岩屋外務大臣が出席した第62回日米財界人会議――貿易と投資の「透明性」と「予測可能性」を求めて
日米財界人会議とは何か?
日米財界人会議は、日本とアメリカの大手企業経営者が集い、両国間の経済関係や貿易・投資の将来について広く議論を重ねる場です。2025年10月2日、東京都内で第62回目となるこの会議が開幕し、多くの経済界リーダーとともに、岩屋外務大臣も参加されました。目的は「日米の対話の強化」と「経済的パートナーシップの深化」です。
背景にある米政策への不安と世界経済の不確実性
いま、世界経済は米国の高関税政策などの影響もあり、先行きが非常に不透明になっています。トランプ政権以降、保護主義的な動きが世界中に広がりつつあり、貿易や投資のリスクや不確実性が高まっています。そのため、市場や企業活動の「予測可能性」や「透明性」を両国が協力して実現することが喫緊の課題とされています。
共同声明と岩屋外務大臣の役割
本会議では、「貿易・投資の透明性と予測可能性を確保すること」が両国政府に対し強く求められました。岩屋外務大臣は夕食会に出席し、日米双方の経済界に直接耳を傾けたほか、透明性の高いルールづくりの支援などについて表明しました。
主な議論内容と提言
- 投資審査の目的明確化:共同声明では「投資審査は安全保障上の懸念に限定して適用すべき」と明記されました。過度な規制や曖昧な基準による投資制約を避け、公正なビジネス環境を構築する必要性が確認されました。
- 技術分野での官民連携の重要性:人工知能(AI)やデジタルイノベーションの進展が注目される中、日米両国が官民で連携し、技術革新を促進することが提言されました。
- 専門人材の交流促進:グローバルな人材流動が経済発展の鍵となるため、ビザ手続きの円滑化や専門人材の交流拡大にも言及されました。
- 経済安全保障のバランス:安全保障と経済成長の両立を目指し、リスク管理と経済自由化のバランスの重要性が話し合われました。
日米経済協力の強化に向けた期待
会議では、日本側議長の澤田純・日米経済協議会会長(NTT会長)が「日米企業レベルでの対話強化が欠かせない」と語り、米国側議長のデービッド・ゲックラー米日経済協議会会長(サンディスク会長)は「技術連携が生活の質向上に大きく貢献してきた」と協力の意義を強調しました。これらの発言からも、日米経済関係が国際社会において特に強固で重要なパートナーシップであることがうかがえます。
参加者による現状認識――より良い経済関係のために
参加した企業経営者からは「トランプ政権発足からわずか8カ月あまりで予想以上の変化が起きており、企業経営の根幹が揺らぐリスクを常に感じている」といった意見も寄せられました。そのため、日米両国が密に情報を共有し、政策決定において透明性と予見性を高めていく仕組み作りが極めて重要という認識で一致しました。
国際的なリーダーシップへの期待
日米両国はだけでなく、グローバルサプライチェーンの中核も担う国々です。今回の会議では、「日米のリーダーシップで世界経済の安定化やルール形成をけん引すること」にも期待が集まりました。協力を通じて自由で公正な経済秩序の形成を目指す姿勢が鮮明になっています。
岩屋外務大臣の今後の課題
岩屋外務大臣は、今後も日米の経済界など多様なステークホルダーとの対話を重視し、日本政府として「透明性の高い貿易・投資環境の実現」にいっそう力を注ぐことを表明しました。また、イノベーションや人材交流、相互に発展し続ける持続可能な経済関係の構築に向けて、政策面でも支援強化を図る考えが強調されました。
まとめ
今回の第62回日米財界人会議は、岩屋外務大臣をはじめとした政府関係者、両国企業の経営者たちが「予測可能性」「透明性」「協力強化」をキーワードに、変化の激しい国際情勢に対応するための課題を突き詰めて議論した重要な場となりました。今後の日米経済関係は、より公正で開かれたルールづくりを基盤に、イノベーションと人材交流を推進しながら、両国が共にリーダーシップを発揮していくことが期待されています。