ENEOS、世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」に出展決定 ― 冷却技術とEV向け潤滑油で存在感を発揮へ ―

日本を代表するエネルギー企業であるENEOS株式会社が、米国ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES®2026」に出展することを発表しました。今回の出展では、「冷却」をテーマに、液浸冷却液放熱グリース、そしてEV/HEV向け潤滑油といった製品や取り組み事例を紹介し、次世代のデジタル社会やモビリティ社会を支える技術を世界に向けて発信します。

CES 2026とは? ENEOSが挑む世界最大級の舞台

CES(Consumer Electronics Show)は、世界中の大企業からスタートアップまでが集まり、最新のテクノロジーやソリューションを披露する、世界最大級のテクノロジー見本市です。
前回開催時には4,500社を超える企業が出展し、来場者は14万1,000人以上にのぼるなど、その規模と注目度は群を抜いています。

ENEOSはこのCESに2023年から継続して出展しており、今回のCES 2026は、その取り組みをさらに前進させる場となります。
会期は2026年1月6日(火)から9日(金)まで、会場は米国ネバダ州ラスベガスのLas Vegas Convention Center(LVCC)で、ENEOSはNorth Hallにブースを構えます。

テーマは「冷却」――データセンターとモビリティを支えるENEOSの新技術

今回のENEOSブースの大きなテーマは「冷却」です。
生成AIやクラウドサービスの普及に伴い、世界中でデータセンターの電力消費と発熱量が急増している一方で、自動車分野では電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の普及が進み、高効率かつ環境負荷の低い技術が求められています。

ENEOSは、これまで培ってきた潤滑油・グリース製造技術や添加剤処方技術を活かし、こうした社会課題に応える製品群を開発。その成果として、CES 2026では以下の3分野を中心に展示を行います。

  • データセンター向け液浸冷却液「ENEOS IXシリーズ」
  • 高度デジタル機器を支える放熱グリース(Thermal Grease)
  • EV/HEV向けの専用潤滑油「EV/HYBRIDシリーズ(EV Fluid)」

データセンターを高効率に冷やす「ENEOS IXシリーズ」液浸冷却液

「ENEOS IXシリーズ」は、データセンター内のサーバーを効率よく冷やすために開発された液浸冷却用の冷却液です。
従来のように空気でサーバーを冷やす方式と比べ、液浸冷却は冷却効率が高く、消費電力を削減できる可能性を持つ技術として注目されています。

生成AIなどの高度なデジタル技術によりサーバーの性能が向上する一方で、その電力消費と発熱の増加が課題となっています。
特に、サーバーを冷やすための電力は、データセンター全体の消費電力に占める割合が大きく、冷却方式の最適化が重要です。
ENEOS IXシリーズは、こうした課題に対し、液浸冷却という高効率な方式を通じて省エネルギーと環境負荷低減に貢献することを目指しています。

また、このIXシリーズは、ENEOSが掲げるカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として位置づけられており、2024年4月にはデータセンター向け製品として販売が開始されています。
CES 2026では、このIXシリーズの実例や活用シーンを通じて、世界の来場者に対しENEOSの液浸冷却技術の優位性をアピールします。

次世代エレクトロニクスを支える「放熱グリース」

データセンターだけでなく、家電製品、通信機器、車載電子部品など、あらゆる電子機器の高性能化・小型化が進む中で、重要性が増しているのが「放熱グリース(Thermal Grease)」です。

ENEOSが開発を進めるENEOS Thermal Greaseは、同社が長年培ってきたグリース製造技術と添加剤配合技術を生かしており、次のような特長を持つとされています。

  • 高熱伝導性により、電子部品から発生する熱を素早く伝え、放熱を促進
  • 接点不良の防止に貢献し、機器の信頼性を向上
  • 作業者にとって扱いやすい優れた作業性

これらの特性により、放熱グリースは高度なデジタル化次世代エレクトロニクスの省エネルギー化を支える重要な材料として位置づけられています。
CES 2026では、この放熱グリースを用いた冷却ソリューションも紹介される予定で、電子機器メーカーや半導体関連企業からの関心が期待されています。

EV/HEV向けの革新的な潤滑油「EV/HYBRIDシリーズ」

もう一つの柱となる展示が、電気自動車(EV)およびハイブリッド車(HEV)向けに特別に設計された潤滑油「EV/HYBRIDシリーズ(EV Fluid)」です。

ENEOSは長年、自動車用エンジンオイルやトランスミッションフルードなど、さまざまな自動車用潤滑油の開発に取り組んできました。
その豊富な経験と技術を活かし、EVやHEVの駆動システム向けに最適化した潤滑油として開発されたのが、このEV/HYBRIDシリーズです。

EVでは、モーターや減速機などの部品が高回転・高トルクで動作し、さらに電気部品と機械部品が近接して配置されることも多くなります。そのため、従来のエンジン車とは異なる観点から、摩擦低減・冷却・絶縁・耐久性などを総合的に考慮した専用フルードが求められます。ENEOSのEV/HYBRIDシリーズは、こうしたニーズに対応することで、EV・HEVの高効率化や信頼性向上に貢献することを目指しています。

Quantum Meshの液浸冷却システム「KAMUI」もENEOSブース内で展示

CES 2026のENEOSブース内では、Quantum Mesh株式会社による日本初の商用液浸冷却システム「KAMUI」の実機展示も行われる予定です。
この展示は、ENEOSが出展する「VEHICLE TECH & ADVANCED MOBILITY」ゾーンの一角で実施され、次世代データセンター向けの高効率冷却ソリューションとして、来場者の注目を集めることが期待されています。

KAMUIは、ENEOSの液浸冷却液「IXシリーズ Type J」を採用したシステムであり、ENEOSが展開する液浸冷却技術と、Quantum Meshのシステム技術が組み合わさることで、高効率かつ持続可能な冷却技術を実現しています。
この共同展示を通じて、ENEOSは自社の冷却液がさまざまなパートナー企業のソリューションと連携しうることを示し、グローバル市場に向けてその実力を発信していきます。

エネルギートランジションとカーボンニュートラルへのENEOSの姿勢

ENEOSは、グループ長期ビジョンの中で「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」の両立を掲げています。
これは、現在の社会に必要なエネルギー・素材を安定的に供給しつつ、将来に向けて脱炭素・省エネルギーを進めていくという、難易度の高い課題への挑戦でもあります。

今回のCES 2026への出展は、そのビジョンをグローバル市場に具体的な技術として示す場と位置づけられています。
液浸冷却液、放熱グリース、EV/HEV用潤滑油はいずれも、省エネルギーや環境負荷低減に直結する技術であり、デジタルインフラやモビリティの分野を通じて、世界的なエネルギートランジションに貢献しうる製品群です。

ENEOSは、今回の出展を通じて、「今」の責任であるエネルギー・素材の安定供給を果たしながら、「将来」も責任を果たし続けるための技術的な取り組みを、来場者やパートナー企業に向けて分かりやすく伝えていく考えです。

今後の展望と期待される波及効果

CES 2026は、世界中の企業関係者、研究者、投資家、メディアなどが一堂に会するイベントであり、ここでの出展は国際的なビジネスチャンスや技術提携のきっかけになることが多くあります。
ENEOSにとっても、自社の冷却技術やEV向け潤滑油を広く訴求し、国内外のパートナーとの連携を深める重要な場となると見られます。

特に、データセンターの液浸冷却分野やEV関連の潤滑油分野は、今後も市場拡大が見込まれる成長領域です。ENEOSがCES 2026で示す技術と実績は、日本発のエネルギー・マテリアル技術が、世界のデジタルインフラやモビリティを支える存在となりうることを印象づける機会となるでしょう。

冷却技術とEV向け潤滑油を軸にしたENEOSの取り組みは、単なる製品紹介にとどまらず、エネルギーの使い方そのものを賢く・効率的に変えていく試みでもあります。今後、CES 2026での反響や、その後の実用化・普及の動きにも注目が集まりそうです。

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