北海道新幹線、年末年始の青函トンネル内高速運転を実施~貨物列車との時間帯区分運行で利便性向上~

北海道新幹線が、2025年年末年始に青函トンネル内で時速260kmの高速運転を実施することが発表されました。この取り組みにより、東京~新函館北斗間の所要時間が通常より約5分短縮され、最速3時間52分となります。本記事では、この高速運転の概要や背景、利用者への影響、貨物列車との運行計画などについて、わかりやすく詳しく解説します。

青函トンネル内の高速運転とは?

青函トンネルは、青森県と北海道を結ぶ全長約54kmの日本を代表する海底トンネルです。本来は、新幹線だけでなく在来線の貨物列車も走行しています。そのため、通常は新幹線が時速160kmで安全走行する運用がなされています。

しかし年末年始やゴールデンウィークなど貨物列車の本数が少なくなる特定期間には、貨物列車と旅客列車で走行時間帯を分離する「時間帯区分方式」を導入。これにより、安全を確保しつつ新幹線を最大時速260kmまで高速化できるようになりました。

2025年度 年末年始高速化運転の詳細

  • 実施期間:2025年12月30日(火)~2026年1月5日(月)の7日間
  • 実施区間:北海道新幹線・青函トンネル区間上下線(約54km)
  • 実施時間帯

    • 12月30日:始発~12時頃まで
    • 12月31日~1月5日:始発~15時半頃まで
  • 対象列車

    • 12月30日:下り5本・上り4本+臨時「はやぶさ53号」
    • 12月31日~1月5日:下り7本・上り7本+1月2日~4日は臨時「はやぶさ7号」
  • 所要時間

    • 通常:東京~新函館北斗間3時間57分
    • 高速期間:最速3時間52分(約5分短縮)

なぜ年末年始に高速運転を実施?

年末年始は貨物列車の本数が通常より減少する時期です。時間帯を限定することで、旅客用の新幹線と貨物列車が重ならないように運行計画を調整しています。これにより安全を確保しつつ、高速走行が可能になります。また、多くの帰省や旅行客が利用するこの時期に、所要時間短縮による速達性向上と利便性確保が期待されています。

貨物列車の運転計画と配慮

青函トンネル区間は、新幹線と貨物列車が「共用」していることが特徴です。年末年始は新幹線の高速運転に合わせて、貨物列車の運行時間帯をずらして調整します。具体的には始発から15時半(12月30日は12時まで)の間、新幹線優先のダイヤとなるため、貨物列車はその前後で走行します。

この運行調整にあたっては、JR貨物が利用者や関係各所と連携し、必要な輸送力を確保しつつ安全と利便性の両立を図っています。詳細な貨物列車の運転計画については、11月中に発表予定とのことです。

「時間帯区分方式」とは?

「時間帯区分方式」とは、一日のうち特定の時間帯は新幹線の高速運転、それ以外の時間帯は貨物列車の運行に割り当てる運行方式です。これにより、異なる列車が安全かつ効率的に青函トンネルを走行できます。

この方式は2020年度年末年始に時速210kmで初めて導入され、その後、2024年のゴールデンウィークから時速260kmに引き上げられています。年末年始の貨物本数が少ないタイミングを活用することで、高速運転の恩恵を最大限引き出しています。

利用者にとっての主なメリット

  • 東京~新函館北斗間の移動時間が約5分短縮
  • 「はやぶさ」などの速達列車で、年末年始の帰省・旅行がよりスムーズに
  • 貨物列車との運行調整で、安全で快適な運行を実現
  • 新幹線接続の在来線「はこだてライナー」や木古内駅停車新幹線の時刻変更に注意が必要

新幹線ダイヤ・在来線時刻の変更にも注意

今回の高速運転実施に伴い、新幹線のダイヤの一部とそれに接続する「はこだてライナー」、および木古内駅停車の一部新幹線列車の時刻に変更が出ます。利用者は事前に時刻表や公式アナウンスをよく確認することが大切です。

今後の展望

青函トンネルは、日本の物流・旅客輸送の大動脈です。新幹線と貨物列車の調和を模索しながら、旅客サービス向上と迅速な物流の両立を目指す試みが続いています。将来的には完全な高速化~新幹線専用化~さらに柔軟なダイヤ調整など、さまざまな技術的・制度的課題のクリアも期待されます

その一方で、貨物輸送は北海道と本州を結ぶライフラインです。「時間帯区分方式」などの工夫を通じて、利便性と安定輸送を両立させていく姿勢が、今後も重要となるでしょう。

まとめ

2025年年末年始、青函トンネル内の新幹線が時速260kmで走行することで、旅客の利便性向上と物流への配慮が図られます。時間帯を工夫することで共存を実現する日本ならではの運用手法は、多くの利用者や関係者にとって大きなメリットとなるはずです。今後も、社会・経済の要である青函トンネル区間の進化に注目が集まります。

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