ゲーミングPCユーザー直撃!メモリ価格高騰で何が起きているのか

ここ数カ月で、PCメモリ価格が急激に高騰し、ゲーミングPCを中心に自作PC・BTOPCユーザーの間で大きな話題になっています。特に、最新世代のDDR5メモリでは、わずか3カ月ほどで価格が3倍~5倍に跳ね上がった例もあり、「さすがにこれは異常では?」と感じている方も多いでしょう。

本記事では、ゲーミングPCに焦点を当てながら、

  • なぜPCメモリがここまで値上がりしているのか
  • メーカーのG.SKILLが公表した「価格急騰の理由」
  • スマホ生産やほかの機器にも波及している「メモリー不足」の実情
  • ゲーミングPCユーザーが今できる現実的な対策

を、できるだけわかりやすく解説していきます。

ここ3カ月で「最大5倍」も? メモリ価格急騰のインパクト

2025年の秋以降、とくにDDR5メモリを中心に価格が急速に跳ね上がりました。PCパーツ価格の動向を追ったレポートでは、2025年9月頃と比べて4~5倍に達した事例も確認されています。

具体的な例として、DDR5の32GBキット(16GB×2、4800~5600MHz帯)では、

  • 2025年9月頃:約1.1万~1.3万円
  • 2025年12月頃:約5万~6万円

といった水準まで一気に上がっており、「高騰」というより暴騰といったほうが近い状況になっています。

DDR4でも同様で、例えばDDR4-3600の32GBキットは、2025年6月頃から値上がりが始まり、12月時点では約3倍の価格になっていると報告されています。
「メモリは安くなってから買うもの」というこれまでの常識が、ここ数カ月で一気に崩れた形です。

ゲーミングPCが受ける影響:大容量メモリほどダメージ大

このメモリ高騰は、とくにゲーミングPC向けのパーツと相性の悪い現象です。

  • 最新ゲーム+配信+ボイスチャット
  • 高解像度・高リフレッシュレート環境
  • クリエイティブ作業(動画編集・3D制作)を兼ねる

といった用途では、32GB以上のメモリを搭載するケースが増えてきました。しかし、今回の高騰では、まさにこの大容量・高クロック帯のDDR5がもっとも値上がりしており、ハイエンド志向のゲーマーほど影響が大きくなっています。

また、PCメーカー側も無傷ではいられません。法人向けPCでは本体価格が最大30%値上がりするとの報道もあり、メモリ・ストレージの高騰が完成品PCの値上げにつながりつつあります。
ゲーミングPCのBTOモデルでも、今後同様の傾向が広がる可能性があります。

G.SKILLが明かした「メモリ価格急騰の理由」

メモリモジュールメーカーとして自作PCユーザーにおなじみのG.SKILLは、2025年12月に、メモリ価格高騰に関する見解を発表しました。

G.SKILLによると、主な理由は次のような点にあります。

  • AI需要の拡大によるDRAM需要の急増
  • これに伴うDRAM供給不足と入手性の悪化
  • その結果として、同社製DDR5などのメモリモジュールの調達コストが大幅に上昇

つまり、G.SKILL自身が値上げしているというより、仕入れ段階のコストが上がっているため、結果として販売価格も高くならざるを得ないという構図です。

この「AI需要」というのが、今回のメモリ高騰を理解するうえで重要なキーワードになります。

なぜAIがPCメモリの価格に影響するのか

ここ数年で、

  • データセンター向けのAIサーバー
  • クラウドサービスや生成AI向けのGPUサーバー

などで、膨大な量の高帯域メモリが必要とされるようになりました。DRAMメーカーは、利益率の高いサーバー・AI向けメモリに生産を優先的に回す傾向が強まり、結果として、一般向けの汎用DRAMの供給が絞られる形になっています。

この「供給のシフト」により、

  • コンシューマ向けDDR5の在庫が細る
  • ショップやメーカーが欲しい数量を確保できない
  • 市場全体でメモリの取り合いが発生

といった流れから、短期間での異常な値上がりにつながっていると分析されています。

スマホ生産にも影響、2026年は2.1%減予想

メモリ不足の影響は、PCやゲーミングPCだけにとどまりません。2026年のスマートフォン生産については、前年比2.1%減の予想が出ており、その理由の一つとしてメモリー不足が挙げられています。

AI向け需要に汎用メモリが吸い取られる形で、スマホや他の機器向けの一般的なDRAMが枯渇気味になっているというわけです。
スマホはもちろん、タブレット、家電、車載機器など、あらゆるデバイスにメモリが使われているため、今回の供給逼迫は広い産業分野に波及しています。

この状況は「ゲーミングPCだけの問題」ではなく、電子機器全体に影を落としつつあるグローバルなメモリ不足と捉えたほうが理解しやすいでしょう。

ショップでの販売制限も「1人〇枚まで」

日本国内でも、メモリ不足と急激な値上がりに対応するため、秋葉原のPCショップの一部では購入枚数の制限が行われました。「1人につき購入は○枚まで」といった張り紙を見かけた方もいるかもしれません。

また、2025年10月頃から値上げ傾向が強まり、12月時点で値上がり前の約3倍となった製品も確認されています。
在庫が限られているうえに、入荷してもすぐ売れてしまうため、「買いたいときに買えない」「在庫があっても手が出ない価格」という二重の意味でユーザーを悩ませる状況が続いています。

今はゲーミングPCを買う・組むべき?判断のポイント

ゲーミングPCを検討している方が一番気になるのは、「今は買うべきなのか、それとも待つべきなのか」という点だと思います。

PCパーツ市場の分析記事などでは、

  • メモリ高騰がPC本体価格に本格的に反映されるのはこれから
  • 2025年12月時点では、完成品PCの値上げはまだ限定的

といった見方も出ています。
つまり、

  • メモリ単体を後から追加購入するのはかなり割高
  • 一方で、BTOやメーカー製ゲーミングPCの価格は、まだ「旧価格の在庫」を反映しているモデルもある

というケースもありえます。

そのため、

  • すぐにでも高性能な環境が必要な人は、本体ごと購入(BTO含む)を検討
  • メモリ増設前提の自作は、予算にかなり余裕がある人向けの選択肢になりつつある

という見方もできます。

ゲーミングPCユーザーが今できる現実的な対策

現状をすぐに変えることは難しいですが、ゲーミングPCユーザーができる実務的な対策はいくつかあります。

  • 必要最小限の容量を見極める
    最新ゲーム+配信を想定しても、多くのタイトルでは16~32GBで十分動作します。将来を見据えて64GB以上を狙っていた方は、「今は32GBで様子を見る」といった選択肢も検討できます。
  • DDR4環境を活かす
    すでにDDR4ベースのゲーミングPCを持っている場合は、無理にDDR5環境へ移行せず、GPUのアップグレードなど他パーツ優先で性能向上を図る、という考え方もあります。
  • セールやセットモデルを狙う
    メモリ単体ではなく、メモリ搭載済みの完成品PCやBTO構成のほうが、旧仕入れ価格の影響で割安に感じられるケースもあります。ショップのキャンペーンや特価モデルをチェックしてみる価値はあります。
  • 今すぐ必要ないなら様子を見る
    ゲームをカジュアルに楽しんでいて、現在の環境に大きな不満がない人は、無理に買い替えを急がず、市場の落ち着きを待つというのも立派な選択肢です。

今後の見通し:急騰前の「安値」に戻る可能性は低いとの声も

市場動向を分析した記事では、現在のような異常な高騰は徐々に落ち着くとしつつも、高騰前の安値水準に戻る可能性は低いとの見方が多くなっています。

理由としては、

  • AIサーバー向けなど、高付加価値分野の需要が継続的に高いこと
  • DRAMメーカーが過去の「作りすぎて暴落」を避けるため、供給を絞る戦略をとっていること

などが挙げられています。

つまり、

  • 直近数カ月のような異常値上がりはやがて落ち着く
  • しかし、「あの頃は安かった」と言われるレベルまで下がるとは考えにくい

というイメージに近いと考えられます。

ゲーミングPCの「買い方」の常識が変わるかもしれない

これまで、自作・BTO界隈では、

  • 「メモリは後から増設すればいい」
  • 「必要になったら、そのとき安いものを買う」

という考え方が一般的でした。しかし、今回のように短期間で3~5倍という極端な値動きが起こると、その前提自体を見直す必要があるかもしれません。

とくにゲーミングPCでは、

  • CPUやGPUと同じくらいメモリ容量・速度が重要になってきている
  • AI機能を活用するゲームやアプリが増えるにつれ、メモリ需要はさらに高まりやすい

といった要素もあります。今後は、

  • 「最初から必要な容量をしっかり積んだモデルを選ぶ」
  • 「長く使うことを前提に、やや多めのメモリを確保しておく」

といった”長期戦”を意識したゲーミングPC選びが、より重要になってくるかもしれません。

まとめ:ゲーミングPCユーザーは「情報収集」と「計画性」がカギ

PCメモリの急激な高騰は、G.SKILLが説明したようにAI需要によるDRAM供給不足と調達コストの上昇が大きな要因となっており、スマホ生産の減少予測にまで影響を及ぼしています。
とくにゲーミングPCにとっては、

  • 大容量DDR5メモリの価格が3~5倍まで高騰
  • PC本体やBTOモデルにも値上げの波が広がりつつある

という形で、避けて通れない問題になりつつあります。

ただし、すべてが悲観的というわけではありません。今の環境で本当に何が必要なのかを見極め、

  • 必要最小限のメモリ容量で工夫して使う
  • 完成品PCやBTOの「お得な構成」を選ぶ
  • 急ぎでないなら、市場が落ち着くのを待つ

といった選択肢を組み合わせることで、ダメージをある程度抑えることも可能です。

今後もしばらくは、メモリをはじめとしたPCパーツの価格動向から目が離せません。ゲーミングPCユーザーとしては、情報収集を続けながら、自分のプレイスタイルに合ったタイミングと構成を冷静に選ぶことが何より大切になってきそうです。

参考元