国民 住民税非課税世帯など限定
給付額 一律2万円+上乗せ 未定(より手厚くなる可能性)
現状 見直し対象 有力な選択肢として検討中

このような政策によって一時的な給付金が増加することもありますが、継続的な支援という点ではやはり各種制度を活用することが大切です。

制度を正しく知ることが、生活を守る第一歩

繰り返しになりますが、年金や国からの給付金は自分で情報を受け取り、自分で申請する必要がある仕組みがほとんどです。「どうせ自分には関係ない」と思い込まず、自治体の窓口や専門家に相談することもおすすめです。実際、多くの高齢者が「郵送で具体的な案内がほしい」と望んでいるにも関わらず、情報はホームページや窓口での掲示などに限定されてしまっているため受け取り漏れが生じています。

また、ご家族や周囲の方も協力して情報収集し、申請漏れを防ぐことが大切です。年金以外の給付金は種類も申請条件も多様なため、以下のような支援制度があること、その申請方法(自治体窓口・年金事務所・オンライン申請など)をしっかり確認しておきましょう。

知ってほしい!年金以外にもらえる具体的な給付金一覧

  • 年金生活者支援給付金(住民税非課税世帯等向け)
  • 高年齢雇用継続給付金(60歳以降の勤務継続時)
  • 再就職手当
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
  • 障害者手帳所持者への支援
  • 介護給付・補助金
  • 医療費助成
  • 公共交通機関割引
  • 生活保護・福祉資金貸付
  • 遺族年金・遺族給付金
  • 災害時支援金
  • 住宅改修支援金
  • 柔軟な雇用制度下での給付金
  • その他自治体単独の支援策

2025年現在も、こうした支援制度の認知度向上と利用促進が社会的な課題です。行政は個人宛郵送案内や、もっと分かりやすい申請サポートを進める必要があります。

制度の情報収集のポイントと行政への要望

情報収集の手段としては、自治体のホームページ、年金事務所や社会福祉協議会、地域包括支援センター、また新聞や市広報誌の特集なども活用しましょう。高齢者世帯には、郵送による具体的な案内がもっと増えることが求められています。

  • 申請書類の簡素化
  • 対象条件の明確化
  • ワンストップで相談できる窓口設置
  • 申請時の無料サポート

「知らなかった」「自分が対象か分からない」「手続きが面倒」などの理由で受給できないことがないよう、国・自治体、そして周囲の人が情報伝達を工夫していくことが、安心できる暮らしに直結します。

まとめ:自分に必要な制度を活用し、安心のシニアライフを

年金以外にも申請できる給付金や支援制度はたくさんありますが、その多くが「申請主義」による受給漏れを引き起こしています。「情報は待っているだけでは入ってこない」ことを意識し、身近な人と相談しながら制度活用を進めましょう。行政も一人ひとりに寄り添った案内・支援の拡充が今後ますます重要になります。

参考元