サイボウズによるAI革新──Cybozu Days 2025最新動向と「kintone」新機能の実力

2025年10月27日から28日に幕張メッセで開催された「Cybozu Days 2025」は、サイボウズがAIやノーコード技術導入の成果と未来を約束するイベントとなりました。特に「ノーコードAI(アイ)ランド」をテーマに、業務改善とDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現する新しいグループウェアの姿が鮮烈に打ち出されました

「kintone AIラボ」とは何か?

昨年からβ提供が始まり、2025年4月よりスタンダードコース以上で無料利用できる「kintone AIラボ」は注目度急上昇中です。これはIT分野の専門知識を持たない現場職の方でも、AIを活用した業務アプリ開発やデータ活用が可能になる仕組みです。kintone AIラボはチャット形式でAIに業務内容やアプリの要望を伝えることで、AIがアプリ名やフィールドを提案・自動生成してくれるため、初心者でも安心して取り組めます

  • アプリ作成AI:業務のヒアリングから最適なアプリを自動提案・生成
  • 検索AI:欲しい情報をキーワードや文章で直感的に検索可能(モバイル版も提供中)
  • レコード一覧分析AI:kintoneのデータ一覧をもとに要約・分析・傾向提示

AIの力により、現場担当者自身が業務アプリを作成し、蓄積したデータをAIが分析して業務改善アプローチを提示できます。このサイクルが部署やチームの垣根を超えた情報共有・業務改善、そして全社的なDXにつながります

グループウェアへのAI実装──「サイボウズ Office」「Garoon」も進化

Cybozu Days 2025では、kintoneだけでなく「サイボウズ Office」「Garoon」にもAI機能が搭載されることが発表されました。これらは日本の中小〜大企業で広く使われているサイボウズ製品です。

  • サイボウズ OfficeのAI新機能(2026年1月予定):
    • 要約AI:掲示板やメッセージ、メール本文をAIが自動要約
    • 校正AI:文章の誤字脱字や語句のチェック・修正
    • ヘルプAI:使い方や疑問点にAIが即座に答える
  • GaroonのAI新機能(2025年11月予定):
    • 要約AI
    • 校正AI
    • ヘルプAI

これにより、情報共有の効率化だけでなく、文章作成負担の軽減・業務QAの高度化によって社内業務全体の生産性が飛躍的に高まることが期待されています

kintone AIで実現する「データ活用」と「市民開発」とは?

サイボウズのマーケティング戦略部長・山田明日香氏は「チームで活用するAI」を提唱。個人の業務を最適化するだけでなく、チームや部署を跨いだ情報活用・市民開発を支援することが、一層の組織変革とDXに直結すると述べています

  • データ活用支援AI:大量データの蓄積・分析・活用の効率化
  • 市民開発支援AI:現場担当者が自分で使いやすい業務アプリを開発・運用できる仕組み(社内ルールチェックもAIがサポート)

例えば、営業部門なら顧客情報・商談履歴などをAIが一元管理・分析し、次のアクション提案まで実施。製造業や情報システム部門でも、サプライチェーンやプロジェクト管理をAIが支援することで、全体最適につなげます

MCPサーバーを活用したAIエコシステムの構築

kintoneではMCP(Multi-Cloud Processing)サーバーが新たに導入され、AI機能群や外部サービスとの連携をさらに強化しました。これにより、多様なAIプラグインや連携サービスと組み合わせて、従来の用途や業務範囲を大幅に拡張できます。担当者が必要なタイミングで最適なAIを選択・統合でき、既存システムとのデータ接続も容易になります

また、外部システムのデータをkintoneアプリとしてリアルタイム参照・編集できる「外部システムのアプリ化」機能もワイドコース限定で提供開始。これによって社内外データのシームレスな統合とAI活用による多様な情報分析が実現します

「レコード一覧分析AI」「アプリ設定レビューAI」の詳細

  • レコード一覧分析AI(2025年10月12日提供開始)
    kintoneのレコード一覧画面で、データの傾向や課題をAIが自動分析・要約します。業務管理における意思決定がより迅速かつ正確に行えるようになります
  • アプリ設定レビューAI(今後提供予定)
    市民開発が広がる中で、業務担当者でも社内ルールやガイドラインに沿ったアプリ設計ができるよう、AIが設計内容をレビュー・アドバイスする機能です

市民開発によくある「設計ミス」「ルール逸脱」を防ぎ、業務部門でも安心・安全なアプリ開発文化が根付きます。

展示会・デモブースで体験!Cybozu Days 2025の熱気

幕張メッセのCybozu Days 2025会場では、各製品専用ブースでAI機能のデモや解説が活発に行われました。実際にアプリ作成AIで要望を伝え、業務アプリが自動提案される様子や、レコード一覧分析AIによるデータ解釈など、来場者は最新技術の使いやすさ・実用性に驚きの声を上げていました

また、MOVED(展示企業)の出展も話題となり、他社との連携やエコシステム拡大の可能性も感じられるイベントとなりました。Cybozu Daysは毎年数千人を集める大規模イベントで、AI・ノーコードの日進月歩を体感したいビジネスパーソンにとって必見です。

AI活用の適正運用・セキュリティ対策

急速に進化するAI機能ですが、サイボウズは使いやすさだけでなく「適正使用のチェック」にも重点を置いています。AI導入に伴うセキュリティ課題や情報漏洩リスクへの対策、社内ルール遵守、運用監査など、多層的な管理機能を強化。企業に安心してAIを活用してもらうための仕組みづくりが進んでいます

新時代の業務アプリ開発とAI活用──サイボウズが切り拓く未来

2025年秋、サイボウズのグループウェアはAI技術の進化と普及によって、IT部門だけでなく現場担当者・全社員が主役となる新時代に突入しました。

  • AIによる自動化・効率化で、業務の生産性が大幅向上
  • ノーコード技術により、誰もが簡単に業務アプリを開発できる時代へ
  • セキュリティ・運用監査にも配慮した安心のAI環境
  • Cybozu Daysの展示・デモで、AI活用のイメージを体験できる機会が拡大

サイボウズのDX&AI戦略は、多様化するビジネス現場のニーズに応え続けています。今後もAI搭載のグループウェアがより自然に、より安心して業務現場に根付いていくことが予想されます。

まとめ

Cybozu Days 2025で示されたサイボウズ製品群のAI新機能は、ノーコードの使いやすさと高度な分析・運用サポートを両立。kintone・サイボウズ Office・Garoonそれぞれで、AIが実務効率と組織力の底上げを牽引します。MCPサーバーによるエコシステム連携や運用監査機能も強化され、企業のAI導入・活用を安心して推進できる体制が整いました。今後も、この革新の波がビジネス現場を大きく変えてくれることでしょう。

参考元