蛍光灯が2027年末で製造禁止に――知っておくべき段階的廃止スケジュール
2023年11月に開催された「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」の決定により、日本国内で長年使用されてきた蛍光灯が段階的に製造・輸出入禁止になることが決まりました。すべての一般照明用蛍光ランプは2027年末までに製造および輸出入が禁止されることになり、既に多くの企業が生産終了の方針を発表しています。
この規制は、蛍光灯に含まれる**水銀が環境汚染の原因となる**という懸念に基づいています。水銀は水俣病を引き起こした物質として知られており、国際的な協力により、水銀使用製品の段階的廃止が進められているのです。
蛍光灯の種類ごとに異なる廃止時期
蛍光灯の製造禁止は一律ではなく、種類ごとに段階的に進められます。まず最初に廃止対象となるのが電球形蛍光ランプで、2025年12月31日までに製造・輸出入が禁止されます。30ワットを超える電球形蛍光ランプについては2026年12月31日まで製造が認められています。
次に、2026年12月31日までにコンパクト形蛍光ランプの製造・輸出入が禁止される予定です。そして最後に、直管形蛍光ランプと環形蛍光ランプについては2027年12月31日までの期間が設けられています。ただし、これらのうちハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは、より早い2026年12月31日に廃止される予定です。
大手メーカーのパナソニックも、2024年8月に70年以上続けてきた蛍光灯の生産を終了する方針を発表しており、2027年末までにすべての生産を終了させると表明しています。
なぜ今、LED照明への切り替えが急務なのか
蛍光灯の廃止決定に伴い、多くの家庭や企業でLED照明への切り替えが急速に進んでいます。しかし、単に蛍光灯をLED電球に替えるだけでは十分ではないという点が、専門家から指摘されているのです。
蛍光灯とLED照明では、同じソケットに装着できる場合もあれば、そうでない場合もあります。特に古い照明器具を使用している場合、LED電球との互換性の問題が生じる可能性があります。完全に安全で効率的な切り替えを行うには、単なる電球の交換だけでなく、**照明器具そのものの交換が必要になることもある**という点を理解しておくことが重要です。
LED照明への切り替え時に注意すべきポイント
LED照明への切り替えを検討する際には、いくつかの重要なポイントがあります。第一に、自宅の照明器具がLED電球に対応しているか確認することです。古い蛍光灯器具の場合、LED電球を使用する際に調光機能や安定性の問題が生じることがあります。
第二に、**照明器具全体の交換が必要になる場合がある**という点です。特に天井埋め込み型の蛍光灯器具やブラケットタイプなど、設計がLED対応になっていない器具では、単なる電球交換では対応できず、器具ごと交換する必要が生じます。
第三に、LED照明の明るさや色温度を慎重に選択することです。蛍光灯の昼白色(5000K)に慣れた環境では、LED照明もそれに合わせて選ぶ必要があります。間違った色温度を選ぶと、生活空間の雰囲気が大きく変わってしまうため注意が必要です。
既に使用している蛍光灯はどうなるのか
このニュースを聞いて不安に感じる方も多いのではないでしょうか。しかし安心してください。**現在使用している蛍光灯の継続使用は禁止されていません**。廃止されるのはあくまで「製造」と「輸出入」であり、既に購入された蛍光灯を使い続けることは問題ないのです。
つまり、自宅に在庫として蛍光灯をストックしておけば、それらを引き続き使用することは可能です。ただし、廃止期限が近づくにつれて、蛍光灯の販売在庫が減少していくため、**必要であれば早めに買い置きしておくことが賢明**かもしれません。
計画的なLED移行で、安心と快適さを手に入れよう
蛍光灯の段階的廃止は、環境保全と資源の効率的利用を目指す国際的な動きの一環です。個々の家庭や企業においても、この機会に照明環境を見直し、計画的にLED照明へ移行することが重要になります。
慌てて対応するのではなく、今から余裕を持ってLED照明への切り替え計画を立てることをお勧めします。まずは自宅の照明器具の種類と数を把握し、LED対応が必要かどうかを確認してください。その上で、必要に応じて業者に相談し、照明器具の交換時期と方法を決定するのが、最も効率的で安心できる選択肢となるでしょう。
蛍光灯からLED照明への移行は、単なる「必要に迫られた対応」ではなく、**より快適で省エネな生活空間を実現するチャンス**として捉えることができます。この転機をうまく活用して、家全体の照明環境をアップグレードしてみてはいかがでしょうか。



