ホンダ「プレリュード」――24年ぶり復活を遂げた伝説のスペシャリティスポーツ、その魅力と進化
「デートカー」の代名詞、プレリュードが令和に蘇る
ホンダ「プレリュード」。この車名に世代を超えて胸を熱くする方は少なくありません。1978年に誕生し、数々の革新的技術とスタイリッシュなデザインで一世を風靡した初代から、2001年に惜しまれつつ生産終了した5代目まで、「デートカー」という言葉の代名詞として多くのファンに愛されてきました。
しかし、その名が市販車リストから消えてから実に24年。2025年9月5日、ついに6代目となる新型プレリュードが発売され、その伝説が現代に蘇りました。
伝統と革新。「UNLIMITED GLIDE」で描く未来
新型プレリュードのコンセプトは「UNLIMITED GLIDE」。大空を自由に翔けるグライダーに着想を得て、日常の移動をただの移動以上の「高揚感」や「ときめき」に転化する車づくりを目指しています。まさに、「どこまでも行きたくなる気持ちよさ×非日常のときめき」を現代の技術で表現した一台といえるでしょう。
新型プレリュードの特徴
スタイリッシュかつエモーショナルなエクステリアデザイン
最新のエクステリアデザインは、「剛」と「柔」を兼ね備えたボディ骨格に加え、高張力鋼板やアルミ製フロントフードを採用。これにより、応答性の高いハンドリングとスムーズな乗り心地を両立しています。空気の流れまで細部にこだわることで、低速域から高速域まで一貫した旋回フィールも実現。見た目の美しさと走りの質を高度に融合させています。
ホンダ独自の進化型ハイブリッド「e:HEV」
パワートレインには、ホンダ独自の2モーター式ハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載。高度な電動化技術で環境性能を飛躍的に高めながら、往年のスポーツカーが持つ「操る喜び」をしっかりと継承しています。さらに、次世代の電動ハイブリッド制御システム「S+シフト」を初めて搭載。アクセルレスポンスやシフトフィールを自在に操ることができ、ドライバー自身が積極的に「走り」を演出できるようになっています。
受け継がれる「操る楽しさ」
“走る・曲がる・止まる”というクルマの基本性能に、ホンダならではのスポーツマインドが凝縮されています。新型プレリュードのハイブリッドシステムは「モーターならではのトルク感」と「エンジン直結時のダイレクト感」を両立。電動車にありがちな一体感の希薄さを克服し、クルマを“操る”ことの楽しさをあらためて提案しています。
「スペシャリティカー」の象徴としての存在意義
プレリュードは、初代から時代ごとに新技術を投入し、自動車業界の進化をリードしてきた名車です。
- 国産初の「電動サンルーフ」
- 世界初の「四輪操舵システム(4WS)」
- 国産初の「アンチロックブレーキシステム(ABS)」
こうした“パーソナルクーペ”という新しい価値観を提示し、日本の自動車文化をけん引してきました。6代目となる今回も、次世代に向けたハイブリッドスポーツの新たな可能性を拓く存在として注目されています。
開発の背景 — 24年ぶりの復活、その道のり
5代目プレリュードが生産終了した2001年から長らく途絶えていたこの車名。しかし、2023年に開催された「ジャパンモビリティショー2023」で「プレリュードコンセプト」として初めてその姿を披露し、市販化への期待が急速に高まりました。
そして2025年秋、本格的な電動化時代においても「操る楽しさ」を大切にしたスポーツカーを提供したいというホンダの情熱が形となり、新型プレリュードは復活を果たしました。
「プレリュード」の歴史と時代の変遷
- 1978年 初代誕生:「パーソナルクーペ」として登場。ドライバー主体のデザインと最新技術を搭載。
- 1980年代:2代目・3代目の登場により「デートカー」ブームの先駆けとして大ヒット。
- 1996年:5代目登場。高度な走行性能と安全技術を融合。
- 2001年:生産終了。以降、同名車両は登場せず伝説化。
- 2023年:「プレリュードコンセプト」発表で復活の兆し。
- 2025年:6代目の正式発表と市販化を実現。
ホンダが語る、令和時代のスポーツカー像
ホンダが強調するのは、「電動化時代でも操る楽しさを失わせないこと」。AIや自動運転など、クルマの役割が大きく変わる中でも、ドライバーが自ら走りを楽しみ、車と対話し続ける歓びがなくならないよう、数々の新技術を惜しみなく投入しています。
特に新型プレリュードにおいては、ハイブリッドの弱点であった「シームレスすぎて、車を操っている実感が薄い」という声に応え、「自分でコントロールできる上質な運転感覚」と「電動化技術の最前線」を両立することに成功しています。
実際の走り、オーナー視点からの魅力
クローズドコースでの試乗インプレッション
最新メディアの試乗リポートによれば、新型プレリュードはドライバーの意図通りに素早く挙動が反応する高いハンドリング性能と、スポーツモード時の力強い加速、そして快適な乗り心地を両立しています。
新世代「S+シフト」の採用により、ドライバー自らが意のままにパワートレインを操れる点も好評。エンジンとモーターの力強さが融合し、従来のハイブリッドでは味わえなかった「走り」の愉しみが実感できます。
実用面と環境性能
ハイブリッドシステムの進化による省燃費性能や、アルミの採用による軽量化も実現。街乗りから高速巡航までストレスなくこなしつつ、排出ガスの低減など環境にも十分配慮されています。
さらに、大人4人がゆったりと乗れる空間設計や使い勝手にもこだわり、スポーツカーでありながら日常生活にも溶け込む「新時代のスペシャリティクーペ」として仕上げられています。
新型プレリュードのスペックと価格
- 型式:3ドアハイブリッドクーペ
- エンジン:独自2モーターハイブリッド(e:HEV)
- 新技術:S+シフト、軽量高剛性ボディ
- 安全装備:最新のHonda SENSING、各種アクティブセーフティ機構
- 販売計画:月間300台
- メーカー希望小売価格: 6,179,800円(消費税込)
今後の展望と期待
スポーツカー不況とも言われる時代に「スペシャリティスポーツクーペ」を新たに放つその姿勢は、大胆かつ挑戦的です。若い世代には新鮮な刺激を、往年のファンには懐かしさと新しさを。それぞれの思いを乗せ、新時代の「走る歓び」を届ける新生プレリュードに、期待は高まるばかりです。