2025年12月の為替相場が大きく変動か、円高・円安の重要な日程を分析

11月下旬から12月初旬の為替市場では、米国の金融政策と日本銀行の動向が大きな焦点となっており、ドル円相場の変動が予想されています。12月1日時点で、市場関係者らが注視する経済指標や金融政策の決定が控える中、今後の為替トレンドについて専門家の分析が活発化しています。

12月の為替市場で注目すべき重要な日程

12月の為替相場には複数の重要なイベントが予定されており、特に米国と日本の金融政策の方向性が相場を左右する要因となります。米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月9~10日に開催予定で、市場では90%近い確率で利下げが織り込まれている状況です。一方、日本銀行も12月18~19日に金融政策決定会合を開催する予定で、利上げ実施の観測が6割近くまで高まっているとされています。

日足チャート分析では、特に注視すべき日程として11日と26日の円安傾向、17日の円高傾向が挙げられています。11日と26日には米ドルが買われやすくなる「仲値トレード」の対象となる傾向が見られ、一方17日には円高傾向が予想されています。12月26日については、豪ドル円で100%、ニュージーランドドル円で90%という高い確率で円安になる統計データが確認されているため、特に警戒が必要です。

月足統計データが示す通貨別アノマリー

過去20年間の月足データを分析すると、12月は特定の通貨ペアに明確なアノマリー(統計的な異常値)が現れることが分かっています。ニュージーランドドルは12月に強気相場となりやすく、ニュージーランドドル円とニュージーランドドル米ドルで陽線の出現回数が20回中14回と高い確率を示しています。またスイスフランも同様に12月に買われやすい傾向があり、スイスフラン円では20回中14回の陽線出現率が記録されています。

スイスフランが12月に買われやすい背景には、年末の長期休暇に向けた安全資産への資産移動の流れが強まることが考えられます。しかし注意点として、スイスフランが主要通貨に対して史上最高値を更新しており、スイス国立銀行によるスイスフラン売り介入が警戒される状況も報告されています。

今週のドル円の見通しと重要な水準

12月1日から5日の週間予想レンジは154.50~158.00の見込みです。現在の市場環境では、米国の12月利下げ観測が強まる一方で、日本銀行の12月利上げ観測も高まっており、その両者の綱引きがドル円相場の方向性を決める要因となっています。

テクニカル分析の観点からは、155円台の攻防が重要となります。155.75レベル(4時間足チャートの半値戻し)155.24レベル(フィボナッチ・リトレースメント61.8%)の攻防が焦点となり、155.24レベルを下方ブレイクすると155.00をトライするサインとなる可能性が指摘されています。

日本銀行と米国の金融政策が与える影響

今週の為替相場を動かす大きな要素として、1日に日銀の植田和男総裁が名古屋で経済界代表者との懇談会に出席予定であり、金融政策に関する発言内容によっては利上げ観測に影響を与える可能性があります。また、米国の雇用関連指標とISM指数も重要な材料視される見込みです。

市場では、米FOMC会合までの間、米経済指標で景気不安が高まればドル安要因となると予想されており、同時に日銀の利上げ観測がさらに高まる場合は、ドル円の下値水準の攻防に注目が集まることになりそうです。

年末に向けた相場環境への警戒

12月末に向けて市場参加者が少なくなる時期を迎えるため、トレード環境にも注意が必要とされています。特にクリスマス前の22~26日には世界的な株高になりやすい傾向も注目されており、この期間の相場変動に対する準備が重要です。

さらに、日本政府が11月28日に25年度の補正予算案を閣議決定し、11兆円超の追加国債発行の見込みとなっており、財政懸念がくすぶっている状況も背景要因として存在します。日銀の12月追加利上げ観測が後退した場合には、円売りによるドル円の上昇圧力が強まる可能性も指摘されています。

2025年末に向けた中期的な見通し

短期的な変動要因が多い一方で、中期的な観点からは2025年末に1ドル=140円台前半への緩やかな円高・ドル安が予想されています。トランプ政権の動向によって相場がボラタイルになる可能性も指摘されており、市場参加者は複数のシナリオに対応する必要があります。

為替市場は金融政策、経済指標、政治的イベントなど多くの要因に左右される複雑な市場です。今後の相場動向を予測するには、米国と日本の金融政策の方向性、経済指標の発表スケジュール、そして年末の流動性低下に伴う相場変動のリスクを総合的に考慮する必要があります。

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