ドル円相場、米FRBの利下げ決定後に155円台から156円台後半へと動意強まる

2025年12月10日、ニューヨーク外為市場ではドル円相場が一時155円台後半から156円台後半まで上昇し、活発な値動きを見せました。米連邦準備制度理事会(FRB)が市場予想通りの0.25%の利下げを決定したことを受けて、市場ではドル売りの動きがやや強まったものの、その後はドル買い戻しも入り、ドル円の高値圏推移が続いています。

ドル円の動き:利下げ発表を受けて一時ドル売りも反転

10日午後3時10分の時点で、ドル円は155円台後半に達しましたが、その後156円台後半まで上昇し、昨日の取引終値(約156.95円)に迫る水準にまで戻りました。市場では、FRBの利下げ決定を先取りしていた影響で、一時ドル売りが見られたものの、利下げ幅が市場の予想通りだったことや、FRB議長パウエル氏の会見で今後の金利見通しが慎重であったことから、長期金利上昇が継続。これを背景にドル買い・円売りが優勢となりました。

背景にある経済指標と金融政策の動向

12月9日に発表された米国の10月JOLTS求人件数は767万件と市場予想を大幅に上回り、米経済の求人数が依然として堅調であることが示されました。これにより米長期金利が上昇し、ドルが買われる一因となりました。一方で、FRBは政策金利を1回の25ベーシスポイント(0.25%)利下げにとどめ、さらなる利下げペースは緩やかになるとの見方を示しました。

また、日銀の植田総裁は長期金利の上昇に警戒感を示しつつ、「為替レートが物価に与える影響を注視している」と述べています。円安の急激な進行をけん制する発言が市場にやや安心感を与え、一時的な円買いの動きも観察されましたが、全体としては円安基調が続いています。

ドル円相場の過去1週間の動きと今後の展望

過去1週間のドル円相場は154.52円から最高値の156.93円の間で推移しており、比較的安定した値動きを示しています。12月9日の終値では156.95円前後と、約2週間ぶりの高値に達しました。これには米国の長期金利上昇や経済指標の強さが背景にあります。

今後の注目点としては、FRBのメンバー金利予測(ドットチャート)やパウエルFRB議長の今後の発言が挙げられます。市場は今回の利下げを織り込み済みであるため、次回以降の金利政策の方向性に敏感に反応すると見られています。また、日銀の金融政策動向や日本の長期金利の動きも円相場を左右する要因として注視されています。

まとめ

  • 12月10日のニューヨーク外為市場でドル円は155円台後半から156円台後半まで値を伸ばしました。
  • 米FRBが予想通り0.25%の利下げを決定した後、一時ドル売りが強まったものの、長期金利の上昇やパウエル議長会見の内容を受けドルが買い戻されました。
  • 10月のJOLTS求人件数の良好な結果が米長期金利の上昇を支え、ドル円上昇の背景となっています。
  • 日銀総裁が長期金利上昇と円安に対する警戒感を示しているものの、全体的な円安基調が継続しています。
  • 今後はFRBの金利見通しや日本の金融政策動向が為替相場の重要なポイントとなります。

今後もドル円相場は経済指標や各国中央銀行の政策動向を受けて変動が続く見込みです。投資家や企業はこれらの動きに注意を払いながら、市場の動向を見守る必要があります。

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