ダイキン、データセンター需要が牽引する2025年中間決算―純利益6%増と業績予想増額の背景

空調大手ダイキン工業が、2025年4〜9月の中間期決算を発表しました。発表によると純利益は前年同期比で約6%増と、厳しい市況が続く中でもしっかりと業績を伸ばしました。その主な要因として、データセンター向け空調機器の需要増が大きく寄与したと報告されています。

中間期決算の概要

  • 売上高:2兆4,787億9,800万円(前年同期比0.6%減)
  • 純利益:1,609億3,300万円(前年同期比6.1%増)
    ※決算短信では中間純利益を1,668億円とする発表もあり、細かな数字に違いがありますが、いずれも増益を示す結果です。
  • 営業利益:2,466億円(前年同期横ばい)
  • 経常利益:2,418億円(前年同期比7.9%増)

営業利益は前年比でほぼ横ばいとなったものの、経常利益と純利益はそれぞれ7〜8%増・6%増と、力強い回復を示しました。空調・冷凍機セグメント全体では減収となったものの、利益面では増益という好循環が見られます。

純利益向上の背景―データセンター関連需要が牽引

今回の増益の中心は、世界的なデータセンター建設ラッシュによる高機能空調へのニーズ拡大にあります。クラウドサービスの普及やAI需要増加により、膨大なサーバを冷却するための高効率・高信頼性の空調が求められ、ダイキンの企業向けラインナップの競争力が発揮されました。

  • データセンター関連機器の需要が堅調
  • 国内外のIT大手を中心に採用事例が急増
  • グローバルでの販路拡大も進展

従来の家庭用・商業用に加え、データセンター市場が今期の収益に大きく貢献した格好です。

今期通期の利益予想を増額修正―2期連続で過去最高益へ

ダイキンはこれらを踏まえ通期業績予想の最終利益を従来の見通しから80億円増額2,800億円(前期比5.8%増)に修正しました。また経常利益予想も2%上方修正され、最高益予想をさらに上乗せする形となっています。

  • 通期最終利益予想:2,800億円(従来比+80億円、前期比5.8%増)
  • 経常利益予想:4,150億円(従来比+100億円、前期比13.2%増)
  • 売上高予想は据え置き

同社はすでに2期連続で過去最高益を達成している状況で、今回修正によりさらなる最高益の更新が見込まれます。

四半期ごとの業績推移

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 最終利益(百万円) 売上営業利益率(%)
2025年7~9月 1,264,977 125,302 122,982 79,407 9.9
2025年4~6月 1,213,821 121,300 118,905 81,526 10.0

直近3か月(7〜9月)の連結経常利益は前年同期比3.4%増を記録したものの、売上営業利益率は前年同期からやや低下しています。コスト面での負担増や価格競争が背景にあるものと考えられます。

空調機器の世界シェアとダイキンの強み

ダイキン工業はグローバルで空調シェアトップクラスとして知られています。家庭用から業務用まで幅広く展開している点に加え、データセンターや医療、精密産業といった特殊用途向け高度技術が評価されていることも増益に寄与しています。特に「省エネ・高効率・信頼性」の三拍子が揃った空調技術は、国際的な大型プロジェクトでも採用が相次いでいます。

  • 北米・欧州・アジア全域にグローバルネットワーク保有
  • 現地ニーズに合わせた多様なモデルの開発力
  • 環境対策(省エネ・低炭素排出)技術の強み

これらの独自技術や開発力が、ますます拡大するデータセンター需要の取り込みに直結しています。

投資家・市場の評価と株価動向

決算発表後、ダイキンの株価は大幅に反発。データセンター向け製品需要という成長期待が投資家心理を押し上げ、利益予想上方修正も好感されました。営業面では若干の競争激化も見られますが、利益をしっかり上積みできる構造の強さがアナリストから高評価を得ています。今後もグローバル経済の変化やIT投資動向次第で更なる上振れ余地も期待されています。

今後の課題と展望

今期下期(10〜3月)も、同じくデータセンター分野の需要は堅調に推移すると見込まれています。なお、世界的な景気後退や半導体部材価格の変動、為替リスクなど外部要因には注意が必要です。ダイキンは現状の地合いを維持しつつ、環境技術やスマート空調など新機軸の開発にも積極的に取り組む姿勢を示しています。

  • 世界的なIT投資拡大の追い風が持続
  • 脱炭素・省エネ需要関連の新製品開発加速
  • リスク対処の強化(価格変動・調達安定化)

ダイキンの2025年度決算は、データセンターという新たな成長分野を追い風に、一段の業績拡大を示唆しています。今後の技術革新や市場変化にも柔軟に対応するダイキンの経営姿勢に注目が集まります。

まとめ

今回の決算発表から明らかになったのはダイキンの持続的な利益成長の源泉が従来の空調事業だけでなく、世界的なデータセンター構築ラッシュにあることです。こうした潮流に適応し、利益予想の上方修正を実現したダイキンは、引き続き空調市場を牽引する存在として注目が集まっています。

これからもデータセンター業界の動向や地球環境への対応技術の進展が、ダイキンの経営に大きな影響をもたらすでしょう。継続的な成長を目指して、同社の取り組みと将来展望に期待が持たれています。

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