イーライリリー株価、好調決算と材料で注目集まる 〜NY市場最高値更新・個別動向を詳報〜

NY株式市場、最高値を連日で更新

2025年8月28日、ニューヨーク株式市場(NYダウ)は3日続けて最高値を更新しました。終値ベースで前日比71ドル高と市場全体も好調な展開となり、投資家のリスク選好姿勢がうかがえます。ただし、途中では米半導体銘柄のエヌビディア(NVIDIA)が一時3%下げる局面もあり、ハイテク株への警戒感も見られました。

  • NYダウは朝方は買い優勢だったものの、一部のハイテク株売りで一時下落する場面も
  • 他方でヘルスケア株を中心に一部個別銘柄は強い動きを見せた

イーライリリー株価の現状:好業績・新薬期待が牽引

このような市場環境の中、米国大手製薬企業イーライリリー(Eli Lilly and Company/LLY)の株価も注目を集めています。イーライリリーの足元の株価水準、アナリストの評価、業績などを詳しく見ていきます。

現在の株価と目標株価の動き

2025年8月28日終値ベースでイーライリリーの株価は734.17ドル、AI株価診断では830.91ドル(理論株価)と評価され、証券アナリストの平均目標株価は887.6ドルとされています。これは「買い」または「割安」との判断が多く、現在値からはさらに20%近い上昇余地があるとの見方です。

  • 証券アナリストのコンセンサス評価:強気買い18人、買い3人、中立7人、強気売り1人
  • 1か月前には一時961.93ドルと高かったが、やや下方修正されつつも高水準を維持
  • AI診断、アナリスト評価ともに「割安」と判断

2025年第2四半期の業績が好調

イーライリリーは2025年度第2四半期(4〜6月)決算で大幅な増収増益を達成しました。売上高は前年同期比37.6%増の155億ドル、営業利益は84.9%増の68億6700万ドルという非常に高い伸びを記録しています。

  • 営業利益率は44.1%(前年同期は32.9%)と大幅向上
  • 1株利益(EPS)は6.29ドル(前年同期は3.28ドル)に伸長
  • 配当も前年同期比0.20ドル増の1.50ドルに増配

業績好調の背景と今後の材料

イーライリリーの業績拡大には肥満症治療薬「ゼップバウンド(Zepbound)」やアルツハイマー病治療薬候補「ドナネマブ」など、新薬分野での成功が寄与していると考えられます。とりわけ近年、肥満症セグメントが大きく市場拡大しており、同社の成長エンジンとなっています。

  • ゼップバウンドは米国内で急速にシェア拡大中
  • 経口肥満薬の臨床試験で好結果、投資家からの期待感がさらに高まる
  • アルツハイマー治療薬候補「ドナネマブ」も将来の収益柱として注目

2025年8月26日には、開発中の経口肥満薬の臨床試験で好結果が発表され、材料視されて株価が上昇しました。これにより、アナリストによる目標株価の増額やレーティングの上昇が相次いでいます。臨床開発の進捗が続けば、今後も投資家心理を大きく刺激する流れが続きそうです。

アナリスト評価と投資家の見方

直近のアナリストの大半はイーライリリー株を「強気買い」または「買い」と評価しています。その背景には以下の要素があります。

  • 業績の好調と財務体質の健全さ
  • 肥満症治療薬を含む新薬パイプラインの競争力
  • 医薬品業界における規模とブランド力
  • 今後の投資テーマとしての安定性

ただし、足元では米国市場自体が値上がり基調であり、短期的な利食いや調整売りが入る場面も増えています。市場全体が加熱気味の中で、高PER(株価収益率)銘柄にはボラティリティも伴うため、長期目線の分散投資が推奨される声もあります。

今後の展望と注意点

イーライリリーは長期的には医薬品イノベーションの象徴的存在であり、全世界で医療の向上に貢献してきました。現在の市場評価や目標株価の高さは、新薬開発の進展と高い収益性に裏付けられたものですが、医薬品業界特有のリスクにも注意が必要です。

  • 臨床試験で不測の事態が起これば株価が急落するリスク
  • 特許切れや競合薬の登場などによる事業環境の変化
  • 規制や医療費抑制策の影響

一方で、「バイオ医薬・新興医療分野の成長」といったテーマ性は、引き続き投資家の注目を集め続けることが期待されます。イーライリリー株の動向は、今後のバイオ医薬セクター全体のトレンドを占ううえでも重要です。

まとめ・イーライリリー株を巡る注目ポイント

  • 2025年8月下旬、NY株式市場は史上最高値を連日更新する堅調展開
  • イーライリリー株価は高水準で推移し、アナリストによる目標株価もなお引き上げられる局面
  • 第2四半期決算で売上・利益ともに大幅増、配当も増加
  • 新薬開発が成功裏に進捗し、株価を強く支える要因に
  • 業界特有のリスクもありつつ、中長期では引き続き注目の投資先

今後も引き続きイーライリリーの株価と経営動向、新薬パイプラインの行方に注目が集まります。長期的視点での医薬品イノベーションと、個別材料による短期的株価の動き、その双方をよく見極めて慎重に判断することが、賢い投資に繋がりそうです。

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