北海道中央バス「石狩線」12月14日で運行終了、人手不足で相次ぐバス路線廃止
札幌と石狩を結ぶ重要な交通路線が幕を閉じる
北海道中央バスの「石狩線」(札幌ターミナル~石狩)が2025年12月14日で運行を終了することが話題になっています。当初は11月末での廃止が予定されていましたが、石狩市が代替交通の構築期間を確保するため、運行期間が12月14日まで延長されました。この決定は、地域住民にとって深刻な交通網の喪失を意味しており、多くの不安の声が上がっています。
人手不足で加速する地域バス網の縮小
北海道中央バスは2025年12月1日から冬ダイヤに変更し、石狩線以外にも複数の路線で廃止や減便が実施されています。廃止対象となる主な路線には、高速むろらん号(札幌駅前~登別・室蘭観光協会前)や高速しゃこたん号(札幌駅前~円山・小樽駅前~美国)などの高速バスも含まれています。さらに、石狩線と同じく北部地域を担当する厚田線についても、冬ダイヤをもって廃止したいとする意向が示されており、地域の交通インフラが急速に失われつつあります。
これらの路線廃止の背景には、深刻な人手不足があります。バス運転手の確保が困難な状況が全国的に広がる中、北海道中央バスも例外ではなく、運行回数の削減や路線廃止を余儀なくされています。一部のバス会社では外国人運転手の採用に踏み切るなど、業界全体が人員確保に奔走していますが、競争が激しく採用が難しい状況が続いています。
住民からの反対意見が相次ぐ
今回のバス路線廃止に対して、札幌市内では複数の説明会が開催されています。その中で、「バス停8か所がなくなる地区も出ている」という深刻な状況が明らかになりました。住民からは「廃止は決定事項」という北海道中央バス側の説明に対して、納得できない声が相次いでいます。
高齢者や学生、通勤通学者など、バスに依存する多くの住民にとって、路線廃止は生活に大きな影響を与えます。特に石狩線の廃止により、札幌と石狩を結ぶ公共交通の選択肢が狭まることは、地域経済や観光にも波及する可能性があります。住民説明会では、代替交通手段の確保や、より丁寧な事前通知を求める意見が多く聞かれています。
地域の交通網を守るための対策が急務
バス業界全体が直面している人手不足は、単なる一企業の問題ではなく、地域全体の課題となっています。外国人運転手の採用を検討する企業も増えていますが、「どの会社も採用は競争」という状況では、根本的な解決にはなりません。
石狩市は北海道中央バスの石狩線廃止を受けて、代替交通の構築を急いでいます。新たな交通路線の整備や、地域内の輸送手段の確保が重要となります。中央バスが運行していた石狩線と同じ路線を運行する新たなバス事業の導入や、自治体による補助制度の拡充なども検討される必要があります。
一方、北海道運輸局や自治体、バス事業者が連携して、地域交通の維持に向けた総合的な対策を講じることが求められています。運転手の処遇改善や給与アップによる人材確保、デジタル化による業務効率化、さらには自動運転技術の活用など、複数のアプローチが必要です。
今後の見通し
北海道中央バスの今回のダイヤ改正は、全国的なバス業界の危機的状況を象徴しています。人口減少と高齢化が進む地方部では、利用者数の減少と人手不足が二重苦となり、バス路線の廃止が加速しています。
石狩線の廃止期日である12月14日まで、残された時間は限られています。住民、自治体、バス事業者が一体となって、地域の足をどのように守るかを真剣に検討する必要があります。単なるバス路線の廃止ではなく、これは北海道の地方交通網全体の未来を左右する重要な決定点となるのです。
今後の動向として、石狩市が新たな代替交通手段をどのように構築するのか、そして北海道全域でバス事業の持続可能性をいかに確保するのかが、大きな焦点となります。




