福井県美浜町の老舗ドライブイン「千鳥苑」が自己破産申請、負債約6億円

福井県美浜町で国道27号沿いに店舗を構え、1965年創業の老舗ドライブイン「千鳥苑」は、8月4日に事業を停止し、自己破産の申請を福井地裁敦賀支部に行うことが明らかになりました。負債総額は約6億円と報告されています。

千鳥苑の歴史と事業概要

千鳥苑は昭和40年(1965年)に創業し、嶺南地域でのトップクラスのドライブインとして長年営業を続けてきました。法人化は1980年(昭和55年)で、主に国道27号沿いの好立地を活かし、食堂経営と土産物販売で地域の観光客や地元客に親しまれてきました。

特に、自家製の鯖の糠漬け「へしこ」や福井県内初の地ビール「若狭ビール」の製造販売を手掛け、地域色の強い商品として評価されていました。また、美浜町出身の演歌歌手関連商品を展示・販売する施設も備えており、観光バスの団体客受け入れも活発に行っていました。

売上のピークと事業の変遷

最盛期の1994年3月期には年間売上高がおよそ10億9500万円に達するなど、地域経済において重要な役割を果たしていました。売上の8割以上が旅行会社を通じた団体客のドライブイン利用や食堂収入によるものでした。

破産に至った背景

近年、舞鶴若狭自動車道の開通が国道27号沿いの交通量に影響を与え、千鳥苑の集客力低下に拍車をかけたとみられています。これに伴い、売上の落ち込みが続き、経営の維持が困難になりました。

帝国データバンク福井支店の調査によると、負債総額は約6億円にのぼり、経営再建の道が閉ざされた形で、弁護士に事後処理を一任しての破産手続き開始となりました。

地域への影響と今後の見通し

千鳥苑はただのドライブインにとどまらず、地元の特産品「へしこ」や地ビールといった地域産業の発信基地でもありました。そのため、今回の破産は地域経済や観光面で一定の影響が懸念されています。

なお、「へしこ」や地ビールのブランドについては事業譲渡も検討されているため、完全な消滅を免れる可能性がありますが、現時点で具体的な譲渡先や条件は明らかになっていません。

まとめ

  • 1965年創業、福井県嶺南地域で長年親しまれたドライブイン千鳥苑が8月4日に事業停止し、破産申請
  • 負債総額は約6億円、舞鶴若狭道開通による集客減少が経営悪化の主因
  • 自家製「へしこ」や県内初の地ビール「若狭ビール」製造販売で地域に貢献
  • 地域経済や観光への影響が懸念される中、関連商品の事業譲渡も検討中

千鳥苑は地域に根ざした歴史ある企業として多くの人に愛されてきました。今回の破産は経済環境の変化と交通インフラの影響を色濃く反映したものといえます。今後の対応が注目されます。

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