ファーストリテイリング、今期業績と配当予想を上方修正 ユニクロ好調で最高益見通しをさらに上乗せ

ユニクロを中核ブランドとして世界展開するファーストリテイリング(ファストリ、証券コード9983)が、2026年8月期の業績予想と配当予想をそろって上方修正しました。第1四半期の決算が国内外で好調だったことを受け、今期の最終利益(親会社株主に帰属する当期利益)を3%強引き上げ、すでに見込んでいた過去最高益予想をさらに上乗せしています。

また、株主還元の面でも年間配当の予想を1株あたり20円増額し、成長の成果を投資家に還元する姿勢を明確にしました。 ユニクロ事業を中心とした収益拡大が続くなかでの上方修正となり、市場でもポジティブな材料として受け止められています。

第1四半期決算概要:売上も利益も2ケタ近い伸び

ファーストリテイリングが発表した2026年8月期第1四半期(2025年9〜11月期)の連結決算は、堅調なスタートとなりました。

  • 売上収益:1兆277億円前後(前年同期比約14.8%増
  • 営業利益:2109億円強(同33.9%増
  • 最終利益:1474億円(同11.7%増

売上・営業利益・最終利益のいずれもが前年を大きく上回っており、とくに営業利益の伸びが3割超と高いのが特徴です。 売上に対する営業利益率も20%台に乗せる水準となり、収益性の改善が進んでいることがうかがえます。

前年同期間と比べて、売上収益は2ケタ台後半の伸び、営業利益は3割以上の増益、純利益も2ケタ近い増加となっており、ユニクロ事業を中心とした好調さが数字に表れています。

通期業績予想を上方修正:最終利益は4500億円に

この堅調な第1四半期を受けて、ファーストリテイリングは2026年8月期通期の業績予想を見直しました。従来予想からの主な修正点は以下の通りです。

  • 売上収益:3兆7500億円 → 3兆8000億円(前期比10.3%増 → 約10%強の増収水準)
  • 営業利益:6100億円 → 6500億円(同10.7%増 → 伸び率拡大)
  • 税引前利益:6600億円 → 6900億円
  • 最終利益:4350億円 → 4500億円(前期4330億円、同3.9%増)

従来は、前期の4330億円に対して今期4350億円と、わずかな増益ながら6期連続の過去最高益更新を見込んでいました。 今回の上方修正により、最終利益は4500億円へとさらに引き上げられ、増益率も従来の0.5%増から3.9%増へと拡大しています。

売上・営業利益・最終利益のいずれもが上方修正されており、とくに営業利益と最終利益の伸び幅が大きくなっている点は、コスト管理や商品力の向上などにより収益性が一段と改善している可能性を示しています。

配当予想も20円増額:株主還元を強化

業績の上方修正に合わせて、ファーストリテイリングは2026年8月期の年間配当予想も引き上げました。

  • 従来予想の年間配当:1株あたり520円
  • 新しい年間配当予想:1株あたり540円
  • 増配幅:20円

増益見通しを背景に、配当も積極的に増額することで、株主に対する還元を強化しています。 ファーストリテイリングはこれまでも増配を続けてきましたが、今回の修正でも、その方針を改めて示した形となりました。

業績の拡大とともに、配当金が着実に増えることで、長期投資を検討する投資家にとっても魅力が増しているといえます。市場では、決算発表後にPTS取引で株価が一時4%高まで上昇する場面も見られ、好決算と増配がポジティブに評価されました。

ユニクロ国内事業:売上1兆円突破の勢いが続く

業績好調の原動力となっているのが、言うまでもなくユニクロ事業です。ファーストリテイリングは前期(2025年8月期)、国内ユニクロ事業で以下のような記録的な実績を達成しています。

  • 売上収益:1兆260億円(前期比10.1%増)
  • 事業利益:1813億円(同17.5%増)
  • 通期既存店売上高:前年同期比8.1%増(上期9.8%増、下期6.2%増)

国内ユニクロの売上収益が初めて1兆円の大台を突破し、過去最高の業績となりました。 こうした成長トレンドは足元の2026年8月期第1四半期にも続いており、季節商品や機能性インナー、定番ベーシック商品の売れ行きが好調だったことが、売上・利益の押し上げ要因となっています。

ユニクロの高機能素材を用いた商品や、トレンドとベーシックをバランスよく組み合わせたラインアップが、多くの消費者に受け入れられているほか、オンライン販売と店舗販売を組み合わせたオムニチャネル戦略も、売上拡大に貢献していると考えられます。(ここは公開済みの事業説明からの一般的な傾向の説明です)

グローバル展開:海外ユニクロも全体成長をけん引

ファーストリテイリングは、国内だけでなく海外ユニクロ事業

  • 売上収益:3兆4005億円(前期比9.6%増)
  • 事業利益:5511億円(同13.6%増)
  • 最終利益:4330億円(同16.4%増)

中国本土や香港・台湾を含むグレーターチャイナでは、一部の期間で減収・大幅減益となる局面もありましたが、足元では8月・9月にかけてやや持ち直しの動きも見られています。 それでも、北米や欧州、東南アジアなど、他地域のユニクロが堅調に推移しており、グローバル全体としての売上・利益成長を支えています。

今回の2026年8月期の通期予想上方修正も、国内ユニクロだけでなく、海外ユニクロの成長を踏まえたものとなっており、同社のグローバルSPA(製造小売)モデルが引き続き有効に機能していることを示しています。

ジーユーやグローバルブランド事業の動向

ユニクロ以外の事業でも、ファーストリテイリングは収益基盤の強化を進めています。前期の実績では、低価格帯のジーユー(GU)事業や、海外ブランドを含むグローバルブランド事業の動きが公表されています。

  • ジーユー事業:売上収益 3307億円(前期比3.6%増)、事業利益 283億円(同12.6%減)
  • グローバルブランド事業:売上収益 1315億円(同5.3%減)、事業利益 26億円(前期1億円の黒字から増益)

ジーユーについては、マストレンドを捉えたヒット商品の不足や、売れ筋商品の欠品などにより、売上を最大化できなかった点が課題として挙げられています。 一方、グローバルブランド事業では、構造改革を進めた結果として、減収ながらも事業利益は増加し、収益性の改善が進んでいます。

こうした前期までの取り組みを踏まえ、2026年8月期ではユニクロに加えてジーユーやグローバルブランドの立て直し・成長も進めていくことで、グループ全体の収益力をさらに高めていく方針とみられます。(ここは決算コメントを踏まえた一般的な整理です)

市場の受け止め:サプライズ決算として注目

市場関係者の間では、今回の決算と上方修正は「サプライズ決算」として受け止められています。 第1四半期の時点で売上・営業利益・最終利益のいずれもが想定以上に好調だったことに加え、通期の最高益予想をさらに上乗せした点が、とくに注目されました。

実際に、決算発表後の時間外取引(PTS)では、ファーストリテイリングの株価が一時前日比4%高まで上昇する場面もありました。 投資家の期待感が高まっていることの表れといえます。

なお、今回の上方修正後も、同社は6期連続での過去最高益更新という流れを維持しており、ユニクロを軸にした成長ストーリーはなお継続していると評価できます。

今後注目したいポイント

今後のファーストリテイリングを見るうえで、いくつか注目しておきたいポイントがあります。

  • ユニクロ国内の成長の持続性
    すでに売上1兆円の大台に乗った国内ユニクロが、どこまで成長を続けられるかが一つの焦点です。 既存店売上高の伸び率や、新たな商品カテゴリーの展開などがポイントになります。
  • 海外ユニクロの収益改善
    グレーターチャイナをはじめとした海外市場での売上・利益の動向は、今後の連結業績に大きな影響を与えます。 地域ごとの需要動向や為替の影響などにも注意が必要です。
  • ジーユー・グローバルブランド事業のテコ入れ
    ジーユーの収益性回復や、グローバルブランド事業の構造改革の進展も、中長期的にはグループ全体の利益成長に寄与していくと考えられます。
  • 株主還元政策の継続
    今回のような増益と増配が今後も継続できるかどうか、また将来的な自社株買いなどを含む株主還元方針にも、投資家の関心が集まりやすい状況です。

とはいえ、今回の第1四半期決算と通期予想の上方修正を見る限り、ファーストリテイリングは引き続き堅調な成長軌道にあり、ユニクロを中心としたビジネスモデルの強さをあらためて示したと言えるでしょう。

参考元