24時間動き続ける“インフラ最前線” ドンナイ省で同時進行する9つのプロジェクトと2026年への視界
ベトナム南部・ドンナイ省では、ここ数年で交通インフラ整備が一気に加速しています。とくに2025年から2026年にかけて、空港、高速道路、環状道路、鉄道などの複数の大型プロジェクトが同時並行で進んでおり、省全体の姿を大きく変えつつあります。
本記事では、
- 「24時間(24h)」動き続けるインフラ整備の現場
- ドンナイ省で着工・開通・技術的開通が予定される9件前後のプロジェクトの概要
- 2026年の主要交通プロジェクトと不動産市場への影響
- 高速鉄道と環状4号線が交わる「約68km²」のエリアの戦略的位置づけ
といったポイントを、やさしい言葉で整理して解説します。
ドンナイ省は今、「まれに見る加速期」に突入
ドンナイ省はホーチミン市の東側に位置し、これまでも工業団地や物流拠点として発展してきました。そのドンナイ省が、いま「まれに見るインフラ拡張期」を迎えています。
とくに重要なのが、
- ロンタイン国際空港(Long Thanh International Airport)第1期
- 周辺の高速道路・幹線道路・環状道路
- 鉄道・都市鉄道(メトロ)計画
といった、空・陸の大型プロジェクト群です。これらは単に「移動を便利にする」だけではなく、省の経済地図そのものを書き換える「開発動脈」になると位置づけられています。
ニュース内容1:「9プロジェクト」着工・完成・技術的開通の意味
ニュース内容1では、「ドンナイ省で9つのプロジェクトが着工・完成・技術的開通する」と報じられています。ここで出てくる「技術的開通」とは、一般的に、
- 道路や鉄道などで構造物としてはほぼ完成している
- 安全性や技術的な検査を終え、試験的に交通を通せる状態
- ただし、細部の仕上げや付帯施設の整備は続く場合がある
といった段階を指します。たとえば、ホーチミン市とドンナイ省など複数の地方が共同で進める環状3号線(Ring Road No.3)では、一部区間が先行して技術的開通し、その後段階的に全線完成へ向かうスケジュールが示されています。
ドンナイ省を含む南部地域では、以下のようなプロジェクトが2025~2026年にかけて完成・技術的開通を目指しています。
- ロンタイン国際空港 第1期:技術飛行(テストフライト)の実施
- ビエンホア – ブンタウ高速道路:2025年末の完成を目標
- ホーチミン市 – ロンタイン高速道路の拡張:2026年の基本完成を目標
- ベンルック – ロンタイン高速道路:2026年9月完成見込み
- ホーチミン市環状3号線:2026年4月までに全区間技術的開通、6月末に全体完成を想定
- 環状4号線(Ring Road No.4):2026年6月着工、2028年完成予定
- 省道25Cなどロンタイン空港を結ぶ接続道路群の整備
ドンナイ省内に限定した「9プロジェクト」の詳細なリストはニュース本文ごとに異なりますが、ロンタイン空港周辺の道路、既存高速道路への接続改善、新規環状道路の準備、鉄道・メトロ構想の前倒しなどを組み合わせたものであると考えられます。
24時間稼働する建設現場と国の方針
こうしたプロジェクトが「24h(24時間)」というキーワードで語られる背景には、ベトナム政府全体での強いスケジュール意識があります。
政府は2025年12月19日に、
- ロンタイン国際空港での技術飛行の開始
- 合計3,188kmの高速道路・1,700kmの沿岸道路の開通
などを「同時に達成する」ことを目標として掲げており、現場では昼夜を問わず工事のスピードアップが求められています。ロンタイン空港についても、滑走路、誘導路、エプロン、接続道路などが予定通り2026年初めの商業運航開始に向けて急ピッチで整備されています。
ニュース内容2:2026年に向けたドンナイ省の「不動産24h」動向
ニュース内容2では、2026年に向けたドンナイ省の主要交通プロジェクトと不動産市場(Bất động sản)が取り上げられています。インフラが整うことで、土地利用・開発ポテンシャルが変化するためです。
とくに不動産市場から注目されているのは、次のような点です。
- ロンタイン国際空港周辺の新都市・物流ゾーンの形成
- ビエンホア – ブンタウ高速道路と接続する工業・サービスエリア
- ホーチミン市環状3号線・環状4号線が通過・接続する地域の開発圧力
- 省道25B・25C・769・770B・773などの拡張に伴う沿線の土地利用変化
ドンナイ省当局は、ロンタイン空港の効果を最大限に生かすため、
- 空港への接続道路に加えて
- 新規の省道12路線の整備
- 既存主要道路10路線の拡幅・改良
といった計画を進めており、これが中長期的に住宅、工業団地、商業施設、観光インフラなど幅広い不動産セクターに影響を与えると見込まれています。
2026年に節目を迎える主な交通プロジェクト
2026年前後をめどに、ドンナイ省および周辺で節目を迎えるプロジェクトには、次のようなものがあります。
- ロンタイン国際空港 第1期:2025年の技術飛行を経て、2026年初めの商業運航開始を想定
- ホーチミン市 – ロンタイン高速道路拡張:2026年の基本完成(ロンタイン橋のみ2027年第1四半期)
- ベンルック – ロンタイン高速道路:2026年9月の完成見込み
- ホーチミン市環状3号線:2026年前半に技術的開通および全線完成
- 環状4号線:2026年着工、2028年完成予定
- メトロ関連計画:メトロ6号線およびメトロ1号線延伸・ロンタイン空港接続など、2030年完成を目標とした構想
これらは、単独で見ると一つ一つの交通プロジェクトにすぎませんが、空港、環状道路、高速道路、鉄道・メトロが一体となった「ネットワーク」として機能することで、ドンナイ省を南部経済圏の新たな成長極へと押し上げると評価されています。
ニュース内容3:「高速鉄道」と「環状4号線」が交わる約68km²のエリアとは
ニュース内容3では、北南高速鉄道(North–South high-speed railway)と環状4号線(Ring Road 4)が重なり合う「約68km²」の地域が、ドンナイ省の戦略の中でどのような位置を占めるのか、というテーマが取り上げられています。
現在、ドンナイ省は、
- 北南高速鉄道(南北高速鉄道)のルート候補
- ビエンホア – ブンタウ鉄道の整備
- スオイティエン – 省行政センター – ロンタイン空港を結ぶメトロ線の構想
など、複数の鉄道・都市鉄道プロジェクトに関与しています。それと同時に、ドンナイ省、ホーチミン市、タイニン省などが主体となる環状4号線の建設計画が進められており、2026年着工、2028年完成が見込まれています。
この高速鉄道と環状4号線が交差・接続する一帯は、概ね数十平方キロメートル規模(報道では約68km²)の開発ポテンシャルを持つエリアとされ、
- 鉄道ハブ+高速道路ジャンクションとしての交通結節点
- ロジスティクスセンター、工業団地、新都市開発の候補地
- ドンナイ省全体の「戦略拠点」として中長期計画に組み込まれるエリア
と理解されています。
ドンナイ省にとっての戦略的位置づけ
ドンナイ省の公式文書や報道では、こうしたインフラ整備を通じて、同省を単なる「空港を抱える省」ではなく、
- 南部経済圏全体の新たな成長極(growth pole)
- 工業・サービス・物流・観光が連携した複合経済圏
- ホーチミン市に次ぐ都市・産業ハブ
として育てていくことが繰り返し強調されています。
とくに、高速鉄道と環状4号線が重なる「約68km²の土地」は、
- ロンタイン空港とのアクセス性
- ホーチミン市・ブンタウ方面との接続性
- 鉄道と道路の結節による物流効率
などから、今後の長期戦略のカギを握るエリアとして注目されています。省当局は、ここを含む広い範囲で、新たな都市・工業ポールを形成し、サービス業や観光業も含めた多様な投資を呼び込む方針です。
地元にとってのメリットと課題
このように、「24h体制」で進むインフラ整備は、多くのメリットと同時に課題も伴います。
期待されるメリットとしては、
- 移動時間の短縮による物流効率の向上と企業誘致
- ロンタイン空港を核とした観光・サービス産業の拡大
- 新しい工業団地や都市開発による雇用機会の増加
- 不動産・建設分野を中心とした投資環境の整備
一方で、
- 用地取得・立ち退きに伴う住民の生活再建
- 急速な開発による環境負荷の増大
- 交通量増加に対応するための二次的なインフラ整備の必要性
- 不動産価格変動に伴う住環境・中小企業への影響
など、丁寧な対応が求められる課題も指摘されています。
まとめ:24時間動き続けるドンナイ省の「今」をどう見るか
ドンナイ省では、
- ロンタイン国際空港という国家級プロジェクト
- 高速道路・環状道路・接続道路の整備
- 高速鉄道・メトロ計画など中長期の鉄道プロジェクト
- これらに連動する不動産・都市開発の活発化
が、まさに24時間体制で進行中です。ニュースで報じられた「9プロジェクト」の着工・完成・技術的開通は、その一断面を示したものに過ぎません。
2026年に向けて、ドンナイ省は、
- 南部全体の交通ハブ
- 工業・物流の戦略拠点
- 新たな都市・サービス拠点
としての役割をより一層強めていくことになりそうです。今後も、環状4号線や高速鉄道、メトロ計画の具体化に伴い、今回触れた約68km²の戦略エリアを含む各地域の位置づけが、さらに明確になっていくと見られます。




