過去最高値を更新―金価格、「1グラム2万3千円」ついに突破

2025年10月17日、国内の金価格が1グラム2万3千円を超え、田中貴金属工業の店頭販売価格では1グラムあたり23,254円が設定され、買い取り価格も23,062円で最高値を記録しました。直前まで2万円台を推移していた金相場は、わずか半月あまりで千円以上も高騰し、多くの貴金属店が買い取り希望者で混み合う異常事態となっています。専門家は「控えめに言ってもかなり異常」とコメントしており、歴史的な金ブームの様相を呈しています。金価格が「高値警戒感」で賢明な保有方法が改めて注目されています。

金価格高騰の背景―世界的不安が「金」人気を押し上げ

  • 前夜のニューヨーク金先物価格が史上最高値を更新し、日本国内にも余波が及んだ。
  • 米国での政府機関一部閉鎖が長期化し、経済の先行き不透明感が強まる。
  • 中国との貿易摩擦の再燃や政局不安が、世界的リスク回避姿勢を強化。
  • 株価急落と為替(円安)基調が続く中、資産保全として「金」への投資需要が高まっている。
  • 米地銀の信用不安が再燃し、金融市場の不安定感が高まっている。

「金」が買われる最大の理由として、「安全資産」「価値の保存手段」という性質が挙げられます。特に、株や為替が乱高下する時、金への資金流入が加速しやすい状況が続いています。

数字で見る2025年10月の金価格推移

  • 10月2日:最安値 1g 20,003円
  • 10月14日:2万2千円台に到達(1g 22,135円)
  • 10月16日:最高値 1g 22,404円
  • 10月17日:ついに1g 23,254円(店頭販売価格)・買い取り価格も最高値

この急速な値上がりは、「9月末に2万円突破」からまともな調整を挟まず、ほぼ一本調子の高値更新。特に中旬以降、連日のように店頭で過去最高値が更新されました。株式市場の不安や米国金融政策への思惑といった条件が重なったことが、金価格を押し上げる結果となっています。

世界的な要因―米中貿易摩擦と米地銀信用不安

  • トランプ米大統領による中国製品への追加関税発表。11月から100%の関税強化で「保護主義」色が強まる。
  • 中国のレアアース輸出規制強化—世界の供給網が揺らぎ、市場の不安心理が逆風に。
  • FRB金利引き下げ観測、ドル安・金利低下が金価格を押し上げ。
  • 米地銀については、特に2023年春から続く信用不安が再燃。融資不良や預金流出で金融システムに不安が生じ、投資家の警戒感が急速に高まりました。

また、日本国内でも政局不安(公明党連立離脱など)が投資家心理を冷やし、「株安→金高」へと影響しています。

金相場の「異常事態」―専門家の見解と店頭の現実

最大手貴金属店では、連日の行列や待ち時間が発生。店員は「これまでにない買い取り依頼の増加」で対応に追われています。あるベテラン投資家は「家計の資産防衛感覚が強い人ほど、金高騰時に売却ではなく保有を選ぶ傾向がある」と語ります。一方、価格急騰のリスクを意識し、「今が売り時」と考えて積極的に現金化する動きもみられます。

「賢い保有方法」とは?

専門家は、金価格の乱高下時にも慌てず「長期分散保有」を心がけるべきだと助言します。たとえば、

  • 現物の延べ棒、小分け金貨などは、保管料・手数料・売却時の税制リスクも確認
  • 積立型(純金積立・地金型投資信託)は月額少額から始められるため、短期の価格変動リスクを分散しやすい
  • ETF(上場投資信託・投資証券)による間接保有は流動性に優れる
  • 金地金やジュエリーの保有では盗難・災害リスクなども考慮した適切な保管方法を選択

さらに、「一時の熱狂的な上昇局面では、利益確定売却をしたい気持ちが高まりがちですが、今後の世界情勢や為替動向も見据えて冷静な判断が大切です」とアドバイスされています。「現物の形で金を持つ人は、これまで以上に証明書やインボイス管理を徹底し、万一の場合の資産証明を意識しましょう」。

金価格高騰がもたらす暮らしや企業への影響

  • 宝飾品や金製品の店頭価格が値上がりし、節約志向の消費が強まる。
  • 企業の原材料コスト高が進み、一部製造業では利益圧迫が避けられない。
  • 一方、家計への「金保有志向」が強まることで、個人向け資産形成サービスが好調。
  • 伝統的な結婚・贈答の場面でも「金製品」を選ぶ傾向が増加。

特に最近は、少額でも「積み立て型」でコツコツ金を持つ若い世代が増えており、「身近な資産防衛策」の一つとして注目度が上がっています。投資初心者への解説会やセミナーも増えています。

今後の見通しと変動要因

  • 「政治・金融・地政学リスク」の増加が続けば、金相場は高値圏維持も。
  • 一方で、世界情勢の落ち着きや金融政策の転換があれば、調整局面の可能性も。
  • 「安全資産」としての金需要が根強く続く一方、投機的な短期取引勢力による乱高下リスクを警戒する声も多い。

大手金融機関では「金価格は年末にさらに高騰し、2026年には1グラム2万5千円を超える可能性も」と強気な見方を示しています。ただし、こうした海外情勢や中央銀行の動向に左右されやすいため、「バランスの良い分散投資」や「冷静な判断」が今後も重要です。

まとめ―急騰相場と「正しい資産防衛」のために

今回の急騰劇に際し、専門家は「相場急変時こそ、感情に左右されず長期視点を持って行動することが資産防衛の基本です」と強調します。金価格の異常な値動きは、世界的不安や市場の動揺が背景にあり、今後も同様の局面が繰り返される可能性があります。売買に際しては、手数料や税制、保管リスクなど、さまざまな角度から情報収集を行い、納得した選択をすることが大切です。「いま買うべきか、売るべきか」ではなく、「なぜ保有するのか」「どの方法が自分のライフスタイルに合うのか」を一人ひとりが見極めていくことが求められます。

最新情報を正しく読み解き、ご自身の資産を守る判断力を身につけましょう。

  • 金相場の行方は予測しづらいですが、「価値保存の役割」自体は今後も変わりません。
  • 落ち着いた情報収集と冷静な行動が、いま最も大切な「資産防衛の知恵」です。

参考元