ひるおび特集:東京23区マンション家賃ついに「24万円超」―住まいの選択は今どうするべき?
急騰する東京23区のマンション家賃
2025年9月現在、東京23区のマンション家賃が過去最高値を記録しています。アットホーム調べによれば、ファミリー向き(50~70㎡)の平均家賃は24万7375円と、家計への圧迫感がますます強まっています。シングル向き(30㎡以下)でも10万3265円、カップル向き(30〜50㎡)で16万8765円と、すべての間取りで史上最高値を更新しています。
引越し業界ではこの時期「プチ繁忙期」と呼ばれますが、希望の住まい探しは例年以上に困難となっています。背景には新築分譲マンション価格の急騰もあり、2017年度に比べて2024年度は約1.7倍、1億1632万円という高額になったことが影響しています。物件価格の上昇が賃貸市場にも波及し、多くの世帯が住居費の負担増に直面しています。
エリアごとの家賃格差
東京23区内でも家賃には顕著な地域差があります。港区、渋谷区、千代田区など都心高級エリアは
- 港区:36万1661円
- 渋谷区:32万5687円
- 千代田区:31万9914円
と非常に高額。一方で、城東エリアの葛飾区や足立区、江戸川区などは比較的リーズナブルです。
- 葛飾区:13万9813円
- 足立区:15万5717円
- 江戸川区:16万9445円
こうしたエリア選びや、築年数・駅距離の妥協、マンションからアパートへの住み替えを検討することで2~3割家賃を抑えることも可能です。
東京23区外や近隣他県への広がる選択肢
東京23区外に目を向けると状況は少し変わってきます。7月のファミリー向きマンションの平均家賃は、
- 23区外:13万675円
- 神奈川:13万3358円
- 千葉:11万5249円
- 埼玉:11万4522円
と大幅に抑えられています。通勤時間など生活スタイルとのバランスを考慮すれば、周辺県や郊外での住まい探しも現実的な選択となっています。
平均給与とのミスマッチ、暮らしへの影響
現在、国税庁の2023年データによると、35~39歳の平均給与(総支給)は466万円となっていますが、この水準でボーナスを含めても、手取りベースで毎月20万円台後半ほど。このため、「1か月の家賃で給与の半分近くが消える」という状況が常態化しつつあり、家計への重圧は著しいです。
そして、都内でワンルームに住み続けるだけでも簡単でなくなってきました。たとえば年金生活となれば、都内ワンルームすら家賃負担が厳しい現実も見えます。こうした経済環境が、若年層やファミリー世帯の生活基盤を大きく揺るがしています。
「賃貸」か「分譲」か 迷う現実
社会で話題となっているのが、「いま、東京に住むなら賃貸か分譲か、どちらがお得なのか」という問題です。「賃貸」は毎月の家賃支払いが発生しますが、「分譲」の場合は住宅ローン返済だけでなく、固定資産税や修繕費、管理費など多くのコストが継続してかかります。マンション価格が高騰している現在、負担感は双方ともに増しています。
経済評論家の加谷珪一氏は、「今のような高価格状況が続くのであれば、賃貸のほうがリスクは小さい」と分析。分譲購入時は金利変動や将来の価値下落リスクも考慮すべき一方、賃貸は転勤や転職、家族状況の変化にも柔軟に対応しやすい利点があると指摘します。
家賃高騰の要因と社会構造の変化
ここまで家賃が上がっている背景には、数年来のマンション価格急騰に加えて、東京への人口流入の持続、さらに資材高騰や人手不足による建設コスト増といった構造的要因があります。
- 大都市集中とインフレによる不動産価格上昇
- コロナ禍後の移動活発化
- 新築分譲価格の歴史的高値
「このようなトレンドがどこまで続くのか」に不安が広がっています。分譲派は価格高騰で手が届きにくくなり、賃貸派は家賃上昇で家探しが難しくなる…という、住まい選びのジレンマが全国的な社会問題となっています。
専門家がすすめる「賢い住まい選び」のポイント
- 地域選定:葛飾区や江戸川区など家賃が抑えられる城東エリア。
- 住まいタイプ:アパートはマンションより2~3割安。
- 築年数や駅距離:新築や駅近へのこだわりを緩和して家賃圧縮。
- 23区外や埼玉・千葉・神奈川:予算次第で郊外移住も選択肢。
家族構成や将来設計、通勤の利便性、資金計画など、多様な観点から住まい選びを丁寧に検討することが一層求められています。
まとめ:一人ひとりに合った住まい選びが必須に
2025年秋の都心部では、「東京で住む」ことそのものが大きなコストを伴う時代となりました。賃貸か分譲か、暮らし方や働き方、新しい家族のかたちなど状況に合わせて、より柔軟に住まいを考える必要があります。
家賃や物件価格、将来のライフプランなど、自分自身の価値観にしっかり向き合った「賢い選択」が問われているのです。今後も、不動産市況や社会の動きを注視しつつ、生活の安心と安全を守る選択を意識していきましょう。