キオクシアに関する東芝の株式保有比率減少が相次いで報告
2025年10月、キオクシアホールディングス株式会社(証券コード:285A)に対する株式会社東芝の株式保有比率が複数回にわたって減少したことが、変更報告書(いわゆる「5%ルール報告書」)の提出を通じて明らかになりました。金融商品取引法に基づき提出されるこの報告書は、東芝とキオクシア、そして関連するエレクトロニクス業界に大きな注目を集めています。
最新報告:2025年10月22日受付分
2025年10月15日を義務発生日とする最新の報告によれば、東芝のキオクシア株式の保有割合が23.88%から22.88%へ1.00ポイント減少しました。この報告書は、2025年10月22日に財務省に提出されており、同日時点での保有株数は123,424,000株と記載されています。
- 発行会社:キオクシアホールディングス株式会社
- 提出者 :株式会社東芝
- 保有割合(前回→今回):23.88%→22.88%
- 報告提出日時:2025年10月22日
本件はEDINET(電子開示システム)に掲載された情報に基づいており、金融庁監督下での公式な株式大口保有状況報告となります。企業の内部取引や株主構成に関連する透明性向上を目的とし、一般投資家や業界関係者に広く注目されています。
直前の報告:2025年10月20日受付分
さらにさかのぼると、2025年10月10日を義務発生日とする報告書では、東芝が保有するキオクシア株式の保有割合が24.93%から23.88%へと減少したことも確認されています。報告提出日は2025年10月20日、保有株数は128,834,300株と記載されています。
- 義務発生日:2025年10月10日
- 前回→今回の保有割合:24.93%→23.88%
- 保有株数:128,834,300株
- 報告提出日時:2025年10月20日
直近2回の報告を通じて、およそ2.05%ポイントもの保有比率の減少が相次いで報告されていることがわかります。
報告書提出の背景と「5%ルール」とは?
ここで改めて「5%ルール」について説明します。これは、上場企業の株式や特定有価証券の発行済株式の5%超を取得または処分した際、または保有比率を1%以上増減させた際に、金融商品取引法第27条の23に基づき、変更報告書の提出が義務付けられるというルールです。こうした報告義務は、企業の支配権やM&A活動、公正な市場運営を保証するために極めて重要です。
- 5%を超える大量保有、または1%以上の増減には報告義務が生じます。
- 報告はEDINETなどの電子開示システムを通じて公開されます。
- 一部、自己株式を除外するなど特殊な算定基準が適用される場合があります。
今回の東芝による変更報告もこのルールに基づくものです。直近の複数回にわたる保有比率減少は、市場へのインパクトが大きい話題となっています。
保有比率減少の原因について
では、なぜ東芝のキオクシア株式保有割合がこの短期間で繰り返し減少したのでしょうか。一見すると保有株数も減っているように見えますが、実は「発行済み株式数の変動」(新株発行や自己株消却等)によって保有割合が動くケースが多く、必ずしも東芝が売却や処分を行った結果ではない場合も含まれます。
- 株数自体の増減を伴わず、発行済株式数が動くと比率が変化します。
- 株数の変動を伴う場合は、売却や株式譲渡があった可能性が高いです。
今回の報告においては、保有株数自体も報告日ごとに変化がありますが、こうした背景には複数の要因が絡んでいると考えられます。たとえば、契約内容の変更や株式の貸借取引、あるいは資本政策の一環としての自己株式処分等が挙げられます。
キオクシアホールディングス株式会社とは
キオクシアホールディングスは日本発祥の半導体メモリ事業大手であり、とくにNAND型フラッシュメモリ分野のグローバルリーダーです。もともとは東芝の半導体部門が分社化された企業で、東芝とは長く資本・事業提携関係にあります。上場企業として多くのステークホルダーに注目されています。
- 社名:キオクシアホールディングス株式会社
- 本社所在地:東京都港区
- 事業内容:半導体メモリ、SSDなどフラッシュストレージ各種開発・製造・販売
東芝とキオクシアの関係は、長年の技術協力および資本提携を土台としていますが、事業環境や業界再編の動きもあって最近では資本構成の見直しや株主構成の変化も続いています。
東芝とキオクシアの資本関係の推移
ここ数年、東芝とキオクシアの資本関係は大きな転換点を迎えてきました。2023年以降だけを見ても、たびたび大量保有報告書が提出されており、保有割合が28.81%(2025年9月末時点)→25%台→23%台→22%台と徐々に低下してきたことがEDINET等で確認できます。最新情報でも、20%台前半まで比率が下がっていることが分かります。
- 2025年9月30日時点:28.81%(-1.55ポイント)
- 2025年10月10日時点:24.93%→23.88%
- 2025年10月15日時点:23.88%→22.88%
- 2025年10月22日時点:22.88%
このように、東芝の保有比率は段階的に低下しており、その都度5%ルールに基づく変更報告が実施されています。
業界インパクトと今後の注目点
キオクシアは世界でも有力なメモリメーカーであり、日本の半導体産業再編の主要プレーヤーの一社です。東芝の保有比率低下は次のような観点で業界関係者、市場関係者、投資家にとって重要な意味を持ちます。
- 東芝の経営方針および資本戦略の変化の表れ
- キオクシアの今後の独立経営、および他企業との資本関係深化の可能性
- 半導体業界全体の再編や新たな提携、買収への布石となる可能性
- 日本発のフラッシュメモリ技術のグローバル展開と競争力強化
実際には、資本政策が競争環境やサプライチェーン全体の動向にも直結するため、今後も変更報告書や関連する公式発表は継続的に注目されています。投資家はもちろん、サプライヤーや取引先、従業員といった幅広いステークホルダーが注意深く動向を見守っています。
まとめ:透明性の高い報告と今後への期待
今回の一連の変更報告書提出は、投資家や市場の健全性を保つための重要な役割を担っています。東芝の持株比率が短期間に複数回減少していることは事実ですが、必ずしも株式の「大量売却」を意味するのではなく、発行済株式総数の増減や内部的な契約見直しなどの複合的要因が背景に存在する可能性が高いです。
今後もキオクシアと東芝の関係には、持続的に注目していく必要がありそうです。国内外の半導体産業や市場再編、そして先進的技術開発の文脈とあわせて、引き続き透明性の高い情報開示と報道に期待が寄せられています。



