フィジーで今、何が起きているか――揺れる太平洋の小国と国際社会の動き

はじめに

南太平洋に位置するフィジーは、世界の大国が交錯する舞台となっています。2025年10月17日現在、国際支援の大きな変化、中国との関係、さらにはトレンドとなりつつある中国語学習、観光業の新たな動向など、フィジーを巡るニュースが注目を集めています。本記事では、これらの複雑な現状をわかりやすくご紹介します。

消えた米国USAID太平洋事務所構想――対中戦略の転換点

トランプ政権による急転直下の政策変更

2025年1月末、トランプ米大統領から突如発表されたUSAID(米国国際開発局)の大幅縮小
USAIDは年間約400億ドルもの予算で、フィジーを含む太平洋島嶼国へ多額の支援を行ってきました。首都スバにも統括事務所が設立され、中国の影響力拡大への対抗として米国援助の強化が期待されていましたが、トランプ政権が発足すると急遽契約がキャンセルされ、事務所の移転も中止となりました。
7月1日には国務長官マルコ・ルビオの声明によりUSAID自体の公式閉鎖が発表されました。これにより、未執行の支援プログラム69億ドル分が凍結され、太平洋島嶼国を中心に大きな波紋が広がりました。

島嶼国の揺れる支援体制

  • USAIDの縮小・撤退で、HIVやデング熱など感染症対策を期待していたフィジー、サモアなどが深刻な影響を受けています。
  • 各国首脳は米国支援の停滞による経済・社会への悪影響に強い懸念を表明しました。
  • 急激な政策変化は、フィジーのランブカ首相による訪米につながり、米国務省への働きかけも行われています。
  • 今後は米国国務省が援助配分を担う方針ですが、支援体制の混乱や現場への影響は長期化するとの見方も強いです。

中国の影響力拡大と地域の不安

  • 中国は経済支援やインフラ整備を通じて、太平洋島嶼国での存在感を急速に高めています。
  • USAID撤退に伴い、中国の関与増大は必至とする専門家も少なくありません。
  • 激化する大国間競争の中、フィジーは政治面・経済面ともに選択を迫られています。

日本、オーストラリアの役割に期待

  • この状況を受けて日本オーストラリアの役割強化に対する期待が高まっています。
  • 日本政府も、太平洋地域へのコミットメントを官民挙げて強化すべきとの声が高まっています。

フィジー・エアウェイズ、オセアニア向け特別運賃――観光業の再始動

復活する国際観光と特別運賃の魅力

コロナ禍により世界的に減速していた観光業ですが、2025年以降、回復の兆しが鮮明になっています。フィジー・エアウェイズはオセアニア行きの航空券で、往復6.5万円からという特別運賃を発表しました。本キャンペーンは日本を含むアジア太平洋各国の旅行者にとって、フィジーへのアクセスを大幅に容易にし、観光再活性化にも弾みをつけています。

観光立国・フィジーの新たな可能性

  • 豊かな海・自然・文化を背景に、フィジーは観光資源が魅力的な国です。
  • 特別運賃キャンペーンにより、家族旅行やハネムーン、マリンスポーツを楽しみたい層に人気が集まっています。
  • 観光産業の成長は、外貨獲得や雇用創出にも直結するため、国家経済にとって非常に重要です。

観光業と国際情勢の連動

  • 国際支援の縮小による不安がある中で、観光収入はフィジーの安定に欠かせないものとなっています。
  • 中国やオーストラリア、日本など、観光客の多様化がフィジー交流の幅を広げています。
  • 国際航空網の充実は、教育・ビジネスなどさまざまな分野の交流促進にもつながっています。

中国語学習がフィジーの新たなトレンドに

急拡大する中国語教育需要

最近のフィジーでは、中国語学習が新たなトレンドとなっています。背景には、中国企業の進出や中国人観光客の増加、さらに奨学金・留学制度によるビジネス・教育提携の拡大などがあります。

フィジー社会に与える影響

  • 都市部の中高校で中国語クラスの新設が相次ぎ、若者たちがキャリア形成の一環として中国語を選択する動きが目立っています。
  • 地元企業や観光従事者も、中国語を使ったサービス向上に積極的です。
  • 一方で、言語政策やアイデンティティに関する慎重な議論も増えています。

国際社会との関係構築の広がり

  • フィジーの若者が中国語を習得することで、将来のビジネスチャンスや学術交流の幅が広がっています。
  • 中国以外の国や企業も、フィジーの多言語社会への興味や協力意思を高めています。

まとめ――激動するフィジーと今後への期待

2025年10月現在、フィジーは米国・中国など大国の影響力争い、新たな観光トレンド、教育・言語政策の変化など、多角的な変化と課題に直面しています。住民や政府、国際社会が連携して、新しい時代に向けた強い地域づくりが求められています。

  • 国際支援の再編成に伴い、住民生活と社会基盤が問われています。
  • 観光産業の活性化や中国語学習の拡大は、フィジー経済・社会の新たな成長エンジンとなっています。
  • 大国の影響力が複雑に絡み合う中、フィジー人自身の主体的な選択と、多国間協力のバランスが何より重要です。

今後もフィジーの動向から目が離せません。地域の安定・発展の鍵を握るのは、国際社会の適切なサポートと、フィジー自身の創造力・連携力に他なりません。

参考元