ホンダ、宇宙開発へ新たな一歩 〜東京ビッグサイト「Japan Mobility Show 2025」でサステナブルロケット実機を披露〜

はじめに

東京ビッグサイトで2025年10月29日より一般公開された「Japan Mobility Show 2025(通称:JMS2025)」では、モビリティの枠を超えて未来に向かうさまざまな技術が披露されました。今回、会場の中でも特に注目を集めたのがホンダによるサステナブルロケット実機の初展示です。自動車やバイクファンのみならず、科学技術や宇宙開発に関心のある多くの来場者を惹きつけました。その快挙とプロジェクトの詳細、展示会場の様子について、わかりやすく解説します。

ホンダが描く宇宙への挑戦

ホンダは2019年から宇宙分野の研究開発を本格的にスタートし、クリーンエネルギー循環システムや宇宙ロボット、そしてサステナブルロケットの開発という3大プロジェクトを推進してきました。これまで同社が世界で磨いてきた〈エンジン燃焼技術〉〈機体制御技術〉〈安全設計〉といったコア技術資産を、次世代の宇宙輸送手段づくりに惜しみなく投入しています。

なぜホンダが宇宙に進出するのでしょうか。それは、暮らしや社会の可能性を広げたいという企業理念によるものです。特に近年は宇宙へのアクセスコストが非常に高く、民間利用の拡大には「打ち上げ費用の低減」や「環境負荷の削減」が課題となっています。そこで、ホンダは再使用型ロケットに注目し、従来の“使い捨て”ではないサステナブルなロケット開発を進めてきたのです。

快挙!民間国内初のロケット離着陸実験成功

  • 実験日時:2025年6月17日
  • 場所:北海道大樹町 ホンダ専用実験施設
  • 機体仕様:全長6.3m、直径85cm、乾燥重量900kg、燃料込み重量1312kg

この日、ホンダのサステナブルロケット実験機は高度271.4mまで上昇、垂直に離陸した後、発射地点からわずか37cmの誤差で着地するという高精度の離着陸を達成しました。飛行時間は56.6秒。再使用型ロケットに求められる機体の安定制御や、安全な垂直着陸のための各種技術検証がなされ、見事民間企業による国内初の快挙となりました。

Japan Mobility Show 2025にて「本物」を展示

今回、東京ビッグサイトのホンダブースでは、実際にこの成功した実験機そのものが一般来場者向けに初公開されました。レプリカではなく、北海道の実験現場から慎重に運ばれてきた“民間ロケットの真の歴史的1台”です。

  • 機体は中央に配置され、360度から見学できる構成
  • 来場者向け説明パネルには実験映像データや技術的解説も充実
  • 宇宙開発チームの責任者・技術者によるトークセッションも随時開催

子どもから大人まで、模型や映像だけでは伝わらない“現物が醸し出すリアリティ”に多くの来場者が足を止めていました。また、「四輪・二輪・航空・そして宇宙」と夢を追い続けてきたホンダらしい挑戦の歴史が伝わる展示演出も、同ブースの見どころでした。

技術の粋を結集したサステナブルロケットの特徴

  • 再利用設計:一回きりで終わらせない、環境負荷・費用削減へ
  • 燃焼器:「ホンダジェット」や「F1」の燃焼技術を応用
  • 飛行安定用制御翼:自動車や航空機で培った電子制御技術の融合
  • 着陸装置:安定かつ安全な垂直着地を実現する高耐久設計
  • 今後の技術課題:さらなる大型化や到達高度向上(最終目標:準軌道高度100km超)

機体内部では、燃焼器による推進力とリアルタイムの姿勢・飛行制御装置が連携し、「上昇・制御・着地」を一連のフローで実現しています。現場で集めた膨大なデータは次世代ロケット開発にも活かされています。

ホンダの語る「未来」〜2029年の準軌道到達を目指して〜

今回の離着陸実験成功は、あくまで基礎技術検証段階の「ステップ1」にすぎません。ホンダは今後、さらに機体の大型化や出力向上の開発を進めると同時に、打ち上げ費用を下げるための効率向上や信頼性確保にも取り組みます。そして2029年までに宇宙空間(地上約100km以上の「準軌道」)への到達を主要な短期目標としています。

この挑戦がもたらす意義は、多様な産業界の人工衛星打ち上げ・宇宙輸送手段の選択肢拡大、サステナビリティ志向の宇宙進出による環境負荷軽減です。さらには「陸・海・空・宇宙」すべてのモビリティにチャレンジする日本発の企業として、技術立国・ニッポンのブランドイメージ向上も期待されています。

モータースポーツ的楽しさ+宇宙の未来

今回の展示は、従来のクルマ・バイクの「速さ」や「操る楽しみ」を超えて、誰もが「宇宙」という新たなフロンティアに向けて夢を抱ける場になりました。Hondaブースでは新型EVプロトタイプ「Honda 0 α」なども初公開される中、四輪・二輪・航空・ロボットといった多彩な世界が「宇宙」にも続くのだというメッセージを発信しています。

  • 車好き・乗り物好きもワクワクする「次世代の楽しみ方」の提案
  • 技術者の夢や情熱に触れられる対話型イベントの開催
  • こども向け宇宙教室や体験型展示も

会場での来場者の声

  • 「ホンダが本気で宇宙へ行く時代がきた。夢を見せてくれて感動した」
  • 「本物のロケットを間近で見て圧倒された。解説も分かりやすかった」
  • 「自動車産業の枠を超えた“日本の底力”を子どもに伝えたい」

様々な世代から熱い感動や期待のコメントが寄せられていました。単なる技術展示にとどまらず、これからの日本のモノづくり・科学技術教育への刺激ともいえるイベントとなりました。

まとめ:ホンダ、そして日本の新しい夢の始まり

サステナブルロケットの実機展示は、ホンダの長年にわたる基幹技術の結集であり、民間主導で初めてとなる快挙を現実のものとしました。今後、より大型で高度なロケット開発が進むなか、宇宙産業の未来やサステナビリティへの社会的インパクトも拡大していくでしょう。東京ビッグサイトで感じた“本物のロケットの息吹”は、日本の技術者だけでなく、すべての人々に明るい希望を与えるものでした。

関連キーワードでさらに理解を深めよう

  • Japan Mobility Show 2025
  • ホンダ サステナブルロケット
  • 東京ビッグサイト 宇宙展示
  • ロケット民間開発 国内初
  • 北海道大樹町 実験
  • モータースポーツと宇宙

今後のJMSやホンダの宇宙開発計画、その進捗を引き続き追いかけていくことをおすすめします。

参考元