昨年の新車販売は2年ぶりの増加 軽自動車がけん引した456万台の背景とは
日本の自動車市場で、昨年の新車販売台数が約456万台となり、2年ぶりに増加しました。この回復基調を語るうえで欠かせないのが、日本独自の存在ともいえる軽自動車です。燃費性能の良さや維持費の安さ、近年の安全・快適装備の充実により、軽自動車は引き続き多くのユーザーに選ばれ、市場全体の底上げに大きく貢献しました。
この記事では、昨年の新車販売増加の流れとともに、軽自動車市場の動きや人気車種、メーカーごとの状況を、できるだけやさしく、わかりやすくご紹介します。
456万台に回復した新車市場 2年ぶりのプラス成長
昨年の国内の新車販売台数は約456万台となり、前の年を上回る結果となりました。2年ぶりの増加であり、長く続いた半導体不足や部品供給の遅れが徐々に解消し、生産体制が持ち直してきたことが背景にあります。
新車市場は「登録車(普通車・小型車)」と「軽自動車」に分かれますが、このうち軽自動車は地域の生活を支える足として安定した需要があり、販売全体を下支えしました。地方だけでなく、都市部でも「セカンドカー」「買い物用」として軽自動車を選ぶ家庭が増えていることも、販売増加の一因と考えられます。
軽自動車市場の動き:販売台数は堅調に推移
軽自動車の新車販売は、2025年度上半期(2025年4~9月)の統計などからも、全体として前年を上回るペースで推移していることがわかります。全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の速報では、2025年度上半期の軽四輪の総販売台数は前年比104~106%程度の伸びを見せています。
たとえば、2025年4~9月の軽四輪車総台数は、前年の約77万台から約80万台へと増加しており、メーカー別でも多くの企業が前年を上回っています。この傾向は2025年通年の新車統計にもつながっており、軽自動車が市場の回復を支えたことは間違いないと言えるでしょう。
メーカー別に見る軽自動車販売:スズキ・ダイハツ・ホンダが三強に
軽自動車市場を支える主なメーカーは、スズキ、ダイハツ、ホンダの3社です。それぞれが個性的な軽自動車をラインナップし、ユーザーのニーズに応えています。
- スズキ:ワゴンR、スペーシア、ハスラーなど、スーパーハイトワゴンからスライドドア車、SUVテイストモデルまで幅広い軽を展開。2025年度上半期の軽四輪販売では、約27万9千台と市場シェア約35%前後を占める大きな勢力となっています。
- ダイハツ:タントやムーヴなど、軽ハイトワゴン分野の先駆者として知られます。2025年度上半期の販売台数は約24万7千台で、前年から大きく伸びており、シェア約30%とスズキに迫る存在です。
- ホンダ:N-BOXシリーズを中心に高い人気を誇ります。2025年度上半期の軽四輪販売は約13万7千台、シェアは約17%となっています。
このほか、日産や三菱、スバル、トヨタ、マツダも軽自動車を扱っており、OEM(他社への供給車種)も含めると、軽自動車市場は多くのメーカーが参入する激戦区となっています。
日本で「一番売れたクルマ」は軽自動車:ホンダN-BOXの強さ
軽自動車の存在感を象徴するのが、ホンダN-BOXです。2025年の販売データによると、N-BOXは20万1354台を販売し、「日本で一番売れたクルマ」となりました。ここでいう「一番売れたクルマ」とは、軽自動車だけでなく、普通車・小型車を含めたすべての乗用車の中でトップという意味です。
自動車メディアの集計では、2025年の「軽自動車販売台数ランキング」でもN-BOXが1位、次いでスズキ・スペーシア、ダイハツ・タントといったスーパーハイトワゴン系が上位を占めています。N-BOXは、2021事業年度以降、毎年のように「日本一売れているクルマ」の座を維持しており、その人気の根強さがうかがえます。
また、2025年度上半期だけを見ても、N-BOXは約9万8千台を販売し、全車種中トップを維持しています。コロナ禍前には上半期だけで13万台以上を売り上げていた時期もありますが、現在も依然として「日本で最も選ばれているクルマ」であることに変わりはありません。
なぜ軽自動車がこれほど支持されるのか
昨年の新車販売が2年ぶりに増加した背景には、軽自動車の安定した人気があります。では、なぜここまで多くの人が軽自動車を選ぶのでしょうか。主な理由を、やさしく整理してみます。
- 購入価格が比較的安い
軽自動車は、同じ装備内容で比べると、一般的に普通車よりも価格を抑えやすい傾向があります。家計への負担を考えると、「まずは軽から」と考える家庭も少なくありません。 - 維持費が安い
自動車税(軽自動車税)の負担が小さく、燃費性能の良いモデルが多いのも魅力です。ガソリン価格の変動が家計に響くなかで、「燃費の良さ」はクルマ選びの大きなポイントになっています。 - 取り回しがしやすい
ボディサイズがコンパクトなため、狭い路地や小さな駐車場が多い日本の道路事情にもよく合います。運転に不慣れな人や、高齢ドライバーからも「扱いやすい」と支持されています。 - 室内空間と安全性の進化
最近の軽自動車は、スーパーハイトワゴンを中心に、天井が高く、室内も広々としたモデルが増えました。さらに、自動ブレーキや誤発進抑制機能などの先進安全装備が普通車と変わらないレベルで搭載されている車種も多く、「軽でも安心して乗れる」というイメージが広がっています。
登録車市場との関係:ヤリスやカローラも好調
軽自動車が好調な一方で、普通車・小型車を含む「登録車」の世界でも、人気モデルが市場を引っ張っています。2025年の登録車の販売台数ランキングでは、トヨタ・ヤリスが約16万6千台でトップ、続いてノア+ヴォクシー、カローラが上位を占めました。ベスト10のうち多くをトヨタ車が占めるなど、登録車市場ではトヨタの強さが際立っています。
しかし、すべての車種を合算した販売台数で見ると、トップに立つのはやはり軽自動車のN-BOXです。つまり、登録車市場ではトヨタが強く、軽自動車市場ではスズキ・ダイハツ・ホンダが競い合うという構図の中で、「日本全体で一番売れているのは軽自動車」という状況が続いているのです。
今後の焦点:軽自動車はどこへ向かうのか
この記事では、昨年の新車販売が2年ぶりに増加し456万台となったというニュースを軸に、その中で重要な役割を果たした軽自動車の動きをご紹介しました。
統計データを見ると、軽自動車は
- 販売台数が前年比で堅調に増えていること
- N-BOXをはじめとする人気モデルが、普通車を含めた全体でもトップクラスの販売を維持していること
といった点から、日本の自動車市場において欠かせない存在であり続けていることがわかります。
これから先も、燃費や維持費の負担、安全性への配慮、そして高齢化や地方の交通インフラの課題などを考えると、軽自動車の役割は簡単には小さくならないでしょう。電動化や自動運転技術の進展とともに、軽自動車がどのように進化していくのか、多くの人が注目しています。



