2025年9月末「権利付き最終日」が日経平均株価に与える影響
はじめに
2025年9月26日は、日本株式市場において年間でも注目度が高い「権利付き最終日」です。この日は、9月末の配当や株主優待などを得るために必要な株式の保有最終日であり、多くの投資家の売買が集中します。今年は、日経平均株価が高値水準で推移する中での権利付き最終日となり、市場動向や投資家心理に大きな影響を与えています。本記事では、最新の市場インパクトや日経平均株価の推移、配当再投資による需給動向など、9月末の日本株市場を巡るテーマについて丁寧に解説します。
権利付き最終日とは
権利付き最終日とは、配当金や株主優待などの権利を得るために、株式を所有していなければならない最終売買日です。日本では多くの企業が9月末を決算期末としているため、このタイミングは特に注目されます。権利付き最終日の翌営業日には「権利落ち」と呼ばれる現象が起こり、理論上その分だけ株価は下落します。これは、配当などの価値が株価から差し引かれるためです。
2025年9月末の配当落ちによる日経平均株価のインパクト
2025年9月26日は、今年の配当権利付き最終日となり、配当落ちが日経平均株価や主要指数に与えた影響が市場関係者の間で注目されました。野村證券による試算では、今回の配当落ちによるインパクトは日経平均株価で303円(約0.68%)、TOPIXで21.8ポイント(約0.69%)に及びます。
これは、近年の株主還元の積極化や、増配・自社株買いの拡大傾向が続いている結果、配当落ちによる株価調整幅も着実に大きくなってきていることを示しています。配当落ち直後の日経平均株価が、短期間で下落分を埋めるかどうかは「市場の底力」を試すバロメーターともなっており、その動き次第でその後の相場展開に強さ・弱さが反映されます。
- 今年9月の配当落ち後は、一進一退の展開となりやすいものの、過去には30営業日程度で下落分を取り戻し、再び上昇に転じた例も少なくありません。
日経平均株価の中長期見通しと市場の動向
野村證券が2025年9月12日に発表した中長期の主要指数予想では、2025年末の日経平均株価は44,500円、2026年末には46,000円、2027年末には47,500円に達する見通しが示されています。
- この上昇は、配当込みのトータルリターンを重視する考えにもとづいています。
- 高配当政策や株主還元強化、持続可能な企業成長を背景に、年間リターンは配当込みでおおむね4%程度(期待リターンは6%程度)が目安となっています。
日本では金融リテラシーの向上が課題となっており、配当込みリターンの普及が進むことでより正確な市場理解に寄与すると期待されています。
9月優待銘柄と高配当株投資の注目度
- 2025年9月に権利が確定する銘柄は「9月決算会社」や「3月決算会社」の中間配当、さらに一部「四半期配当会社」など、その数は2400社に上ります。
- 予想配当利回りが4%以上の優待銘柄や、高配当株ランキングが話題となり、配当利回りが東証の平均(2.48%)を上回る「高配当株」への関心が一段と強まっています。
- 2025年は自社株買い決定企業が8月27日までで117社となり、株主還元の動きが活発です。
- 業績見通しが慎重な企業でも増配に踏み切るところが多く、投資家目線では安定的なインカムゲインを得るチャンスが広がっています。
配当再投資による巨大な買い需要
市場全体で配当金の再投資(配当再投資)が注目されています。今年2025年9月は、配当再投資による買い需要は1兆3,000億円規模にのぼり、前年を上回るという推計が示されています。
- 日本株における配当金総額の増加は、資金が再び株式市場へ環流する要因となり、市場の下支え要因として機能します。
- 国内外の機関投資家や個人投資家が、受け取った配当金を日経平均採用銘柄や高配当株へ再投資する動きが顕著です。
- これにより、権利落ち直後の需給ギャップが比較的小さく抑えられるほか、年末・翌年初の上昇モメンタムへの寄与も期待されています。
再投資需要の高まりによって、権利落ちによる一時的な下落を迅速に吸収し、市場の底堅さを示している点に注目です。
権利付き最終日に向けての投資家の動き
- 権利落ち直前には、配当や優待権利を得るための買い需要が膨らみやすく、売買代金も急増します。
- 配当利回り重視の投資家は、高配当株や優待銘柄を選ぶ傾向があり、9月はその動きが色濃く反映されます。
- 一方、短期売買を狙う投資家は、権利落ち後の株価調整幅を利用した逆張りや配当落ち後の回復局面を狙うこともあります。
総じて、2025年秋の日本株市場は、市場全体の利益成長や還元強化を背景に、配当落ち分の吸収が早い展開となることが予想されます。
9月権利付き最終日以後の展開に注目
権利付き最終日が過ぎた後は、日経平均株価が46,000円台を目指す局面に入るのか、市場参加者の注目が高まっています。野村證券のシナリオ通りに進めば、2026年にはこの大台を突破する可能性も十分視野に入ります。
配当落ちによる一時的な調整が終われば、再投資需要の拡大や経済成長への期待、企業業績の底堅さなどが支えとなり、次なる高値圏への展望が現実味を増すでしょう。
まとめ
2025年9月の権利付き最終日は、日経平均株価に約300円のインパクトをもたらしましたが、過去の傾向や需給環境を見ると、配当落ち後の調整は限られた期間にとどまりやすく、再び上昇トレンドへの転換が期待されています。日本企業の株主還元姿勢や配当金総額の増加、配当再投資による需給増が、堅調な日本株市場を下支えしています。
投資家にとっては、配当込みのトータルリターンの視点と、短期的な煽り動向への冷静な判断力が求められます。今後も9月末の「権利付き最終日」周辺のイベントは、日本株の基調や投資スタンスを考える上で重要なカレンダーイベントとなり続けるでしょう。