福岡銀行と西日本シティ銀行が住宅ローン固定金利を引き上げ 借り換えを検討する利用者が増加
福岡県の地域金融機関である福岡銀行と西日本シティ銀行が、住宅ローンの固定金利を相次いで引き上げました。この動きは、日本銀行の金融政策変更に伴う市場金利の上昇を受けたもので、住宅購入を考える消費者や既存の借入者に大きな影響を与えています。
金利引き上げの背景と現状
日本銀行が1月の金融政策決定会合で政策金利を引き上げたことが、今回の住宅ローン金利引き上げの引き金となりました。この影響を受けて、大手銀行各行が4月から住宅ローン変動金利の基準金利を0.15~0.25%の幅で引き上げています。
一方、福岡銀行と西日本シティ銀行は、地域に根ざした金融機関として、大手銀行とは異なる対応を取ってきました。4月の時点では、新規借入者への適用金利を据え置き、基準金利からの優遇幅を拡大することで、顧客への負担を軽減する工夫をしていました。しかし、時間の経過とともに、金利引き上げの圧力が高まり、ついに固定金利の引き上げに踏み切ったのです。
現在、福岡銀行の住宅ローン基準金利は、2025年11月1日から11月30日の適用期間において、以下のように設定されています。2年固定で年3.500%、3年固定で年3.650%、5年固定で年3.800%、10年固定で年4.150%、そして変動金利型で年3.475%となっています。
西日本シティ銀行の対応
西日本シティ銀行も同様に固定金利の引き上げを実施しており、2025年11月の金利設定では、特別金利が年0.875%から提供される状況となっています。西日本シティ銀行は、顧客の利便性を考慮した複数の金利プランを用意しており、借入期間や固定期間の選択肢が充実しています。
両行とも、市場金利の動向に左右されない安定性と、地域顧客への配慮のバランスを取りながら、金利政策を展開しているのが特徴です。
借り手への影響と注意点
固定金利の引き上げは、特に新規で住宅ローンを借りようと考えている人々に直接的な影響を及ぼします。金利が上昇すれば、毎月の返済額が増加し、トータルの返済総額も膨らむことになります。
例えば、3000万円を借入期間35年で借りた場合の試算によると、わずかな金利の上昇でも、返済総額に数百万円の違いが出てくることもあります。そのため、住宅購入を検討している消費者にとって、複数の銀行の金利を比較検討することがより重要になっています。
また、既に変動金利で借入をしている人も注視が必要です。変動金利は市場金利の動向に応じて半年ごとに見直されるため、今後さらなる金利上昇が予想される場合、固定金利への借り換えを検討するタイミングが来ているかもしれません。
今後の金利動向の見通し
福岡銀行と西日本シティ銀行の過去の行動パターンから、今後の金利動向を予測することができます。昨年10月には、両行が基準金利を引き上げた後、1ヶ月間だけ適用金利を据え置きました。その後、11月には大手銀行と同様に新規借入者の適用金利を引き上げています。
同じパターンが繰り返される可能性も指摘されており、4月に適用金利を据え置いた両行は、その後の数ヶ月で段階的に金利を引き上げる動きを見せています。このため、新規で借入を予定している人は、5月以降の適用金利の動きに細心の注意を払う必要があります。
消費者にとるべき対策
金利上昇局面では、消費者にとって複数の選択肢を検討することが重要です。まず、固定金利と変動金利のどちらを選ぶかについて、自分のライフプランと返済能力を考慮した判断が求められます。
固定金利を選べば、金利上昇のリスクから身を守ることができますが、その代わり当初から高めの金利が適用されます。一方、変動金利は当初の金利が低いというメリットがある一方で、将来的な金利上昇に備える必要があります。
また、フラット35などの公的融資制度も選択肢の一つです。フラット35の最新金利情報によると、融資率9割以上、借入期間21年以上のケースで最も多い金利は年1.89%となっており、民間金融機関の固定金利よりも低い水準となっています。
さらに、福岡銀行や西日本シティ銀行では、ZEH住宅やLCCM住宅を対象にした特別金利を用意しているなど、環境配慮型住宅への優遇措置もあります。これらの制度を活用することで、金利負担を軽減することも可能です。
地域金融機関の役割
福岡銀行と西日本シティ銀行は、福岡県の経済を支える重要な地域金融機関です。今回の固定金利引き上げも、市場金利の上昇圧力に対応しながら、地域の住宅需要を支えるという使命の中で判断されたものと考えられます。
大手銀行に比べて、地域の顧客ニーズをより細かく把握し、柔軟に対応できるのが地域金融機関の強みです。金利引き上げも、一定期間据え置いてから段階的に対応するなど、顧客への配慮が見られています。
今後も、両行がどのような対応を取るのか、市場金利の動向とともに注視する価値があります。住宅購入を検討している福岡県民にとって、これらの金融機関の動きは、人生最大の買い物である住宅購入の判断に大きな影響を与えるからです。
まとめ
福岡銀行と西日本シティ銀行による住宅ローン固定金利の引き上げは、日本銀行の金融政策変更に伴う市場全体の動きの一部です。金利上昇局面では、消費者にとって冷静で慎重な判断がこれまで以上に重要になります。複数の選択肢を比較検討し、自分のライフプランに合った最適な借入方法を選ぶことが、後悔のない住宅購入につながるでしょう。



