預金金利は上がらないのに住宅ローン金利は上昇──「フラット35」に注目が集まる理由
住宅ローンを検討している人や、すでに返済中の人の間で、最近「フラット35の金利動向」が大きな話題になっています。
背景には、預金金利はほとんど増えないのに、住宅ローン金利はじわじわ上昇しているという、「ハサミ撃ち」による家計への圧迫があります。
そんな不安が広がる中で、長期固定型の住宅ローンであるフラット35の意外なメリットに、あらためて注目が集まっているのです。
フラット35とは?基本をやさしくおさらい
まずは、ニュースなどで名前は聞くものの、詳しくは知らないという人のために、フラット35の基本から整理してみましょう。
フラット35の仕組み
フラット35は、住宅金融支援機構と全国の金融機関が提携して提供している「全期間固定金利型」の住宅ローンです。
借入期間は最長35年で、その間金利がずっと変わらないことが最大の特徴です。
- 全期間固定金利型:返済がスタートしたときの金利が、完済までずっと続くタイプ
- 長期返済向け:一般的には借入期間21〜35年の「フラット35」、20年以下の「フラット20」などがある
- 提携商品:住宅金融支援機構と、銀行やネット銀行など300以上の金融機関が取り扱っている
変動金利や固定期間選択型と比べると、「金利が上がったらどうしよう」という不安を、かなり抑えられるローンです。
2025年12月時点のフラット35金利
2025年12月のフラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下・団信込み)の最頻金利(もっとも多い金利)は年1.97%となっています。
これは、11月の1.90%から0.07%の引き上げで、ニュースでも「金利上昇」として取り上げられています。
実際、2025年の推移をみると、フラット35の最頻金利は次のように動いてきました。
- 2025年7月:1.84%
- 2025年8月:1.87%
- 2025年9月:1.89%
- 2025年10月:1.89%
- 2025年11月:1.90%
- 2025年12月:1.97%
このように、ここ1年ほどでじわじわと金利が上昇していることがわかります。
預金金利はほとんど増えないのに…「ハサミ撃ち」の実態
生活者の不安を大きくしているのが、「預金金利は上がらないのに住宅ローン金利だけが上がる」という状況です。
家計にとっては、とても不利な組み合わせであり、まさに「ハサミ撃ち」と表現されます。
なぜ預金金利は上がりにくいのか
多くの銀行の普通預金金利は、いまだにごくわずかな水準にとどまっています。
理由は、金融機関側が市場環境や競争、運用状況などを踏まえて、金利上昇分をすぐには預金者へ反映しない傾向があるためです。
結果として、「お金を銀行に預けていても、ほとんど増えない」という感覚を、多くの人が持っています。
一方で住宅ローン金利は上昇
これに対して、住宅ローン、特に長期固定金利であるフラット35は、長期金利(10年国債利回りなど)の影響を受けて上昇しています。
2025年秋以降、国債利回りが1.8%前後まで上昇したことが、フラット35金利の引き上げにつながりました。
その結果、生活者からは次のような不安の声があがります。
- 「預金では増えないのに、ローンの返済負担だけが増えてしまう」
- 「この先さらに金利が上がったら、返済が苦しくなるのではないか」
- 「変動金利で借りているが、今のうちに固定に変えた方がいいのか迷う」
こうした不安が募る中、日曜日の静かな時間帯に、ローンの借り換えや投資商品を勧誘する電話がかかってくることも少なくありません。
「金利が上がる前に」「今ならお得」といった言葉で不安をあおられ、焦って判断してしまうケースもあります。
大切なのは、まず自分のローン状況や家計の状態を正しく把握し、冷静に選択肢を比較することです。
その上で、選択肢のひとつとして改めて浮かび上がるのが、フラット35という長期固定ローンです。
「誰も教えてくれないフラット35の意外なメリット」とは
フラット35は「金利がやや高め」というイメージだけで敬遠されがちですが、長期の安心感や制度面のメリットをあまり知らない人も少なくありません。
ここでは、よく語られるメリットだけでなく、「意外と知られていないポイント」にも触れていきます。
メリット1:完済まで金利が変わらない「安心感」
もっとも大きなメリットは、なんといっても金利が完済まで固定されていることです。
返済開始時に「毎月いくら返すか」が確定し、将来の金利上昇リスクを住宅金融支援機構側が引き受ける形になります。
変動金利の場合、現在の金利がフラット35より低くても、将来金利が上がると返済額が増える可能性があります。
フラット35なら、将来の「もしも」の金利上昇を心配せずに、家計の見通しを立てられるのが魅力です。
メリット2:団体信用生命保険(団信)込みでさらに安心
現在のフラット35は、「新機構団信付き」が基本となっており、多くのケースで団信保険料が金利に含まれた形で提供されています。
たとえば2025年12月のフラット35(融資率9割以下・団信付)の最頻金利は、前述のとおり1.97%です。
団信とは、ローン返済中に死亡または高度障害状態になった場合に、残りのローンが保険で完済される仕組みです。
通常の民間ローンでも団信は用意されていますが、フラット35ではこの仕組みが標準化されており、万一の際の安心感が大きな特徴です。
メリット3:フラット35Sなどの優遇制度で「当初金利引き下げ」も
省エネ性や耐震性など、一定の基準を満たした住宅の場合、「フラット35S」と呼ばれる金利優遇を受けられます。
2025年12月時点では、フラット35Sの対象となると、当初5年間は金利が年▲1.0%引き下げられます。
具体的には、次のようなイメージです。
- 通常のフラット35(融資率9割以下・団信付)の最頻金利:年1.97%
- フラット35Sを利用し、当初5年間は年0.97%、6年目以降は年1.97%となる
当初5年間の金利が1%も下がるため、特に返済初期の負担が大きく軽減されるというメリットがあります。
家計が落ち着かない新生活のスタート時期に、返済額を抑えられるのは、大きな安心材料と言えます。
メリット4:繰上返済のハードルが低い
フラット35は、取り扱う金融機関によって違いはあるものの、インターネットからの一部繰上返済の手数料が無料とされているケースが多くあります。
まとまったお金ができたときに、こまめに返済期間を短縮したり、返済額を減らしたりしやすいのも、長期ローンには大切なポイントです。
また、繰上返済をしても、元々の固定金利は変わらないため、「返済計画の見通しが狂いにくい」という利点もあります。
メリット5:収入合算などで借入可能額を柔軟にできる
フラット35では、夫婦や親子の収入を合算して借りる「親子リレー返済」や「収入合算」などの制度も整っています。
これにより、単独では借入可能額が足りない場合でも、家族で協力してマイホームの取得を目指しやすくなるという側面があります。
フラット35の注意点と、向いている人・向いていない人
もちろん、フラット35にも注意点があります。
「なんとなく安心そうだから」と選ぶ前に、自分のライフプランに合っているかを考えてみることが大切です。
注意点1:変動金利より「目先の金利」は高くなりがち
一般的に、民間銀行の変動金利型ローンの方が、当初の金利はフラット35より低く設定されることが多いです。
そのため、短期的な返済額だけを見ると、変動金利の方が有利に見えるケースが多くなります。
フラット35を選ぶということは、将来の金利上昇リスクを避けるために、一定の「保険料」のような感覚で、現時点ではやや高めの金利を受け入れるという考え方にもなります。
注意点2:物件の要件や事務手続き
フラット35を利用するには、住宅の構造や広さ、耐震性など、一定の技術基準を満たす必要があります。
また、適合証明書の取得など、通常の民間ローンよりも書類や手続きが増える場合があります。
フラット35が「向いている人」
- 長期的に同じ家に住む予定があり、返済額を安定させたい人
- 共働き家庭などで、家計の見通しを固めておきたい人
- 今後の金利上昇リスクが気になり、変動金利では不安を感じる人
- 省エネ住宅などを建てて、フラット35Sの金利優遇を活用できる人
フラット35が「やや向きにくい人」
- 短期間(10年以内など)で売却・住み替えの予定がある人
- ボーナスや繰上返済を積極的に使い、短期間で一気に返す計画の人
- 当面の返済額をできるだけ低く抑えたいという超短期志向の人
このように、フラット35は「誰にでもベストなローン」ではなく、安定重視の人に向いている選択肢と言えます。
金利上昇局面でどう考える?フラット35とどう付き合うか
2025年12月現在、フラット35の最頻金利は1.97%と、過去数年と比べるとやや高めの水準になっています。
このような金利上昇局面では、次のような考え方がポイントになります。
すでにフラット35で借りている人
- 今の金利は完済まで変わらないため、新たな金利上昇の影響は受けない
- 逆に言えば、「固定しておいてよかった」という状況になりつつある
- 今後さらなる金利上昇が進めば、固定であることの価値は相対的に高まる
フラット35で借りている人は、「周りで金利が上がっている」というニュースを聞いても、冷静に今の条件を見直すことで、安心感を再確認できるでしょう。
これから住宅ローンを組む人
これからローンを組む人にとっては、「変動か固定か」「どの程度リスクをとるか」が、より重要になります。
フラット35は、今の時点では変動金利より高く見えても、「長い目で見て安心を買う」選択肢として検討する価値があります。
- 将来の金利上昇が不安なら、フラット35やフラット35Sを軸に検討
- 家計に余裕があり、多少の金利変動には対応できる人は、一部を変動、残りを固定といった組み合わせも検討の余地あり
借り換えを検討している人
変動金利や短期固定から、フラット35への借り換えを検討する人も増えています。
ただし、借り換えには諸費用や残りの返済期間も関わるため、次の点をよく確認することが大切です。
- 借り換え後の金利と、今のローン金利の差
- 残りの返済期間と残高
- 借り換えにかかる手数料や登記費用などの合計
シミュレーションをしながら、トータルで本当にメリットが出るかを確認し、不明点は金融機関や専門家に相談すると安心です。
不安をあおる電話や勧誘に振り回されないために
金利が上昇し、将来の返済に不安を感じているタイミングは、営業電話や勧誘が入りやすい時期でもあります。
日曜日の静かな昼下がりに、「金利が上がる前に見直しましょう」「今のローンは損をしていますよ」といった電話が鳴ることもあるでしょう。
もちろん、中には本当に有益な提案もありますが、不安をあおって、複雑な商品やリスクの高い商品に誘導するケースもあります。
そんなときに大切なのは、次の2つです。
- すぐに決めない:その場で契約や申込をしない
- 自分でも調べる:フラット35の公式情報や、公的機関・信頼できる金融情報サイトなどで確認する
とくに住宅ローンは、数十年にわたって家計に影響する大きな決断です。
焦りや不安につけこまれないよう、自分のペースで、情報を整理してから判断することを心がけましょう。
おわりに:フラット35を「不安の時代」の味方にする
預金金利はなかなか増えず、住宅ローン金利は上昇傾向──。
そんな「ハサミ撃ち」に直面している今、フラット35のような長期固定型ローンの価値が、あらためて見直されています。
フラット35は、「今の金利がとにかく一番低いローン」ではないかもしれません。
けれども、35年という長い時間の中で、安心して暮らし、家族の未来を描いていくための一つの選択肢として、大きな意味を持つ商品です。
金利上昇のニュースや、不安をあおる勧誘の電話に振り回されるのではなく、自分と家族にとって本当に大切なものは何かを軸に、住宅ローンを選んでいきたいですね。




